身体障害者専門の風俗店で働く女性を主人公にした『暗闇から手をのばせ』が３月23日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、主演の小泉麻耶さんら出演者と戸田幸宏監督が舞台あいさつをおこないました。
『暗闇から手をのばせ』は、ドキュメンタリー番組のディレクターをつとめる戸田監督が、テレビ局の意向で実現しなかった企画をフィクションとして自己資金で映画化した作品。小泉さん演じるデリヘル嬢の沙織が客の男たちとの出会いの中で次第に変化していく様子が描かれていきます。
沙織を演じるにあたり「心の変化がすごく難しいなと思っていたので、そこはもう、監督の職場に乗り込んで根掘り葉掘り聞いて、そのおかげでできました」という小泉さん。戸田監督もその姿勢を「すごく研究熱心」と評しました。
そして小林さんは、戸田監督がブログのコメント欄を通じて出演を依頼してきたことを明かし「ちょうど私が（事務所を）移籍のころで、連絡先がわからなかったんですね。すごいご縁で」と振り返りました。
また、戸田監督は津田寛治さんが演じた風俗店店長の役名が“津田”であることについて「もともと津田さんをイメージして脚本で“津田”と書いていたんですが、出ていただけるとは思っていなかったので、ほかの方をキャスティングしたんです。その方が出られなくなったので、ダメ元でご連絡したら津田さんのスケジュールが奇跡的に空いていて出ていただけて、ほんとにご縁を感じております」と説明。“ご縁”の多い作品であることを明かしました。
この日は満席で立ち見の観客も多い中での舞台あいさつとなり、車椅子で登壇した沙織の客・中嶋役のホーキング青山さんは「出演者の私が座っているんですからみなさん次からは座って観てください」とギャグを交えたあいさつで客席の笑いを誘いました。
始まりは「ブログのコメント欄」『暗闇から手をのばせ』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなったホーキング青山さん、管勇毅さん、小泉麻耶さん、森山晶之さん、津田寛治さん、戸田幸宏監督（舞台あいさつ後に劇場ロビーにて・左より）
「たくさんの方に観ていただけることも、映画に参加させていただけたことも、すごく感謝しています。すごく嬉しいです」と初日を迎えた心境を語った沙織役の小泉麻耶さん
「ぼくはこの映画が大好きです。空気感と、出演されているほかの俳優さんのお芝居がみなさん素晴らしくて、出演できたことを光栄に思っています」と津田役の津田寛治さん
「ほんとにありがとうございます。気に入っていただいたら広めていただけると嬉しいです」とあいさつした戸田幸宏監督は、キャストひとりひとりについてエピソードも紹介
半身不随の青年・健司を演じた森山晶之さんは役作りのため車椅子の生活を体験し「目線が全然違って普段なら届くものも取れない。車椅子の生活は大変なんだと実感しました」
「こんなにたくさんのお客様に観ていただけるとは正直思っていなかったので、とても嬉しいです。ほんとに今日はありがとうございます」と難病の青年・水谷役の管勇毅さん
「散々車椅子に乗った奴が出てくるんですが本物は私だけ」とあいさつした中嶋役のホーキング青山さん。「演技してなくてほとんど素なんで、そう思っていただけると幸いです」
津田寛治さんが「障害者の方のためのデリヘルという題材をどういうふうに料理されるのか、難しい題材に挑まれているなと思っていたんですけど、上がったものを観てすごく素晴らしかったので感動しました」と語るように、社会的なテーマを扱いつつ、現代を生きる若者たちのドラマとしてエンターテイメント性も高く描いた『暗闇から手をのばせ』は、３月23日(土)より渋谷ユーロスペースにてレイトショーのほか、全国順次公開予定となっています。