小篠恵奈さんと杉野希妃さんを主演に、新鋭・三澤拓哉監督が湘南・茅ヶ崎を舞台に描いた青春群像劇『３泊４日、５時の鐘』が９月19日に新宿K's cinemaで初日を迎え、小篠さん、杉野さんら出演者と三澤監督が舞台あいさつをおこないました。
　小篠さんの初主演作、三澤監督の初監督作品となる『３泊４日、５時の鐘』は、茅ヶ崎に実在する老舗旅館・茅ヶ崎館が舞台。友人の結婚パーティー出席のために茅ヶ崎館を訪れた花梨（かりん）と真紀のふたりの女性を中心に、７人の男女の恋愛模様が描かれていきます。
　杉野さんが製作総指揮もつとめたほか出演者の多くがスタッフも兼任して制作された作品となっており、花梨を演じた小篠さんは「初主演だったんですけど、出演者の方もスタッフを兼ねているような現場だったのですごくアットホームで、初主演というプレッシャーがあまりなく、のびのびと参加させていただきました」と初主演作の撮影を振り返りました。

　三澤監督はこれまで杉野さんのプロデュース作や監督作でアシスタントプロデューサーや助監督をつとめており、杉野さんは「同志、戦友というような感じで一緒に仕事をしてきたので、こうやって“三澤監督”としてここに立てているというのが嬉しいですね。彼は観察力が鋭くて一緒に仕事をした３年間の間で驚かされることも多かったんです。そういう面が映画に現れているんじゃないかと思います」と三澤監督について語り、三澤監督は杉野さんの言葉を受けて「杉野さんから“観察”とご指摘されたんですけど、かなりニュアンスというか細かな描写を散りばめたつもりですので、そのあたりをご覧いただけたら嬉しいですね」と映画の見どころをアピールしました。

　映画は全編を三澤監督の郷里でもある茅ヶ崎市で撮影されており、小篠さんは茅ヶ崎の印象を「夏だったのもあると思うんですけど、海のシーンとかもあって（撮影場所にいる）人がすごく陽気だなと思いました。宿泊していたのも茅ヶ崎館で、趣があってすごく楽しかったです」とコメント。映画の舞台でありロケ地である茅ヶ崎館はかつて名監督・小津安二郎監督が脚本執筆のために滞在したことでも知られており、杉野さんは「映画人にとっては憧れの地、聖域な感じがしていたので緊張するのかなと思っていたのですが、すごく落ち着くんですよね。いたるところに小津さんの写真でしたり小津さんについての本が置かれていたり、歴史のある旅館なのでプレッシャーとか緊張というよりは癒やされながら演じていたので、いろんな重荷がそこで取れていったような感じがします」と感想を述べ、三澤監督は「この作品を観て“茅ヶ崎がいいな”と思っていただけたら幸いです」と、出身地への想いの深さをうかがわせました。

　茅ヶ崎館の歴史で初となる全面的撮影協力を得て撮影され、すでに複数の海外の映画祭で受賞するなど高い評価を得ている『３泊４日、５時の鐘』は９月19日(土)より新宿K's cinemaにて公開中。10月10日(土)より八丁座（広島）、10月31日(土)より大阪シネヌーヴォにて公開されます。