人気お笑いコンビ・インパルスが初の映画主演をつとめた『樹海のふたり』の完成披露試写会が6月12日にシネマート六本木で開催され、インパルスの板倉俊之さんと堤下敦さん、共演のきたろうさん、遠藤久美子さん、烏丸せつこさん、メガホンをとった山口秀矢監督が舞台あいさつをおこないました。
ドキュメンタリー作品で数々の受賞経験を持つ山口監督初の劇映画となる『樹海のふたり』は、富士の樹海で自殺志願者の取材をおこなうテレビディレクターふたりを主人公に“生きる”ということを問うヒューマンドラマ。かつて山口監督が出会ったディレクターの実話を元にした映画となっています。
ディレクター・竹内役で主演をつとめた板倉さんは「主演と言われたときに、ほかの(共演の)人は吉本の後輩だと思っていたんです。そしたらきたろうさん、烏丸さん、遠藤さんと聞いて“エーッ!”と、どんどん萎縮していきましたね」と告白。
山口監督はインパルスのふたりの起用について「主役のふたりがなかなか決まらずに、最後に(ふたりに)お会いして、もう10分くらいで“お願いします”となりました。“ぼくらは演技できません”と言うんですけど、自然体でいいんです。ぼくの現場での演出は自然体でできているかどうかだけでした」と語りました。
インパルス板倉さん映画初主演に「申し訳ない」 『樹海のふたり』完成披露試写会
舞台あいさつをおこなったきたろうさん、烏丸せつこさん、堤下敦さん(インパルス)、板倉俊之さん(インパルス)、遠藤久美子さん、山口秀矢監督(左より)
主人公・竹内哲役の板倉俊之さんはラフな服装で登場。緊張した様子を見せつつの「まさか私めなどが主演というのは申し訳ないのと、服を間違えたなというのは、ほんとに申し訳ございません」というあいさつで会場の笑いを誘いました
主人公・阿部弘役の堤下敦さんは「我々は樹海でいろいろなことが起きるのをカメラに収める人間なんですけど、その中で自分が感じるものが変わっていって、最終的には……という映画でございます」と板倉さんと対照的に滑らかなあいさつ
自殺志願者の八木を演じたきたろうさんは撮影時を振り返り「俺は役になりきっちゃうわけよ。ちょっと無精ひげを生やしたりすると本当に“死にたい”という気持ちになってきちゃうんで、みなさん清潔に生きてください」とアドバイス
3児の母である竹内の妻・純子を演じた遠藤久美子さんは「母親としての葛藤というのが初めてだったので、自分がやったことのない新たな役を演じさせていただいて、みなさんにお届けできるこの日をとても嬉しく思っています」とあいさつ
謎めいた女・小森茂子を演じた烏丸せつこさんは、旧知の山口監督を激励し『樹下のふたり』のメガホンをとるのを後押ししたそう。「私も改めて(公開されたら劇場で)観ようと思っているので、お会いできるかもしれません」とあいさつ
山口秀矢監督は、板倉さんと遠藤さんが夫妻を演じた家族の場面について「樹海ですさまじい世界で生きてきて、家に帰ってきてホッとするみたいな、家庭の温かみがドキュメンタリー的に出ているんじゃないかと思います」と語りました
舞台あいさつでは、板倉さんが「スクリーンで見て初めて気がついたんですけど、堤下くんの頭頂部が若干、広場になりかけているところが。これはスクリーンで見ないとわからない」と、堤下さんには痛い発言を。堤下さんが「試写会で言うのはやめろお前。せめて電話やメールにしろ、気にしているところなんだから」と板倉さんに詰め寄ると、きたろうさんが「そこは見なきゃ」とボソッと口を挟むという、絶妙なやりとりで場内が笑いに包まれる一幕もありました。
そして堤下さんは「哀しいところも嬉しいところも喜ぶところも、喜怒哀楽が出る映画になっていると思います。ぜひそちらのほうを楽しんでいただきたいと思っております」と、最後は真面目なコメントで舞台あいさつを締めくくりました。
「自らカメラも回すテレビディレクター」という劇中の役柄にあわせて、板倉俊之さんと堤下敦さんはビデオカメラを持って登場。堤下さん(左)のカメラは実際に劇中で使用されたもの
劇映画ながらドキュメンタリー的な手法も用い、登場人物たちの内面を繊細に描き出していく『樹海のふたり』は、7月2日(土)よりユーロスペースほか、全国ロードショーされます。