
東中神駅前、午前9時。ふたりの男がそれぞれに迎えの車を待っていた。
ひとりは、42歳の三船敏郎(金谷ヒデユキ)。父を亡くしたのをきっかけに介護の仕事に就くことを決めた真面目な男は、熱心に勉強と研修に励み、見習いヘルパーとして実際に老人介護をおこなうことになった。
もうひとりは、33歳の三舟トシロー(仁科貴)。ギャンブルにうつつを抜かし借金を作って妻子とも別れたダメ男は、振り込み詐欺のグループの受け子となり、騙した老人から大金を巻き上げようとしていた。
同じ場所、同じ時間、そして「ミフネ・トシロー」という同じ名前。偶然とちょっとしたタイミングのズレが重なって、新米ヘルパーの敏郎は詐欺グループの車へ、受け子のトシローは介護サービスの車へ、それぞれ乗り込んでしまった。敏郎もトシローも、迎えに来た“先輩”も、どこかおかしさを感じつつも、2台の車はそれぞれの目的地へと向かう。
ひとり暮らしの老婦人・千代子(園まり)は、永いこと会っていない孫からの電話を受けた。事件に巻き込まれたという孫を助けるため大金を用意した千代子のもとにやって来たのは敏郎。敏郎は、孫を案じる千代子の言葉に優しく耳を傾ける……。
介護サービスを受けている農家の老人・志村(浜畑賢吉)は、ヘルパーにしては言動の奇妙なトシローに、ときに厳しく、ときに優しく声をかける。堅実に「地べたで生きる」ことを説く志村の言葉は、トシローの心に響く……。
やがて、浅からぬ縁のある千代子と志村は再会を果たす。一方で敏郎とトシローは、自分の置かれた状況もわからないまま詐欺グループに監禁される。ふたりの“トシロー”は、人生の道しるべを見つけ出せるのだろうか?