スリリングな日常
監督:頃安祐良/熊坂出/熊澤尚人/豊島圭介
出演:ユグォン 藤田富 加藤葵/相楽樹/落合モトキ 金子ノブアキ/秋山成勲 ほか
2016年6月25日(土)より ユーロスペースにてロードショー 以降全国順次公開
2016年/カラー/ステレオ/16:9(「Qちゃん」「不審者」「あさのはなし」),2.35:1(「忘れられる人」)/81分(「Qちゃん」21分,「不審者」10分,「忘れられる人」29分50秒,「あさのはなし」19分)
私たちが暮らすこの世界は「スリリング」にあふれている。日々の生活の中で、当事者以外は気づかずに見過ごしてしまうようなスリリングな出来事を気鋭の4監督が綴った4つの短編からなる映画、それが『スリリングな日常』だ。
『あの娘、早くババアになればいいのに』で注目を集めた頃安祐良(ころやす・ゆうすけ)、『パーク アンド ラブホテル』で日本人初のベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞を受賞した熊坂出、『君に届け』『近キョリ恋愛』などのヒット作を手がける熊澤尚人、『ヒーローマニア-生活-』『森山中教習所』と劇場公開作が続く豊島圭介と、いずれもぴあフィルムフェスティバル入選経験を持つ4人の監督が送り出す短編は、いずれも個性豊かな作品に仕上がっている。
そしてキャストも幅広く豪華なメンバーが集った。捨てられた吸血鬼を拾った青年が主人公の頃安監督「Qちゃん」は、韓国の人気グループ・Block Bのユグォンが主演をつとめ、共演にはモデルから俳優へと活躍の場を広げる藤田富やCMなどで活躍する加藤葵。深夜の自室で不審者の影に怯える女性の姿を描く熊坂監督「不審者」は、ドラマ「とと姉ちゃん」などの女優・相楽樹が主演。他人の記憶から消えてしまう人間の生活を描いた熊澤監督「忘れられる人」は、若手実力派として注目の高まる落合モトキとミュージシャンとしても活躍する金子ノブアキの共演が実現。夫婦と小さな娘の3人家族の朝のひとときを描く豊島監督「あさのはなし」は、格闘家でタレントとしても日韓で活躍する秋山成勲が映画初主演を果たしている。
クスッと笑えたり、背筋がゾッとしたり、それぞれ異なるタッチの“不思議な展開”を見せる4作品は、日常の中に潜む危うさを私たちに教えてくれる。往年の名作を髣髴とさせる珠玉の短編集がここに誕生した。
Qちゃん
日本に来て半年の留学生・イム(ユグォン)が高架下で出会ったのは「捨て吸血鬼」のQちゃん(加藤葵)。Qちゃんの抱えているぬいぐるみに自分の妹を思い出したイムは、自分の部屋へとQちゃんを連れて帰る。最初は「吸血鬼」の意味がわからなかったイムだが、料理中のイムが誤って包丁で手を切るとQちゃんはすさまじい勢いで近寄ってきて傷口から流れた血を舐めはじめる。イムは、誰にもQちゃんの存在を知られないようにして共同生活を続けるのだが……。
不審者
恋人の歩と電話で会話しながら自宅へと戻った女子大生の奈々美(相楽樹)。年上の歩は、部屋で殺人鬼が待ち構えているのではないかと話して奈々美を怖がらせる。部屋に着いた奈々美は、今度はチャットで歩との会話を続けていくが、突然部屋のチャイムが鳴る。訪ねてきたのは警察官。付近に不審者が現れたと告げる警察官は、奈々美を怪しい視線で見つめる……。
忘れられる人
日雇いで農作業のアルバイトをしている柏木大輝(落合モトキ)。前の日に一緒に作業をしたはずの人々も、翌日になると誰も大輝のことを覚えていない。大輝は、1日経つと他人から「忘れられて」しまうのだ。そんな大輝は、先輩の宝来(金子ノブアキ)と再会する。大輝と同じようにある日突然、他人から「忘れられる」ようになり、すべてを失ったという宝来。「忘れられる人」同士は、お互いのことを覚えていられるのだ。そんな中、大輝はアルバイト中に出会った女性・神保優香(早織)が自分のことを覚えているのに気づく……。
あさのはなし
父(秋山成勲)と母(中村映里子)と娘(花田優里音)の3人が暮らす家。それぞれ、職場や学校に向かうための身支度をしながら朝食をとる、いつもと変わらない朝。これは、そんなありふれたある朝の話。