いぬむこいり
監督：片嶋一貴
出演：有森也実 武藤昭平（勝手にしやがれ） ほか
２０１７年５月13日(土)より 新宿K's cinemaほか全国順次公開
２０１６年／カラー／ビスタサイズ／5.1ch／２４５分｜R-15
代々“犬婿入り”の話が伝えられてきた家に育った小学校教師・梓。彼女は、お告げの声に導かれイモレ島へと向かう――。
四章構成、上映時間４時間以上。近年の日本映画では異例と言えるボリュームを持った異色作が公開を迎える。各地に伝わる“異種婚姻譚”をモチーフに、独特のエロティシズムと現代社会へのシニカルな視点が融合した『いぬむこいり』だ。
企画プロデュース・監督は片嶋一貴。監督作『アジアの純真』『たとえば檸檬』やプロデュースをつとめた鈴木清順監督作『ピストルオペラ』『オペレッタ狸御殿』で日本映画界に刺激を与えてきた異才が、新たな刺激を送り出す。
主演は片嶋監督作品『たとえば檸檬』でも主演をつとめた有森也実。片嶋作品４度目の出演となる本作では、主人公・梓を等身大の40代女性としてリアルに表現。想像を越える状況に翻弄されながら自分の“宝物”を探し求める梓を熱演してみせた。
そして、梓と行動をともにするペテン師のアキラ役にはジャズ・パンクバンド“勝手にしやがれ”のドラム＆ボーカル・武藤昭平を起用。さらにベンガル、緑魔子、石橋蓮司、柄本明らのベテラン俳優陣やミュージシャンのPANTA、個性派の江口のりこ、尚玄、片嶋作品常連の若手である韓英恵、笠井薫明（旧名・笠井しげ）、山根和馬ら、幅広いキャストが集った。
撮影は『EUREKA ユリイカ』『萌の朱雀』など数々の作品を手がけてきたベテラン・たむらまさきが担当。個性的なキャラクターが繰り広げる激動の物語を美しい映像でスクリーンに描いていく。
東京から地方都市、そして無人島、戦争の島へと舞台を移していく物語は、奇妙で不可思議でありながら、まぎれもなく“いまの日本”を描いている。神話のように現在を映し出す『いぬむこいり』は、映像で綴る鮮やかな現代の絵巻だ。
昔、戦で敵軍の大将を討ち取ったのは、城主の飼い犬。その褒美として、犬は姫と結婚をする――。小学校教師の二宮梓（有森也実）の家には、そんな物語が代々伝わっていた。このところ、梓はなにもかもうまくいかない。学校ではトラブルを起こし、他人の悪意を匂いで感じるようになり、長年付き合っていた婚約者には振られてしまう。茫然自失の梓の耳に聞こえてきたのは「イモレ島へ行け。そこにはお前が望んでいる宝物がある」というお告げの声だった。
仕事を辞め東京での生活を捨てた梓は、イモレ島に行くためまず沖之大島へ。そこからイモレ島に渡ろうとする梓だが、島へ渡る手段は見つからず、島の人々はイモレ島と聞くとよそよそしい態度をとる。おまけに、困っていたところを助けてくれた男・アキラ（武藤昭平）を信用したばかりに、梓は一文無しになってしまった。
お金も行くあてもない梓は、偏屈な三線屋の店主・奥本健吉（柄本明）と出会い、奥本の店に居候させてもらうことになる。そして梓は、梓の家に伝わる物語とよく似た伝説が沖之大島に伝わっていることを知る。
やがて梓は、パンクバンドの若者・賢（笠井薫明）を騙そうとしていたアキラと再会。さらに、島を支配する市長の鈴木（ベンガル）と、賢の父親であるゴロツキ活動家・沢村（石橋蓮司）の争いに、アキラとともに巻き込まれていく。
沖之大島で選挙戦を闘った梓は、アキラと一緒に島を抜け出しイモレ島へ。だが嵐の中でアキラとはぐれ、流れ着いたのは犬男の翔太（山根和馬）がたったひとりで暮らす無人島。犬男との生活を経て、ついに梓は世間に知られることなくふたつの民族が戦争を続ける島・イモレ島へとたどり着く――。
