「貧乏人大逆襲」などの著書で知られる松本哉（まつもと・はじめ）さんのエピソードをもとにした映画『おやすみアンモナイト』が１月30日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、主演の辻岡正人さんと疋田紗也（ひきた・さや）さん、増田俊樹監督らが舞台あいさつをおこないました。
『おやすみアンモナイト』は、辻岡さんが主演をつとめる「貧乏人逆襲篇」と、疋田さんが主演の「貧乏人抹殺篇」というふたつのストーリーが交わることなく交互に描かれていくという、独特の構成の作品。
家計を助けるためにホステスとして働く劇団員・成子役で映画初主演を果たした疋田さんは「撮ったのは１年以上前で、１年以上みんなの手であたためてきました。やっと公開だという実感があまりなかったんですけど、いま、たくさんの方を目にしてすごく嬉しいのと、口から心臓から出そうです。とにかくすごくすごく嬉しいです」と初日を迎えた喜びを語りました。
『おやすみアンモナイト』初日舞台あいさつ
前列左から、疋田紗也さん、辻岡正人さん。後列左から、大塚麻恵さん、昼間たかしさん、渋木美沙さん、黄金咲ちひろさん、神楽坂恵さん、白井優さん、増田俊樹監督
主人公の小日向登を演じた辻岡正人さんは「たくさん映画がある中でこの作品を選んでいただいてありがとうございました」とあいさつ
「共感したり、もっと頑張らないとと思ったり、人生の励みになるような映画になっていたらいいなと思います」と竹田成子役の疋田紗也さん
「こんな時代だから観ていただきたい映画。母と子の絆の部分も観ていただきたいです」と成子の母・奈津子役の黄金咲ちひろさん
「クラブママということで、大人っぽいしっとりとしたところを出せたらいいなと頑張りました」とクラブママ・雪枝役の神楽坂恵さん
「紗也ちゃんをいじめる役なので、どう演じればいいかすごく悩んだ成果が映画に出ていると思います」とホステス役の白井優さん
「ホステスという役はどんな感じなのか悩んだんですけど、リアルな感じで想像しながら頑張りました」とホステスを演じた渋木美沙さん
「（実際の体験談は）きれいなことだけではないので、赤裸々に書いてみたらこんなになりました」と脚本の昼間たかしさん
「監督をやるなら疋田紗也の父親役がやれるというのでやりました」と成子の父親・道郎役で出演もしている増田俊樹監督
映画では矢井田芳子を演じた大塚麻恵さんが映画の役柄とはガラリと違った雰囲気で舞台あいさつの司会進行を担当
「貧乏人逆襲篇」のモデルである松本哉さんと学生時代から交流を持ち、今回の脚本を担当した昼間たかしさんは「気がつけば松本くんも本を出し、ぼくも本を何冊か出すジャーナリストとなり、それぞれ守りに入っている気もしていましたが、この映画を観て、お互いまだまだ守りには入っていないと。やはり大切なのは地域とかコミュニティなので、そこを固めてから世界革命へ」とコメント。
俳優として出演もしている増田監督は「疋田紗也の水着シーンがあるんですけど、その撮影のとき男性スタッフが異常にテンパリまして、ぼくは“やってられるか！”って現場放棄しました」と撮影中のエピソードを紹介して客席の笑いを誘いつつ「変わった構成になっています。男がいれば女がいる、お金持ちがいれば貧乏がいる、攻める人間がいれば守りに入る人間がいる。世の中って常に相反するもののせめぎ合いだというのを自分の人生の中で感じていまして、ちょっと複雑な構成で戸惑うかもしれませんが、２本のストーリーを繋げて観ていただきたいなと思って撮りました」と、作品に込めた意図を語りました。
異色の青春群像劇となっている『おやすみアンモナイト』は、１月30日より渋谷ユーロスペースにてレイトショー公開されています。