日常の中にあるスリリングな出来事を描いた４本の短編からなる『スリリングな日常』が６月25日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、相楽樹さん、落合モトキさんら出演者と頃安祐良監督、豊島圭介監督が舞台あいさつをおこないました。

　『スリリングな日常』は、４人の気鋭の監督がそれぞれに違ったスタイルで「スリリング」を表現。捨てられた吸血鬼を拾った留学生が主人公の「Ｑちゃん」、ひとり暮らしの女性が体験する不審者の恐怖を描く「不審者」、他人の記憶から消えてしまう青年の物語「忘れられる人」、父・母・幼い娘の３人家族の朝のひとときを映し出す「あさのはなし」の４本で構成されています。

　「忘れられる人」で主人公の青年・大輝を演じた落合モトキさんは「５日間くらいで朝早くから夜遅くまで撮って、宿に泊まったら隣の部屋との仕切りがふすま１枚しかないみたいな感じで、それはスリリングでしたね(笑)。そんなことを作品を観て思い出したので、こうやってみなさんに観ていただける機会を作っていただきありがとうございます」と、映画のタイトルにちなんだフレーズを織り交ぜてあいさつ。
　ドラマ「とと姉ちゃん」鞠子役で注目されている相楽樹さんは「不審者」で主人公の奈々美を演じており「１日で撮りまして、朝から夜中までけっこう濃い感じの１日でした」と撮影を振り返り「鞠子とはぜんぜん違う感じの役なので、ぜひ注目して観てください」とコメント。奈々美と関わりの深い女性・歩を演じた田中広子さんは「私は『とと姉ちゃん』を観るたびにちょっと違った目線で樹ちゃんを拝見しています(笑)」と、思わせぶりに語りました。
　韓国の人気グループ・Block Bのメンバー・ユグォン（U-KWON）さん主演の「Ｑちゃん」で吸血鬼のＱちゃんを演じた加藤葵さんは「撮影期間中はみなさんの雰囲気がすごくあたたかかったですね。あまりピリピリせず、柔らかい雰囲気の中で撮影させていただきました」、共演の山崎大輝さんは「主演のユグォンさんがすごく日本語がお上手で、みんな和気あいあいと撮影を続けていましたね」と、撮影中の和やかな雰囲気をうかがわせました。

　「Ｑちゃん」の頃安祐良監督は「ほんとに楽しく撮影させていただいて、作品の内容的にはブラックユーモアというかぼくの中ではコメディだと思っていて“これ笑っていいのかな？”みたいな雰囲気で変な話になったと思うので、そこらへんを楽しみにしてもらえれば」とアピール。
　格闘家の秋山成勲さんがお父さん役で初の映画主演をつとめた「あさのはなし」の豊島圭介監督は「短編を撮るときは必ずひとつチャレンジ的な内容を入れようと思っていて、前回（２０１５年公開『Only 4 you／すけ坊』）短編を撮ったときには主演のDef TechのMicroさんに落語を覚えてもらって長回しで落語をやっていただいたんですけど、今回はまた別のチャレンジをしているので、どんなチャレンジかご覧いただきたいと思います」と映画の内容に期待を持たせ「映画作りってどこか文化祭的なところがあると思っていて、スタッフもキャストも参加してひとつのものを遊びながら作るみたいな感覚を観ていただけたらなと思います」と見どころを語りました。

　舞台あいさつでは映画のタイトルにちなんで「『スリリングな日常』にならないように心がけていることは？」という質問もされ、山崎さんが「スリリングはみなさんに突然やって来ますよね、そうじゃないですか？」と発言すると、落合さんは「突然やって来ますよね」と、舞台あいさつの前に別の仕事を終え一度帰宅して仮眠したら寝過ごしそうになったという裏話を紹介し「スリリングでしたよ(笑)」と苦笑い。普段から寝過ごさないように注意しているという相楽さんも「朝ドラの撮影のときに８時に現場入りだったんですけど８時にアラームをかけていたみたいで、8時に起きてしまって“終わった”って思いました。スリリングというかアウトでした。ほんとにご迷惑をかけてしまって……」と失敗談を披露しました。

　相楽さんは「いろいろな短編が詰まっていますので、ぜひ楽しんでいってください」、落合さんは「自分はここの映画館によくプライベートで観にきているんですけど、この映画館でこうやって人の前に立つことはなかったと思うので、いい経験になりました。今日は楽しんで帰ってください」と、それぞれ語って舞台あいさつを締めくくりました。

　舞台あいさつ登壇者のほか、ユグォンさん（「Ｑちゃん」）、金子ノブアキさん、早織さん、岩井七世さん（「忘れられる人」）、中村映里子さん（「あさのじかん」）らが出演、熊坂出監督（「不審者」）、熊澤尚人監督（「忘れられる人」）が参加している『スリリングな日常』は、６月25日(土)より渋谷ユーロスペースにて公開されています。