
自宅でピアノ教室を開いている女性・カオリは、教え子である少女・ユウの父親に性的暴行を受ける。その事実を誰にも打ち明けられないカオリは、ユウもまた父親から性的虐待を受けていることを知る。そして……。
社会問題を扱った映画を作り続け、児童虐待を題材とした長編『風切羽~かざきりば~』が注目を集めた監督・小澤雅人。彼が新作『月光』で描くのは「性暴力被害」である。日本だけでなく世界的な問題であり「魂の殺人」と呼ばれるこの重い題材に、監督の小澤は取材を重ね真摯に向き合ってみせる。
主演をつとめるのは、北村龍平監督作品『LOVEDEATH』ヒロイン役でデビュー(当時は「NorA」名義)後、ロサンゼルス留学を経て女優として多方面で活躍する佐藤乃莉(さとう・のり)と、小学生向けファッション誌「ニコ☆プチ」元専属モデルでCMやドラマへと活動の場を広げ、本格的映画出演は初となる石橋宇輪(いしばし・うわ)。ふたりの女優が、まさに全身で性暴力や虐待に遭った者の苦しみや戸惑いを表現する。
さらに、上野優華、川瀬陽太、遠山景織子、黒沢あすか、美保純ら、幅広いキャストが共演。また、主人公のピアノ教師という設定にあわせピアノ曲が劇中で効果的に使われており、主題歌「月光」は『無伴奏』主題歌や『復讐したい』挿入歌と映画への参加が続いている女性5人組バンド・Drop'sが担当している。
『月光』は、現在の社会に存在する問題を提示する作品であると同時に、登場人物の感情を丹念に描く人間ドラマでもある。この作品が示す「魂の行方」は、観客の中に鋭く突き刺さる。

かつて音楽の道を目指しながらもある理由で音楽大学を辞めたカオリ(佐藤乃莉)は、現在は自宅で子どもたち相手の小さなピアノ教室を開いている。教え子の中には、写真館を営む両親を持つ少女・ユウ(石橋宇輪)がいた。
教室主催のピアノの発表会がおこなわれた日、カオリは発表会用の服を持っていないユウに自分の服を譲って舞台に上がらせようとするが、控え室での着替えの最中、カオリはユウの体にいくつもの傷跡を見つけてしまう。
発表会が終わったあと、ユウの父親・トシオ(古山憲太郎)は、服のお礼にカオリを車で送ると申し出てきた。用事があると断るカオリだったが、トシオの熱心な態度に結局は車に乗り込んでしまう。その夜、カオリはトシオに性的暴行を受け、野外へと置き去りにされた……。
体にも心にも傷を負ったカオリは、性的暴行を受けたことを誰にも打ち明けられぬままひとり怯えながら過ごす。さらに性的暴行の事実は、カオリの過去の忌まわしい記憶さえも呼び起こしてしまう。現在と過去の記憶に憔悴していくカオリは、その苦しみの中でピアノ教室の教え子やその両親を巻き込む事件を起こしてしまう。
一方、ユウもまた父親であるトシオに性的虐待を受けていた。その苦しみから逃れるかのように自傷行為に走るユウ。カオリはそんなユウと偶然に再会し、ユウが性的虐待に遭っている事実に気づく。
やがて、カオリとユウはふたりで小さな旅に出る。同じ苦しみを共有するふたりが目指す場所はどこなのか。そして、ふたりが選ぶ道とは……。