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「“Jホラー”第2ステージのスタートライン」『トーク・トゥ・ザ・デッド』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった小松彩夏さん、加藤和樹さん、鶴田法男監督(左より)

 ホラーの名匠・鶴田法男監督の新作『トーク・トゥ・ザ・デッド』が8月3日にユーロスペースで初日を迎え、主演をつとめた小松彩夏さんと共演の加藤和樹さん、鶴田監督が舞台あいさつをおこないました。
 『トーク・トゥ・ザ・デッド』は、弟の死による心の傷や母親との確執に苦しむ女性を主人公に、謎の“死者と話ができるアプリ”の恐怖を描いた怪奇譚。『カルト』(白石晃士監督)、『高速ばぁば』(内藤瑛亮監督)と連続公開されてきた「ネクスト・ホラー・プロジェクト」を締めくくる作品となっています。
 主人公の百合を演じた小松さんは、上映前の舞台あいさつのため「ネタバレしないように話すのは難しいんですけど(笑)」と笑顔を見せながら、演じた役について「自分のせいで弟を亡くしちゃったということをずっと後悔している役どころだったので、演じながらすごく苦しかった覚えがあります」と振り返りました。
 そして鶴田監督は、百合が母親に暴力を振るわれるシーンで、母親役の毬谷友子さんが本番でいきなり小松さんの胸を掴んだというエピソードを紹介。「迫真の演技だった」という鶴田監督に、小松さんも「(演技に)入り込んじゃっていてなにが起きているのか把握しきれず、できあがった本編を観て“こんなことされていたんだ”という感じでした」とコメント。小松さんは撮影終了時にはアザだらけになっていたそうで「撮影でできた傷なのか、この作品をやっているからできたアザなのか、よくわからなかったです(笑)」と、入魂の演技だったことをうかがわせました。
 また、百合を見守る青年・亮を演じた加藤さんは「怖さの中にも切なさとかが織り込まれた作品になっています」と語り「誰かを想う気持ちというのは求めすぎてもいけないし、なにかを期待してもいけないという、その境界線の難しいところがこの作品には入っています。ぼくの役も“この想いをどう伝えようか”というのがたくさんあるんですけど、それを自分に置き換えて“もし自分だったらどうしよう”と考えながら観てもらえると思います」と、亮を演じての想いを語りました。

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川久保百合役の小松彩夏さんは「この夏ピッタリのホラー作品になっていますのでどうぞみなさんドキドキしながらご覧ください」とあいさつ。本作では体当たりの演技を披露しており、鶴田監督も「これまでの小松彩夏じゃない小松彩夏がいます」と太鼓判

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百合の働くデリヘリの従業員・三枝亮役の加藤和樹さんは「店の待合室でタオルを畳むシーンが印象的でした。ちゃんときれいに畳んでるんです。“ああ、真面目にタオル畳んでるな俺”っていうのがすごい面白かったです」と印象深いシーンを挙げました

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「ぼくはホラーでも悲哀を描いた作品をいっぱい作ってきたんですが、これほどバランスよくできた作品は初めてだと自分で思っています。すばらしい役者さんが出演してくれたことが功を奏したと思っています」とキャストに感謝を示した鶴田法男監督

 鶴田監督は「ぼくの作るホラーは“怖くない”という言葉をよくいただくんですね。この場だからはっきり言いますけど、この作品に関してはその汚名を返上しようと思って、思いっきり怖くない」と宣言して客席の笑いを誘いつつ「“怖い”というのはホラーのひとつの使命なんですけど、いわゆる古典的なホラー作品というのは怖い中に人間の悲哀や業が描かれているんですね。そういう普段みんなが避けてしまう部分をあえて描くのがホラーの使命でありホラーを作る意義だと思うんです。お化け屋敷的な作品を期待している方には肩すかしになるかもしれないのですが、今日来てくださったみなさんはご理解していただけると思っています」と作品の意図を説明。
 そして監督は「ネクスト・ホラー・プロジェクト」の締めくくりにあたり「3本一気に作られているんですけど、三者三様違うタイプのものになっています。いま“Jホラー”が盛り返してる中で、このシリーズが3本上映されたというのは重要なことだと思うので、みなさんは“Jホラー”の第2ステージのスタートラインに来たと思って楽しんでいただければ思います」と、ジャパニーズ・ホラーの牽引者としてのメッセージを客席に送りました。

 死者との会話が人間の心の闇を浮かびあがらせる、恐怖の愛憎劇とも呼ぶべき『トーク・トゥ・ザ・デッド』は、舞台あいさつ出演者のほか、大塚千弘さん、毬谷友子さん、嶋田久作さんらが出演。8月3日(土)よりユーロスペースにてレイトショーのほか全国順次公開されます。(配給:トラヴィス)

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