大林宣彦監督が重松清さんの小説を映画化した『その日のまえに』が11月1日に初日を迎え、角川シネマ新宿で大林監督、主演の南原清隆さん、永作博美さんらが舞台あいさつをおこないました。
『その日のまえに』は、余命わずかと宣告された女性が、夫や子供たちと残された日々を懸命に生きるストーリー。
舞台あいさつは、夫婦役を演じた南原さんと永作さん、子役の大谷燿司さんと小杉彩人さんが、大林監督のナレーションによって映画の一場面を再現するという趣向でスタート。
撮影中は南原さんと「すごく楽に、自然に夫婦の体感をさせていただいておりました」という永作さん。南原さんとの仲のよさには、大林監督も「ぼくはこの映画の撮影中ずっと嫉妬のしっぱなしでした」とのこと。南原さんは役に入り込むあまり、妻を亡くして以降の場面の撮影では、監督が「見ていられなかった」ほど気落ちしていたそうで、南原さん自身は「そういうときは子供たちがいることに助けられましたね」と、劇中での家族が実際にも深い絆で結ばれていたことをうかがわせました。
『その日のまえに』初日舞台あいさつ
映画のタイトルをあしらった団扇を持って舞台あいさつ。後列左より、厚木拓郎さん、村田雄治さん、伊勢未知花さん、筧利夫さん、勝野雅奈恵さん、山田辰夫さん、左時枝さん。前列左より、小杉彩人さん、大谷燿司さん、南原清隆さん、永作博美さん、大林宣彦監督
映画の一場面を思いださせる光景で舞台あいさつはスタートしました
母親役の永作博美さんも加わって、大林宣彦監督、南原清隆さんとともにトーク
舞台あいさつには、大林監督が映画化した「なごり雪」や「22才の別れ」を作ったミュージシャン・伊勢正三の娘で本作で女優としてデビューした伊勢未知花さんや、筧利夫さん、村田雄治さんらも登場。
さらに、公開前に急逝し本作が遺作となった峰岸徹さんを偲んで監督とキャストがメッセージを記した寄せ書きもステージに登場しました。大林監督は「峰岸くんが偉いのは、ガンの末期でつらいのに、回診に来たお医者さんまで(元気に振舞って)慰めちゃうの。俳優とはウソの演技をするものですが、決してウソの演技ではない、ホントでもない、“まこと”です。心の“まこと”を表現するのが俳優です」と語りました。
峰岸徹さんへの寄せ書きを掲げる南原清隆さんら
大林監督は「小さな小さな映画を、愛情を込めて作りました。みなさんがこの映画について人々に伝えてくださることが、私たちの一番のご褒美になります」と舞台あいさつを締めくくりました。
『その日のまえに』は、角川シネマ新宿ほかにて11月1日(土)より絶賛公開中です。