
日本各地のフィルムコミッション(FC)は、映画をはじめ映像作品のロケ撮影を支援し、現在の映画制作を支える存在だ。もし、そのFCや地域の人々の善意を利用しようとする悪徳映画プロデューサーがいたら――。そんな発想から生まれた物語をシニカルに、そしてコミカルに描くのが『エキストランド』だ!
監督は、2017年には『東京ウィンドオーケストラ』が公開されドラマ演出にも進出した期待の新鋭・坂下雄一郎。独特の視点での人物描写やテンポよい演出により「坂下ワールド」とも呼ぶべき世界を作り出している。
そして主人公である映画プロデューサー・駒田を演じるのは吉沢悠。「一見人当たりがよいが他人を利用することになんの躊躇もない」という駒田の人格を見事に表現したその演技は必見だ。
さらに、FC担当者の内川にCMでも人気の前野朋哉、映画監督の石井にTEAM NACSの戸次重幸、映画に協力する市民の土田にお笑いコンビ・はんにゃの金田哲、さらに、中村無何有、嶺豪一、棚橋ナッツら、個性的なキャストが集まっている。
『エキストランド』は、約2年半をかけて全国各地の13のFCに取材をおこない、プロデューサーの田中雄之と監督の坂下による脚本にはその取材の成果が反映されている。ハチャメチャに思える『エキストランド』のストーリーは、実は日本映画界のどこかにある現実なのかもしれない。
FCをめぐる騒動を描いた『エキストランド』は、信州上田FCと300人を超えるエキストラの協力を得て撮影されている。『エキストランド』は、その制作過程も含め「モノづくりに大切なもの」を笑いと風刺に包んで投げかける意欲作だ!!

映画プロデューサーの駒田(吉沢悠)は、以前に手がけた映画が会社を傾けるどころかひっくり返すレベルの大ゴケとなり、下っ端の仕事から出直し中の身。
そんな駒田は、誰も担当したがらない新作映画の企画があると知り、プロデューサーを引き受けた。その作品は脚本が破綻している上、まともに撮ったらとても予算内では収まらない内容。だが脚本を書いたのは人気俳優を抱える芸能事務所の社長で、社長の機嫌を損ねないよう脚本を一字一句変えずに撮らなくてはならない。
この難題に取り組むことになった駒田は、行きつけのバーの店員・土田(金田哲)の紹介で、新たにフィルムコミッションを立ち上げたばかりの土田の出身地・えのき市を訪れた。フィルムコミッション担当の市職員・内川(前野朋哉)やえのき市民が映画制作の事情に疎いのにつけ込んで、駒田は自分に都合のいい条件で映画への「協力」を要請する。
こうして、内川の熱意と地元を盛り上げたいという市民の善意になにからなにまで頼った撮影が、いよいよ始まる。土田は地元の友人たちともに現場スタッフとして参加することになり大張り切り。東京から来た監督の石井(戸次重幸)は、駒田のやり方に疑問を感じつつも、久々の映画を撮るチャンスになにも言えない。
内川は、エキストラ集めや撮影への協力要請で撮影が始まってからも走り回る。だが、エキストラへのあまりに粗雑な扱いや撮影隊の身勝手さに、市民の間には少しずつ不満が広がりはじめていた。ひたすら頭を下げ続けてきた内川も、駒田の態度に違和感を感じるようになり……。この映画、一体どうなる!?