このほど、スイスで開催された第60回ロカルノ国際映画祭において、コンペティション部門に出品された小林政広監督の『愛の予感』がグランプリ(金豹賞)を受賞しました。また、同作品はCICAE賞(国際芸術映画評論連盟賞)、ヤング審査員賞、ダニエル・シュミット賞もあわせて受賞、4冠獲得となりました。ロカルノ映画祭における日本映画のグランプリ獲得は、1961年の市川崑監督『野火』、1970年の実相寺昭雄監督『無情』に続く、37年ぶり3作目となります。
現地時間で8月11日の夜におこなわれた授賞式には小林監督と主演の渡辺真起子さんが出席。イレーヌ・ジャコブ審査員長は同作品について「美学的に力強く、コンペティションに参加した19本の映画の中で最も個性的である」とコメント。小林監督は「公式上映前日のプレス試写での評判がよかったというのは聞いていましたが、一般の観客からも“ブラボー!”の声があがるほどで、これには驚きました。最高賞を含めたよっつもの賞をいただけるなんて信じられない気持ちです」と、渡辺さんは「日本では見たことがないお客さんの数にびっくりし、そこでこの名誉の片隅にいることができて幸せです。監督に感謝しています」とそれぞれ受賞の喜びを語りました。
『愛の予感』は、小林監督の10作目の監督作品で、小林監督が主演にも初挑戦。娘を同級生に殺された男と、加害者の母親である女とを主人公に、冒頭のインタビューシーン以外はセリフなしという斬新な手法で描いた作品。日本では、11月下旬からポレポレ東中野ほかにて全国順次公開されます。