朝が来て、また樹里(土屋太鳳)の退屈な1日が始まる。母親の保子(秋本奈緒美)は朝からため息をばかり。たまに行った学校には樹里の居場所はない。お気に入りの場所で街の景色を眺める樹里を、人々は誰も気に留めることすらない。人も、そして車も、樹里を“すり抜けて”いく。たくさんの人がいるこの世界で、樹里はひとりぼっちだ。樹里が、自らマンションの屋上から身を投げたあの日から――。
高校では、入学早々友達となったクラスメイトのミドリ(清水富美加)と、幼なじみの潤也(吉沢亮)と3人、毎日仲良く過ごしていた樹里。キツい部活の練習の間のちょっとした会話や、3人揃っての帰り道。大切な時間がそこにはあった。
しかし、樹里はあるときから学校にも行かず自分の部屋に引きこもるようになっていた。母親やミドリ、潤也たちはそんな樹里を心配するが、やがて樹里はマンションの屋上へと歩みを進めた――。
ひとりぼっちになった樹里は、ときどき樹里が“虫男(声:大杉漣)”と呼ぶ不気味な存在を見かけることがあった。虫男が現れるのは負のオーラをまき散らしている人の周り。そして虫男が近づいた人は、自らの命を断つという選択をするのだ。
孤独な時間を過ごす樹里は、ある日、街でりんごのように髪をお団子にまとめた幼い女の子(西野瑠菜)を見かける。その女の子は、どうやら樹里の姿が見えているらしい! 樹里はその女の子を“りんごちゃん”と呼び、一緒に遊ぶようになった。久しぶりに、他人と同じ時間を共有する樹里。
だが、樹里は、りんごちゃんの母親・祥子(有森也実)に関する衝撃的な事実を知ることになる――。
赤々煉恋
監督:小中和哉
出演:土屋太鳳 清水富美加 吉沢亮 有森也実 大杉漣(声の出演) 秋本奈緒美 ほか
2013年12月21日(土)より角川シネマ新宿ほか全国ロードショー
2013年/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/83分
今日も樹里はひとり街をさまよう。街を行く人々は誰も樹里を気にも留めない。樹里は、この世の存在ではないから――。
デビュー作『星空のむこうの国』以降、多くのファンタジー作品を送り出してきた映画監督・小中和哉。その最新作が『赤々煉恋』(せきせきれんれん)だ。直木賞作家・朱川湊人の短編集「赤々煉恋」収録の「アタシの、いちばん、ほしいもの」を原作に、自ら命を絶った女子高生の視点を通して“生と死”をヴィヴィッドに描き出している。
樹里役で主演をつとめるのは、「鈴木先生」や主演作『アルカナ』などで注目を集める若手女優の土屋太鳳(つちや・たお)。10代の少女の溌剌さと、その一方で誰もが持つ翳を、みずみずしい感性で見事に表現してみせた。
そして、樹里の同級生・ミドリには「仮面ライダーフォーゼ」『HK/変態仮面』などの清水富美加。樹里の幼なじみ・潤也には「仮面ライダーフォーゼ」『ぼくが処刑される未来』などの吉沢亮と人気若手俳優が共演。そのほか、樹里の母親役の秋本奈緒美や、有森也実、堀内正美、石田信之など、小中監督作品に出演経験のある俳優が多数出演している。
また、この作品で重要な役割を持つ不気味な存在“虫男”のデザインとCGIモーション監督を「超時空要塞マクロス」などで知られるアニメーター・CGクリエイターの板野一郎が担当。これまでにも何度も小中監督作品に参加してきたアニメ界のカリスマが、表情豊かなキャラクターとして虫男を表現。さらに、名優・大杉漣が声を担当して虫男に生命を吹き込んだ。
実力派キャストと日本有数のクリエイターが作り上げた『赤々煉恋』は、自殺という重いテーマを真摯に扱いつつ、高いエンターテイメント性も備えた作品となっている。青春の光と影を巧みに表現した、新たなファンタジーの傑作だ。
- 土屋太鳳
- 清水富美加
- 吉沢亮
- 吉田羊
- 西野瑠菜(子役)
- 彩夢
- 普天間みさき
- 梶谷桃子
- 采女ななみ
- 鈴木貴之
- 小山田将
- 里見要次郎
- 潟山セイキ
- 阿部能丸
- 堀内正美(友情出演)
- 石田信之(友情出演)
- 有森也実
- 大杉漣(声の出演)
- 秋本奈緒美
- 監督:小中和哉
- 原作:朱川湊人「アタシの、いちばん、ほしいもの」(東京創元社刊「赤々煉恋」所収)
- 脚本:山野井彩心/小中和哉
- CGIモーション監督:板野一郎
- 製作:嶋田豪/岡本東郎/梅村昭夫
- 製作パートナーズ:藤下忠男/小中明子/瀬尾大/長谷川晋一
- プロデューサー:関顕嗣/行実良/斎藤正明/山田爵史/神原佳史
- アシスタントプロデューサー:高瀬博行/吉尾宗太
- 監修:平山正実
- 撮影監督:藍河兼一
- 照明:岩崎豊
- 録音・音響効果:臼井勝
- 美術:櫻井陽一
- 操演:村石義徳
- 衣裳:照井真純
- ヘアメイク:渡辺祐子
- 編集:藤田真一
- 特殊視覚効果:泉谷修
- 助監督:小原直樹
- VFXアートディレクター:木村俊幸
- イメージイラスト:美樹本晴彦
- 主題歌:Pay money To my Pain「Rain」(バップ)
- 挿入歌:Pay money To my Pain「Home」(バップ)
- 音楽:T$UYO$HI(Pay money To my Pain/The BONEZ)
- 宣伝:植田繁
- 特別協力:学校法人聖学院/亀甲船/読売理工医療福祉専門学校/映像新社
- 『赤々煉恋』製作委員会:アイエス・フィールド/バップ/クレイ
- 製作パートナーズ:日本エフェクトセンター/Bear Brothers Ltd/不登校支援センター/社会適応支援協会/東京創元社
- 制作・配給:アイエス・フィールド