劇団員の青年・健太は、年上の女性・麻耶に恋をした。やがて健太は麻耶の過去を知っていく――。
ミュージカル「忍たま乱太郎」や『ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」』など、舞台を中心に活躍する俳優・秋沢健太朗が、篠原哲雄がメガホンをとる『君から目が離せない ~Eyes On You~』で初の映画主演をつとめる。
物語は、若き俳優の成長と恋愛を、冬から夏、そして秋へと、ほぼ1年にわたり描いていく。秋沢健太朗は主人公・健太のまっすぐな恋を表現するとともに、劇中の演劇シーンでは舞台で培ってきた経験を存分に発揮している。共演には、中村優一、渡部龍平、根岸季衣ら、若手からベテランまで顔を揃え、監督の篠原哲雄も演出家役で出演している。
そしてこの作品は、1996年に公開された篠原哲雄の代表作のひとつ『月とキャベツ』と密接な関係を持った映画でもある。健太の恋の相手・麻耶を演じるのは『月とキャベツ』でヒロインを演じた真田麻垂美。『月とキャベツ』でメイクを担当していた馮啓孝が初の映画プロデュースをつとめ、撮影の上野彰吾、録音の田中靖志と『月とキャベツ』のスタッフが参加している。さらに劇中には『月とキャベツ』を思わせる映画も登場し、かつて『月とキャベツ』が撮影された群馬県中之条町の伊参も重要な舞台となっている。もちろん、音楽と主題歌を担当するのは『月とキャベツ』主演の山崎まさよし(山崎将義)だ。
『君から目が離せない ~Eyes On You~』は、劇中の設定と演じる俳優たち自身が重なり、どこか現実とフィクションが交錯するような不思議な時間を作り出す。その時間は、20年以上にわたり『月とキャベツ』が愛されてきたように、多くの人々に愛される大切な記憶になっていくはずだ。
【冬編】
東京、下北沢。劇団員の秋山健太(秋沢健太朗)は、テレビドラマに出演することになった劇団員の代役として、次の公演に出演することになった。その一方で、ティッシュ配りのアルバイトをしている最中に落し物を拾ったことをきっかけにヨガ講師の夏目麻耶(真田麻垂美)と知り合い、彼女に惹かれていく。舞台の稽古やバイトに励みつつ、麻耶のヨガ教室にも通いだす健太は、思い切って麻耶を食事に誘い、ふたりの距離は次第に近づいていくが、麻耶には健太の知らない過去があった……。
【夏編】
健太は次の劇団公演で初めての主演をつとめることになり、麻耶との恋も順調に進んでいた。ある夜、健太と麻耶がふたりでいるときに、テレビ出演をきっかけに人気俳優となった廣畑(中村優一)が現れる。廣畑は、麻耶が過去に映画に出演していたことを知っており、健太にその映画『惑星(ホシ)とレタス』を教えてくれる。劇団での活動や麻耶との関係に考えるところがあった健太は、廣畑と先輩劇団員の蓬田(渡部龍平)とともに『惑星とレタス』のロケ地である群馬県中之条を訪れる……。
【秋編】
健太は、劇団の節目となる公演に出演者として麻耶を誘い、麻耶はその舞台で重要な役をつとめることになった。健太と麻耶はともに稽古に励み、ついに幕を開けた舞台は動員も好調も公演を重ねていく。だが、千秋楽前日の公演後、麻耶は楽屋で健太にふたりで会うのをやめようと告げ、健太は動揺する。その翌日の千秋楽、公演中にアクシデントが起き、舞台は終えられたものの健太はケガをして病院に運ばれてしまう。幸いケガは大したことはなく健太は翌朝には退院するが麻耶は置き手紙を残して健太の前から姿を消していた……。