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震災の記憶をたどる:『その街のこども 劇場版』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった森山未來さん、佐藤江梨子さん、井上剛監督(左より)

 実際に阪神淡路大震災を体験している森山未來さんと佐藤江梨子さんを主演に、震災の記憶を描いた映画『その街のこども 劇場版』が1月15日に初日を迎え、東京都写真美術館ホールで森山さんと佐藤さん、井上剛監督が舞台あいさつをおこないました。
 『その街のこども 劇場版』は、震災からちょうど15年目となる2010年1月17日にNHKで放送され大きな反響を呼んだドラマを再編集の上で劇場公開する作品。
 森山さんは「ぼくは被災者ではあるんですけど、毎年1月17日に世間一般に報道される情報とは別の感情がある。それをどう映像で伝えていけるかを(プロデューサーの)京田(光広)さんがすごく尽力してここまで来られて、とても嬉しく思っています」とコメント。作品には森山さんと佐藤さんの実体験も取り入れられており、佐藤さんは「私のが言っているセリフはもともと森山さんが言っていた(実体験がもとだった)り、その逆もありました」と明かしました。
 また『その街のこども』は、井上監督が「“よーいスタート!”と“カット!”がなかった現場」と表現する独特の撮影方法がとられており、森山さんは「ふたり(森山さんと佐藤さん)がボーっと立っているところがあるんですけど、普通に撮影の準備を待っているところだったりするんですよ」と、撮影の裏話を披露しました。

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「今回の作品に関われたことで、いい意味で力が抜けたこともあるのかな」と語った勇治役の森山未來さん

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「“この脚本なら”という感じで受けさせていただきました」と出演の動機を語った美夏役の佐藤江梨子さん

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「その場所にふたりがフッと現れたように撮りたかったので、それを一番心がけていました」という井上剛監督

 3人は「“神戸で東灘区”と言うと“大変だったんちゃうの?”という、普通の会話がなかなか自分の中で成立させづらかったんですけど、この映画を含めて(震災を題材にした番組に携わった)この3年で、自分の中でなにか整理できたことがよかったと思います。これからも生活をがんばっていければと思います」(森山さん)、佐藤さんは「1月17日には私は黙祷をしてしまいますし“自分が生きているんだな”という実感を噛みしめるタイミングでもあります。この作品に出させてもらうことで、そのときに“ただいてた”ということを現実的に見ることができて、そしてたくさんのお客さんに観ていただいてほんとに嬉しく思います」(佐藤さん)、「ぼくは神戸の人間ではないんです。これを撮るときに脚本家やプロデューサー、おふたりとも感覚の違いや思っていることの違いをすごく意識させられて、葛藤して苦しんだところがあったんですけど、そのフィルターで撮ったからこそ伝わるものがあるんじゃないかと思っているので、それが少しでも伝わればいいなと思っています」(井上監督)と、それぞれ語り、舞台あいさつを締めくくりました。

 ドラマ放映当日の朝におこなわれた“追悼のつどい”の模様を織り込むなど、フィクションでありつつもドキュメンタリー的な要素ももった『その街のこども 劇場版』は、1月15日(土)より東京都写真美術館ホール、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショーされています。

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