社会に鋭い視線を向けた作品を送り出し“闘う映画作家”と呼ばれる大島渚監督。その大島監督の若き日の姿を描くドキュメンタリー映画『黎明/THE OSHIMA GANG』が製作されることが決定しました。
メガホンをとるのは、自らの治験体験をベースにした『サル』(2003年)で鮮烈なデビューを飾った葉山陽一郎監督。大島監督の暮らす湘南で生まれ育ち、16歳のときに“ぴあフィルムフェスティバル”に応募した処女作を審査員の大島監督に認められ、映画の仕事に就くことを決意した葉山監督が脚本も執筆し、人生に多大な影響を与えた“大島渚”という存在に挑みます。
1960年に、安保闘争を題材とした問題作『日本の夜と霧』が政治的配慮によりわずか4日間で上映打ち切りとなったことから松竹と決裂、創造社を設立した大島監督。『黎明』は、この『日本の夜の霧』の創造と、松竹退社に至る過程にスポットをあてます。
女優で大島監督夫人の小山明子さん、脚本家の石堂淑朗さん、キャメラマンの川又昂さん、作曲家の真鍋理一郎さん、プロデューサーの荒井富雄さんほか、大島組の人々の証言に加え、葉山監督の『saru phase three』(2007年)で迫力の演技を見せた唐橋充さんと清水ゆみさんが若き日の大島監督と小山さんを演じ、独立プロでの映画作りを選んだ大島監督の情熱をスクリーンに浮き上がらせます。
さらに、芥川賞作家・阿部和重さんの小説の写真や、青山真治監督『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』のスチール、ポスター撮影などで注目を集める気鋭のフォトグラファー・相川博昭さんも参加、デジタル技術とアート感覚が駆使
された“ネオ・ドキュメンタリー”として『黎明』は誕生します。
『黎明/THE OSHIMA GANG』は、2008年初春よりクランク・イン、同年夏公開予定。この作品は“映画監督・大島渚”を知らない世代にも、闘い続ける映画作家の精神を伝える作品となるに違いありません。