３泊４日、５時の鐘
監督：三澤拓哉
出演：小篠恵奈 杉野希妃 掘夏子 中崎敏 栁俊太郎 福島珠理 二階堂智 ほか
２０１５年９月19日(土)より 新宿K's cinema ほかにて公開
２０１４年／カラー／ビスタサイズ／ＨＤ／ステレオ／89分
神奈川県茅ヶ崎にある“茅ヶ崎館”は１８９９年に創業した老舗旅館。歴史に名を残す名監督・小津安二郎が脚本執筆の際の仕事部屋とした、日本映画と深い縁を持つ旅館である。この由緒ある旅館の歴史上初となる全面的な撮影許可を得て製作された青春群像劇が『３泊４日、５時の鐘』だ。
この映画の主人公は、花梨（かりん）と真紀というふたりの女性。職場の後輩と先輩だが性格が対照的なふたりと、茅ヶ崎館の人々、茅ヶ崎館で合宿する学生たちも絡み、恋愛模様が描かれていく。
花梨を演じるのはデビュー以来『ふがいない僕は空を見た』『花宵道中』などで印象深い演技を見せ『３泊４日、５時の鐘』が初主演となる小篠恵奈。奔放な花梨をしっかりとスクリーンの中に息づかせてみせた。
そして『歓待』『ほとりの朔子』『禁忌』などの杉野希妃が真紀の感情の揺れを巧みに表現。プロデューサー・監督としても国際的に活躍する杉野希妃は『３泊４日、５時の鐘』でも主演とともにエグゼクティブプロデューサーもつとめている。
そのほか、劇団青年座の堀夏子、モデルから演技へと活躍の幅を広げる栁俊太郎、新人の中崎敏と福島珠理、カンヌ国際映画祭監督賞受賞作『バベル』出演の二階堂智ら、多彩なキャストが顔を揃えている。
監督・脚本は１９８７年生まれの新鋭・三澤拓哉。これまで制作スタッフや助監督として経験を重ね、自らの故郷である茅ヶ崎を舞台にした『３泊４日、５時の鐘』で監督デビューを果たした。
若きスタッフ・キャストが中心となって生み出された『３泊４日、５時の鐘』は“映画の魅力”を存分に伝えてくれる。
８月31日。茅ヶ崎にある老舗の旅館・茅ヶ崎館を阿部花梨（小篠恵奈）と、同じ職場の先輩・竹松真紀（杉野希妃）が訪れた。以前の同僚で茅ヶ崎館の娘の瀬山理沙（堀夏子）の結婚パーティーが３日後におこなわれることになっており、そのパーティーに出席するためだった。
奔放な性格の花梨は、旅館でバイトしている大学生・小口知春（中崎敏）をからかうような思わせぶりな態度を取る。知春が誤解するのではと忠告する真紀に、花梨はあっけらかんと「男のひとりでも引っ掛ける気で行きましょうよ」と言い放ち、生真面目な真紀をいらつかせる。
花梨と真紀が茅ヶ崎館に滞在して２日目、花梨は真紀になにも言わずに朝から知春と外出。花梨と出かける予定だった真紀は約束を破られ怒りを露わにするが、花梨は真紀を目の前にしても軽薄な態度を取り続け、真紀の神経を逆なでする。
怒りの収まらない真紀だったが、茅ヶ崎館でゼミ合宿をおこなっている大学生グループが母校の後輩で、恩師の近藤（二階堂智）も引率でやって来ていることを知り、久々の恩師との再会に平静さを取り戻す。
滞在３日目、真紀はゼミ合宿に参加し、学生時代に戻ったかのような気分を味わう。理沙の弟の宏太（栁俊太郎）たちは、親しげな真紀と近藤の様子に、ふたりの過去になにかがあったのではとひそかに噂しあう。そして、ゼミに参加する学生でひそかに知春に想いを寄せる原彩子（福島珠理）は、知春の近くにいる花梨が気になる。
理沙の結婚パーティーを控え、茅ヶ崎館に集まった人々の想いは複雑に絡み合っていく……。
