川久保百合(小松彩夏)は、母親の民子(毬谷友子)が男を作って家を出ていき、まだ小学生の弟・聡(酒井天満)とふたり暮らしとなった。民子が残した多額の借金を背負うことになった百合は、デリヘル嬢として働いていた。
ある日の夜、仕事から帰宅した百合は、部屋の中で聡が倒れて息を引き取っているのを見つける。その日、聡の体調がよくないことに気づいていた百合だったが、聡の「大丈夫」という言葉に弟をひとり残して仕事に出てしまったのだ。百合はその日からずっと、聡の死は自分のせいだと自分を責め続けていた……。
百合を慕う新人デリヘル嬢のマユ(桜井ユキ)は、百合の事情を知り、あるスマートフォン用アプリを百合に教える。それは“死者と話ができるアプリ”。マユもそのアプリを使って、死んだ祖母と毎日話をしているという……。
半信半疑ながらも百合はそのアプリを使ってみる。アプリに聡の名前を入力すると、やがてノイズの中から百合に呼びかける声が聴こえてきた。そして電話の向こうの声は、聡しか知らないはずの秘密を知っていた……。
アプリで聡と会話をするようになった百合は楽しそうな様子を見せるようになり、その変化は百合たちの送り迎えをする青年・三枝亮(加藤和樹)も不思議がるほどだった。だが“死者と話ができるアプリ”には大事な注意点があった。決して電話の相手に「会いたい」と言ってはいけないと……。
そのころ、巷でひそかに話題となっている“死者と話ができるアプリ”の取材を続けていた週刊誌記者・笹本洋子(大塚千弘)は、ようやくそのアプリを知っているという男と連絡をとることができたのだが……。
トーク・トゥ・ザ・デッド
監督:鶴田法男
出演:小松彩夏 加藤和樹 嶋田久作 ほか
2013年8月3日(土)よりユーロスペースにてレイトショー
2012年/カラー/ステレオ/84分
いまや我々の生活に欠かせないものになりつつあるスマートフォンアプリ。もし、死の世界と現世とをつなぐアプリがあるとしたら? 「ネクスト・ホラー・プロジェクト」の1本『トーク・トゥ・ザ・デッド』は、そんな“死者と話ができるアプリ”を巡る物語だ。弟を失った女性が出会った“死者と話ができるアプリ”は、本当に死の世界と現世を結ぶのか……。
監督と脚本(共同)は日本が誇るホラーの名匠・鶴田法男。卓越した恐怖表現と登場人物の感情を丁寧に描き出す演出で、人間の心に潜む闇を描き出す。そして『リング』シリーズや『呪怨』シリーズ、鶴田監督作品『予言』など数々のヒットホラー作品をプロデュースしてきた一瀬隆重がプロデュースと脚本で参加。“ジャパニーズ・ホラー”の先駆者・鶴田と“ジャパニーズ・ホラー”を世界に広めた一瀬の久々のタッグ結成は注目だ。
主人公の百合を演じるのは、映画やドラマ、グラビアなど多方面で活躍する小松彩夏。弟の死により心に傷を負った女性を繊細に演じるとともに、デリヘル嬢という役柄で大胆なシーンにも挑んでいる。そして“死者と話ができるアプリ”の噂を追う週刊誌記者・洋子役には若手実力派として評価を高める大塚千弘。さらに、百合の母親を演じるベテランの毬谷友子や、俳優だけでなくミュージシャンとしても人気の加藤和樹、CMなどで活躍する期待の若手・桜井ユキ、ホラー作品への出演も多い嶋田久作ら、充実のキャストが揃った。
「死者との会話」は、生きる人々たちを何処へと導いていくのであろうか? 鶴田法男が『案山子 -KAKASHI-』『おろち』などで描いてきた恐怖の愛憎劇の系譜を組み、さらにその先へと誘う作品が、ここに完成した。
- 小松彩香
- 加藤和樹
- 桜井ユキ
- 須賀貴匡
- 酒井天満
- 嶋田久作
- 毬谷友子
- 大塚千弘
- 監督:鶴田法男
- 原案:一瀬隆重
- 脚本:佐東みどり/鶴田法男/一瀬隆重
- エグゼクティブ・プロデューサー:JIMMY LAI/平田樹彦/丸田順悟
- プロデューサー:一瀬隆重
- コー・プロデューサー:西前俊典
- アソシエイト・プロデューサー:丸山えり
- 撮影:福澤亮介
- 照明:清喜博二
- VE:青田保夫
- 美術:横守剛
- 特殊メイク:百武朋
- 視覚効果:鴨原譲/本田貴雄
- スタイリスト:棚橋公子
- メイク:五十嵐広美
- 録音:冨田健吾
- 音響効果:大河原将
- 編集:深沢佳文
- キャスティング:安生泰子
- 記録:小林昌枝
- 助監督:土岐洋介
- 制作担当:今野茂昭
- 音楽:遠藤浩二/栗本修
- 製作:NEXT MEDIA ANIMATION/ダブルフィールド
- 制作プロダクション:オズ
- プロダクション協力:NEBULA
- 配給:トラヴィス