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震災から2年を目前に“3.11”を題材とした作品公開 『あれから』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった酒井善三さん、篠崎誠監督、磯部泰宏さん、竹厚綾さん、太田美恵さん、木村智貴さん、川瀬陽太さん(左より)

 篠崎誠監督が“3.11”を題材に描いた『あれから』が3月9日にオーディトリウム渋谷で初日を迎え、竹厚綾(たけこう・あや)さん、磯部泰宏さんら出演者とスタッフ、篠崎監督が舞台あいさつをおこないました。
 『あれから』は、東京で震災以降の日常を過ごしつつ、離れて暮らす恋人の存在に心を揺らしていく女性を主人公にした物語。
 篠崎監督は「スタッフ、俳優の人たちとリハーサルを重ねたり、ロケハンをしはじめたのがちょうど1年前の今日になります。無事、初日を迎えることができて大変、嬉しく思います」とあいさつ。
 主人公の祥子を演じた竹厚さんは、3.11という題材について「この映画は3.11のあの日から始まるんですけど“震災映画”というジャンルではないと思っています。祥子というひとりの女性が日々どういうことを感じて、自分で道を作っていくかを誠実に描いた映画だと思っているので、みなさまもなにか感じてくださるものがあればいいなと思っています」と語り、「出てるか出ていないかわからない役なので作品を客観的に観られる」という出演者の川瀬陽太さんは「震災が起きたあとも粛々と映画は作られているし八百屋さんは野菜を売っているみたいな、震災との関係に寄り添うように、いい距離感で作られた映画だなと思って、面白く拝見させていただきました。みなさんにもそれが届くといいと思います」と、この作品が持つ独自の“3.11”への視点を紹介しました。
 また『あれから』は、映画学校・映画美学校のコラボレーション作品として、同校の学生とプロのスタッフが協力して制作した作品であり、篠崎監督は来場していた学生スタッフを「いずれこの中から次世代の監督やスタッフが生まれると思いますので、彼らの顔をなんとなく覚えていておいてください」と紹介。篠崎監督とともに脚本を担当し学生スタッフとして現場にも参加した酒井善三さんは「ぼくら(学生)の場合、なんとなく映画を作ったら終わりになってしまうんですけど、この映画ではこうして上映まで現在進行形で関われているので、どういうふうに受け止めていただけて、どんな反応をいただけるのか、怖い半分とても楽しみです」と、公開を迎えての心境を語りました。

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映画の中に登場する男女について「映画の中ではあるんですけど“この人たちに幸せになってほしいな”と素直に思えましたね。編集している間もそういうふうに思えました」と篠崎誠監督

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「脚本を執筆し現場では録音部をつとめた酒井善三さんは「私たち学生でプロの方たちと一緒にやる現場が初めてだったので、わけのわからない状況でやっているという感じでした」とコメント

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「監督が、アドバイスをくださるというよりも、一緒に話をして見つけていってくれるみたいな演出をしてくださったのがすごく印象的です」という主人公・吉村祥子を演じた竹厚綾さん

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「監督に“思ったとおりにやっていいよ”とおっしゃっていただいて、初めて周りを気にせずお芝居に集中した実感を得ることができた現場でした」と祥子の恋人・小野寺正志役の磯部泰宏さん

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「この作品は少しでも共感できる作品だと思っていますので、ご覧になったあとにみなさんの心の中になにかが残るといいなと思っております」と祥子の同僚・本田真実役の太田美恵さん

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「みなさんひとりひとりいろいろな3.11があったと思うんですけども、こうやってこの時期にみなさんに観ていただけて、ほんとに嬉しいです」と真実の恋人・河本大輔役の木村智貴さん

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「ひとつ前に『死ね!死ね!シネマ』という作品を撮った篠崎さんが、真逆の方向に針を振った、ひじょうに美しい映画になっていると思います」と正志の兄・小野寺仁志役の川瀬陽太さん

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今回、劇場公開にあたり宣伝費を広く募るクラウド・ファンディングを活用しており、篠崎監督は「映画はお客さんに届いて初めて完結するものだと思っていますので、それに協力していただいた方や応援していただいた方々、そして私たちの映画を観に来てくださった方々に感謝したいと思います」と、キャストとともに壇上から感謝の意を示しました

 被災地から離れた場所で生きる人々にとっての“3.11”を繊細に描き出した『あれから』は、3月9日(土)より3週間限定ロードショー。オーディトリウム渋谷では9日(土)〜15日(金)、23日(土)〜29日(金)、吉祥寺バウスシアターで3月16日(土)〜29日(金)というスケジュールで上映されます。また、オーディトリウム渋谷では、篠崎監督の劇場初監督作品『おかえり』が3月16日(土)〜23日(金)にリバイバルレイトショー(フィルム上映)されます。

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