東中神駅前、午前9時。ふたりの男がそれぞれに迎えの車を待っていた。
ひとりは、42歳の三船敏郎(金谷ヒデユキ)。父を亡くしたのをきっかけに介護の仕事に就くことを決めた真面目な男は、熱心に勉強と研修に励み、見習いヘルパーとして実際に老人介護をおこなうことになった。
もうひとりは、33歳の三舟トシロー(仁科貴)。ギャンブルにうつつを抜かし借金を作って妻子とも別れたダメ男は、振り込み詐欺のグループの受け子となり、騙した老人から大金を巻き上げようとしていた。
同じ場所、同じ時間、そして「ミフネ・トシロー」という同じ名前。偶然とちょっとしたタイミングのズレが重なって、新米ヘルパーの敏郎は詐欺グループの車へ、受け子のトシローは介護サービスの車へ、それぞれ乗り込んでしまった。敏郎もトシローも、迎えに来た“先輩”も、どこかおかしさを感じつつも、2台の車はそれぞれの目的地へと向かう。
ひとり暮らしの老婦人・千代子(園まり)は、永いこと会っていない孫からの電話を受けた。事件に巻き込まれたという孫を助けるため大金を用意した千代子のもとにやって来たのは敏郎。敏郎は、孫を案じる千代子の言葉に優しく耳を傾ける……。
介護サービスを受けている農家の老人・志村(浜畑賢吉)は、ヘルパーにしては言動の奇妙なトシローに、ときに厳しく、ときに優しく声をかける。堅実に「地べたで生きる」ことを説く志村の言葉は、トシローの心に響く……。
やがて、浅からぬ縁のある千代子と志村は再会を果たす。一方で敏郎とトシローは、自分の置かれた状況もわからないまま詐欺グループに監禁される。ふたりの“トシロー”は、人生の道しるべを見つけ出せるのだろうか?
道しるべ
監督:田中じゅうこう
出演:仁科貴 金谷ヒデユキ 園まり 浜畑賢吉 ほか
2015年6月13日(土)より 角川シネマ新宿、横浜ニューテアトルほか全国順次公開
2015年/カラー/ステレオ/97分
真面目に老人介護に取り組む新米ヘルパー。ギャンブルに溺れた詐欺グループの受け子。境遇も性格もまるで違うふたりの男は、同じ時間に同じ場所で迎えを待っていた。そしてもうひとつ、ふたりは“同じ名前”だった――。
かつて日本には“プログラムピクチャー”があった。低予算だが娯楽作品の魅力あふれるプログラムピクチャーのテイストを現代に蘇らせようという意図のもと、シリーズ「夕焼け劇場」がスタートした。その第一弾となるのが、ふたりの男が老カップルとの出会いの中で“人生の道しるべ”を見つけていくコメディー『道しるべ』だ。
監督は、2011年公開のドキュメンタリー映画『ムーランルージュの青春』を手がけた田中じゅうこう。1981年の『西風』など短編の劇映画も多く監督しており、本作は待望の長編劇映画となる。
キャストには魅力あふれる俳優陣が揃った。詐欺グループの一員の主人公・トシローにはシリアスからコメディまで多彩な役をこなす個性派・仁科貴。もうひとりの主人公・真面目な新米ヘルパーの敏郎にはユニークな替え歌で一世を風靡し近年はミュージシャン、お笑い芸人、声優として活躍する金谷ヒデユキ。詐欺に引っかかる老婦人・千代子にはかつて3人娘として人気を博し、映画出演は実に42年ぶりとなる園まり。千代子の恋の相手の老人・志村には舞台やテレビドラマなどで活躍するベテラン・浜畑賢吉。さらに、多くの映画賞に輝く名女優・渡辺真起子や、90歳を越えいまも現役の漫才師・内海桂子が共演する。
どこかで間違えてしまった人生の分かれ道。でも、決して若くはなくとも、もう一度道を選ぶことはできるはずだ。どこか懐かしくあたたかな“喜劇映画”の名にふさわしい作品がここに誕生した。
- 仁科貴
- 金谷ヒデユキ
- 浜畑賢吉
- 園まり
- 安藤ヒロキオ
- 上原舞花
- 堀畑杏奈
- 亮王
- 真砂豪
- 米勝吉
- 榊原雅則
- 広瀬圭祐
- 保田泰志
- 三輪江一
- 名倉右喬
- 菅野圭
- 塚谷柊斗
- リーマン・F・近藤
- 森本のぶ
- 岡村洋一
- 恩田尚史
- 才藤了介
- 澤野泰誠
- 奈良典子
- 堀米柚花
- そよなほまれ
- 西條美里
- 藤咲かれん
- 田邉絵莉
- 龍見咲楽
- 渡辺真起子
- 内海桂子
- 監督:田中じゅうこう
- 脚本:大隅充
- 製作:竹中司/田中太賀志/柳原みか
- プロデューサー:橋本啓一
- 監督補:大串利一
- 撮影:本吉修
- 録音:有國浩
- 美術:黒須康雄
- 装飾:佐藤康夫
- メイク:楮山理恵
- 衣装:石月奈々子
- 助監督:長尾元/石田晴花/関口優介
- 制作担当:真砂豪
- 制作主任:白岩義行
- 整音:吉田茂一
- 編集:田中重幸/澤井祐美
- ポスター画:木村浩之
- 音楽プロデューサー:吉川清之
- 音楽:国広和毅
- 配給・宣伝:トラヴィス