椿山和昭課長役・西田敏行さん
今日、製作発表できることを嬉しく思います。素晴しく面白い作品になることは撮影しながら確信しました。
ぼくは心筋梗塞っていう病気を患ったときに「今日が俺の命日になっちゃうのかな」くらいのところまで追いやられた時期がありまして、そのときに覚悟はできたんですけど「やり残したことはなんなんだろう」って走馬灯のように頭に巡ったんですね。そういう気持ちを代弁してくれる作品なものですから、椿山課長は心の準備もないまま逝ってしまったんですけど、納得した逝き方ができるといいなと撮影しながら思っていました。
いま世の中は犯罪の連鎖がとっても切なくて、つらくてしんどいニュースばかりですけど、ぼくは子供の頃から映画を観ることで情操をもらった気がするんですね。だから、みなさんに人間が本来持っている優しさを取り戻していただくためにも、こういう映画をたくさん若い人たちにもご覧いただきたいなあと思っております。
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和山椿役・伊東美咲さん
今回は中年のサラリーマンということでほんとうに難しい役どころだったのですが、演じた初日からほんとに楽しみながら演じ切ることができましたので、私自身仕上がりを楽しみにしています。
現場では西田さんと一緒のシーンはないんですけど、どうしたら椿山に見えるかなと西田さんと連絡を取り合って、共通点として出身が福島なので、訛りを使えば一緒に見えるんじゃないかということから手探りで始めて、西田さん、監督、みなさんに支えていただいて、丁寧に作っていきました。観ていただいた方々に優しい気持ちになってもらえる、そんな作品になっていると思います
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原作者・浅田次郎さん
人間は誰でも死ぬんで、これは避けられない宿命ではあるんですけど、生きている人はみんななるべく考えないようにして生きているんですね。そういう誰にでも訪れるテーマを扱ったんですけど、新聞に連載中から反響をいただきまして、その中で多かったご意見で「死ぬのが怖くなくなった」というお手紙がありまして、これは良かったなという風に思っております。小説というのは自分の苦悩を書くものですけど、苦悩を苦悩のまま読者に押し付けるというのは私はあまり好きではないので、なんらかのかたちで苦悩を解決するようなオチというのを小説では付けたつもりです。
自分でも小説を書いているときに手応えのあった作品であります。素晴しい映画になると思いますので、よろしくお願いします
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河野圭太監督
この作品がぼくにとってまだ2本目なんですけど、こんな素晴しい原作を、こんな素晴しいキャストでやらせていただきました。絶対に面白くしなければと現在後処理に精進しております。
椿山という男は、この世に戻って来てひどいことをいっぱい知って、ひどい思いをするんですけど、なぜかフッとあたたかい気持ちになって終われる作品にしたいと思います。
よりたくさんの方々に観ていただきたいのはもちろんなんですが、観ていただくときに、この人(伊東さん)の中に、この人(西田さん)が入っていると思って観ていただくと、倍面白いと思います(笑)。
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若杉正明プロデューサー
幸運なことに素晴しい小説を映画化することができました。浅田先生の出される作品は人気の高いものばかりでして、映画化権をいただくときに、たまたま私が原作を読んだあとだったんですが、前の会社さんが脚本作りがうまくいかなくて手放されたときだったので、そのタイミングが僥倖だったと思うのと、キャスティングにつきましては、当代きっての役者さんである西田さん、伊東さんにすんなりお引き受けいただけました。こんなに素晴しい出演者、素晴しい監督で、必ずや今年公開される日本映画の代表格の1本になることは間違いないと思います。
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