
川久保百合(小松彩夏)は、母親の民子(毬谷友子)が男を作って家を出ていき、まだ小学生の弟・聡(酒井天満)とふたり暮らしとなった。民子が残した多額の借金を背負うことになった百合は、デリヘル嬢として働いていた。
ある日の夜、仕事から帰宅した百合は、部屋の中で聡が倒れて息を引き取っているのを見つける。その日、聡の体調がよくないことに気づいていた百合だったが、聡の「大丈夫」という言葉に弟をひとり残して仕事に出てしまったのだ。百合はその日からずっと、聡の死は自分のせいだと自分を責め続けていた……。
百合を慕う新人デリヘル嬢のマユ(桜井ユキ)は、百合の事情を知り、あるスマートフォン用アプリを百合に教える。それは“死者と話ができるアプリ”。マユもそのアプリを使って、死んだ祖母と毎日話をしているという……。
半信半疑ながらも百合はそのアプリを使ってみる。アプリに聡の名前を入力すると、やがてノイズの中から百合に呼びかける声が聴こえてきた。そして電話の向こうの声は、聡しか知らないはずの秘密を知っていた……。
アプリで聡と会話をするようになった百合は楽しそうな様子を見せるようになり、その変化は百合たちの送り迎えをする青年・三枝亮(加藤和樹)も不思議がるほどだった。だが“死者と話ができるアプリ”には大事な注意点があった。決して電話の相手に「会いたい」と言ってはいけないと……。
そのころ、巷でひそかに話題となっている“死者と話ができるアプリ”の取材を続けていた週刊誌記者・笹本洋子(大塚千弘)は、ようやくそのアプリを知っているという男と連絡をとることができたのだが……。