朝鮮の文化を理解し朝鮮の人々と友情を育んだ人物の半生を、史実に基づいて描いた『道〜白磁の人〜』のプレミア試写会が4月23日に韓国文化院ハンマダンホールで開催され、主演の吉沢悠さんとペ・スビンさん、高橋伴明監督が舞台あいさつをおこないました。
『道〜白磁の人〜』は、林業技師として朝鮮の山林の復元に尽力するとともに朝鮮の陶磁器の価値を広めた実在の人物・浅川巧と、朝鮮で浅川と出会ったイ・チョンリムの友情を軸に、歴史の波に翻弄されていく人々の姿を描いた作品。
浅川巧を演じた吉沢さんは「ぼくも、浅川巧さんという方がいらっしゃったことやその功績をこの映画をつうじて知りまして、日本人としてとても誇りに思いました。この映画は浅川さんが思い描いていた“愛のある関係”というもののひとつのかたちだと思います。そういうものが、浅川さんのメッセージとしてみなさんに届けばなと強く思っています」とあいさつ。
イ・チョンリムを演じたペさんは「暑さが厳しかった中、韓国と日本の両国の撮影スタッフ・俳優がひとつになって、情熱的に撮影をおこないました。この映画が、両国の発展において少しでも役に立つことがあれば、小さな木の種になるのであれば」と、作品への想いを語りました。
また、撮影にあたって高橋監督は「ふたりが現実的に友情を交わせるとこの映画は成功する」との想いから、吉沢さんとペさんが実際に友人となることを望んでいたそう。ペさんは「撮影中にふたりで釣りに行ったり、俳優としての悩みを分かちあったりしながら、お互い心の底にあるものを話しあうことによって、ほんとに親しい友人になりました。これはチョンリムと巧という過去の話だけではなく、現在進行中である私たちの関係を描いているものだと思います」と撮影をとおして築いた吉沢さんとの友情の深さを紹介し、吉沢さんも「最初は会話は英語で、流暢な英語ではないのですが、お互いに俳優なのでなんとなく感じ取れる部分もあって、コミュニケーションツールとして言語はあんまり重要ではないなと早い段階で思いましたし、日本人だとか韓国人だとかはあんまり関係ないんだなということにも早い段階で気づきました。それが大きいですね」と関係を深めるまでを振り返りました。
「現在進行中の私たちの関係を描いた映画」:『道〜白磁の人〜』プレミア試写会
舞台あいさつをおこなった高橋伴明監督、吉沢悠さん、ペ・スビンさん、ハクエイ・キムさん(左より)
「日韓のスタッフ・キャストが心をひとつにして作りましたので、映画を観ていただいたあと、みなさんも心がひとつになっていただければ嬉しいなと思います」と高橋伴明監督
「この映画は日本人と韓国人のあたたかい心の友情を描いた作品になっています、きっとみなさんの心の中になにか残るものがあると思います」と浅川巧役の吉沢悠さん
「意義のある場に参加してくださったことを感謝いたします。どうぞリラックスしながら感動を持って帰っていただければと思います」とイ・チョンリム役のペ・スビンさん
そしてゲストとしてエンディングテーマ曲を演奏しているピアニストのハクエイ・キムさんも登場し、エンディングテーマを生のピアノ演奏で披露。その美しい演奏に、吉沢さんは「映画のあるシーンを思い出しました。この作品にピッタリな曲だと思います」と、ペさんは「映画が始まったかと思いました(笑)。素晴らしい曲で参加してくださって嬉しく思っています」と、感想を述べました。
「素晴らしい映画にエンディングテーマというかたちで参加させていただくことになりまして、大変光栄に思っています」とエンディングテーマを演奏するハクエイ・キムさん
ハクエイ・キムさんの美しいピアノ演奏について感想を述べる吉沢悠さん
高橋監督は「撮影時はしょっちゅう雨が降ったり、オープンセットが流されたり、大変だったんですけども、そういう逆境を乗り越え、乗り越えることが喜びになった映画でした。みなさまもぜひそういうものを感じていただき、逆境を乗り越えていけるみなさんになってください」と熱くメッセージを贈り、舞台あいさつを締めくくりました。
時代を越えて友情の尊さを示すヒューマンドラマ『道〜白磁の人〜』は6月9日(土)より新宿バルト9、有楽町スバル座ほかにて全国ロードショー。韓国でも6月より公開されます。