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「自分にとって大切なものはなにかということを感じて」 『赤々煉恋』完成披露試写会

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舞台あいさつをおこなったスタッフ・キャスト。後列左より板野一郎さん、小中和哉監督、朱川湊人さん。前列左より、秋本奈緒美さん、土屋太鳳さん、清水富美加さん

 直木賞作家・朱川湊人さんの小説をファンタジーの名手・小中和哉監督が映画化した『赤々煉恋』(せきせきれんれん:12月21日公開)の完成披露試写会が12月3日に科学技術館サイエンスホールで開催され、主演をつとめた土屋太鳳(つちや・たお)さんと小中監督、朱川さんら、キャストとスタッフが舞台あいさつをおこないました。
 朱川湊人さんの短編小説「アタシの、いちばん、ほしいもの」を原作にした『赤々煉恋』は、自ら命を絶ってから孤独な浮遊霊として街をさまよう少女・樹里を主人公に、命の意味を問うダーク・ファンタジー。
 自ら命を絶った少女という難しい役に挑み「命の重さってほんとに量りきれないと思うんですね。その重さを私が表現できるのかとすごい不安でしたし、お話自体もつらいお話でしたので、樹里の気持ちに向きあうのがすごくつらかったです」という土屋さんは、参考にするため小中監督の勧めで監督の過去作『四月怪談』(1988年)を観たことを明かし「監督の命に対する想いというのが『四月怪談』のときから時空を越えていまも続いているというのを実感して、もしかしたら命というのは心なんじゃないかなと思いました」と、樹里を演じるにあたっての想いを振り返りました。

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「とにかく樹里ちゃんの心に寄り添いながら、現場で監督とか共演者の秋本(奈緒美)さんや(清水)富美加ちゃんたちと作りあげていった感じです」と樹里役の土屋太鳳さん

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「大人の方も高校生くらいの若い方も、この映画を観て、いろいろ自分と照らし合わせていろいろ感じてもらえたらなと思います」と、樹里の同級生・ミドリ役の清水富美加さん

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娘を亡くした母という役に「人間の深さとか哀しさというのを、ちゃんと伝えなければいけないなという想いでやらせていただきました」と、樹里の母・保子役の秋本奈緒美さん

 『赤々煉恋』は朱川さんの小説の初映画化にあたり、朱川さんは「小中さんとはひじょうに感性が似ていると思うところがありまして、このシーンがこうだったらいいな、こんな風景だったらいいなと思っていたのが、全部ちゃんと入っているんですね。さすがは小中さんと思って、最初の映画が小中さんだというのが、すごくありがたいし、誇らしい気持ちでいっぱいです」とコメント。
 劇中に登場する無気味なキャラクター・虫男のキャラクターデザインとCGIモーション監督をつとめた板野一郎さんは「CGのキャラクターってあんまりリアル感がないんですよね。それをあえて赤と青、赤いのは怒っていて青いのは泣いていてという2種類を作って表現の幅を広げて、いろいろアイディアを出しながらやらせていただきました」と、キャラクター作りの工夫を明かしました。

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初の小説の映画化に「自分の考えていたことが、小中さんのフィルターをとおって表現してくれているというのが、すごく不思議な気持ちがあります」という朱川湊人さん

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「小中さんは、こういう思春期ものというか、若い人の心の揺れとか命の尊さとかをしっかり表現できる監督なので、お手伝いできてよかったと思ってます」と板野一郎さん

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「朱川さんの小説がいまの若い人にすごく届くような心象風景を描いているんじゃないかと思って、ぜひ映画化したいと思いました」と映画化の動機を語った小中和哉監督

 自ら企画してメガホンをとった小中監督は「初期のころの、日常的な世界観の中でファンタジーを導入しながら人の想いみたいなものを描いていくという方向にもう1度回帰して映画を作りたいなと思っていたころに朱川さんの原作と出会ったので、そういう作品が作れてすごく嬉しく思っています」と語り「“どうぞ楽しんでください”という言葉がこの映画の場合は適しているかちょっとわからないのですが、いろいろなものを感じていただいて、感じることがあれば、それをぜひ人に伝えていただきたいと思います」と観客にメッセージを。
 そして、土屋さんの「一生懸命生きているのに、なにかがすれ違ってしまうって誰でも起こると思うんです。でも、人と人の心が寄り添うことに遅いことはないんだと、この撮影を通して感じました。すごくつらいお話なんですけど、樹里ちゃんの心を通して、自分がほんとうに一番ほしいものとか、自分にとって大切なものはなにかということを感じていただければ嬉しいです」というあいさつで舞台あいさつは締めくくられました。

 自殺という重いテーマを真正面から描きつつも、高いエンターテイメント性も備えた作品となっている『赤々煉恋』は、舞台あいさつ登壇者のほか吉沢亮さん、有森也実さん、大杉漣さん(声の出演)らが出演。12月21日(土)より、角川シネマ新宿ほかにて全国順次ロードショーされます(配給:アイエス・フィールド)。

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