十字架
監督:五十嵐匠
出演:小出恵介 木村文乃 富田靖子 永瀬正敏 ほか
2016年2月6日(土)より有楽町スバル座、シネ・リーブル梅田、名演小劇場ほか全国ロードショー イオンシネマ下妻にて先行ロードショー
2015年/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/122分

ある日、中学2年生の少年が自ら命を断った。少年の幼なじみで少年が“親友”だと書き残した男子生徒。少年が命を経った日に誕生日を迎えた女子生徒。少年が遺書に名前を記したふたりは、その後の人生をどのように歩むのか……。
映画『十字架』は、ひとりの少年の自殺をきっかけに、周囲の人々の20年におよぶ葛藤や苦しみ、そしてその先にある癒やしを描いた作品だ。原作は吉川英治文学賞受賞作である重松清の同名小説。『地雷を踏んだらサヨウナラ』『半次郎』など、実在の人物の生涯を描いた作品を数多く手がけてきた五十嵐匠が、自らの企画で脚本と監督をつとめ映画化を実現させた。
20年という長い年月を描くにあたって、主人公とヒロインは中学生時代から成人してまでを同一の俳優が演じるという手法が採られた。自殺した少年の“親友”である主人公・ユウを演じるのは『パッチギ』『風が強く吹いている』「ROOKIES」など多くの映画やドラマで活躍する小出恵介。少年の“片思いの相手”の女子生徒・サユ役には五十嵐匠監督作品『アダン』でデビューし、近年はドラマやCMで注目を集める木村文乃。同一の俳優が各時代を一貫して演じることにより、20年という時間が、つねに“現在”として描かれていく。
さらに、自殺した少年・フジシュンの弟の青年期を映画出演が続く若手俳優・葉山奨之が演じ、母親役には富田靖子、父親役には永瀬正敏と、実力派俳優が大切な存在を失った家族の心理を丹念に表現している。
少年の死により、後悔や罪の意識を背負う者、怒りや哀しみを背負う者。それぞれが背負った十字架は、決して下ろすことができないのか? 映画『十字架』は、誠実に、真摯に問いかけていく。

まだ夏のような陽射しが残る秋の1日。ある告別式の式場の前に集まった報道陣は、やって来た中学生の一団にカメラを向け質問を浴びせる。その中学生たちの中には、ユウこと真田祐(小出恵介)の姿もあった。
亡くなったのは、中学2年生でユウと同じクラスのフジシュンこと藤井俊介(小柴亮太)。自ら命を断ったフジシュンは、4人の生徒の名を記した遺書を残していた。ひとり目に書かれていたのが、ユウ。遺書には“親友”であるユウへの感謝の気持ちが綴られていた。だが、ユウとフジシュンは幼なじみではあったが、中学に入ってからはほとんど話すこともなく、ユウはフジシュンがひどいイジメに遭っていることを知りながら、フジシュンを助けもせず、ただ見ているだけだったのだ。
遺書に書かれた2人目と3人目はイジメの中心人物。4人目は、別のクラスの女子生徒・サユこと中川小百合(木村文乃)。フジシュンが死んだ日が誕生日だったサユは、宅急便で送られたフジシュンからの誕生日プレゼントを受け取っていた。
告別式のあと、ユウとサユはフジシュンの母・澄子(富田靖子)から家に招かれる。亡き息子の“親友”と“片思いの相手”に息子の思い出を語る澄子。その期待に応えるように“親友”として振る舞うユウ、フジシュンの記憶を大切に留めると誓うサユ。一方でユウとサユは、フジシュンの父・晴男(永瀬正敏)の深い怒りにも触れていく。
あの遺書によって重いものを背負うこととなったユウとサユは、数年後、東京の大学へ進学し町を出ることとなった。街を出る直前、ユウとサユはフジシュンの両親や弟・健介(葉山奨之)の前で、抑えられない想いを吐露してしまう……。
重いものを背負いながら東京で人生を歩んでいくユウとサユ。あの日から20年を経て、彼らはいまなにを思うのか……。