ロビン西さんのコミックをベテラン俳優・平田満さん主演で映画化した『ソウル・フラワー・トレイン』が8月31日に新宿K's cinemaで初日を迎え、平田さんと、ふたりのヒロインを演じた真凛(まりん)さんと咲世子(さよこ)さん、西尾孔志(にしお・ひろし)監督らが舞台あいさつをおこないました。
『ソウル・フラワー・トレイン』は、娘に会うため田舎町から単身大阪に出てきた父親が、旅の途中で知り合った若い女性の案内で大阪の町を巡りさまざまな人に出会う、ハートフルなロードムービー。
主人公の天本を演じた平田さんは「初日を迎えて嬉しく思っています」と心境を語り、1年半前におこなわれた撮影を「どこからどこまでがこの日のスケジュールなのかわからないような(笑)、クランクインからクランクアップまでノンストップで撮ったという感じで、受験勉強以来と言ったらウソですけど久々に徹夜続きみたいな感じでした。でも、とても気持ちよかったです。短い撮影でしたけれども“ああ、撮ったな”という充実感はありました」と振り返りました。
天本を案内する女性・あかねを演じた真凛さんはロケがおこなわれた大阪・新世界について「パカパカ(折りたたみ式)の携帯電話の下の部分だけ落ちてたりとか、耳カキが落ちてたりとか、車椅子が乗り捨てられていたりとか、刺激的な町でした(笑)。毎日“今日はなにが落ちているんだろう?”みたいに、すごく面白かったですね(笑)」と撮影中のエピソードを紹介。
天本の娘・ユキを演じた咲世子さんは大阪出身で「天王寺の撮影現場が小中高校とずっと通ってた場所なんですよ。ほんとにそこで撮影できるのが楽しみで、今日は誰か友達に会わないかなとか思っていました(笑)。ほんとにリラックスしてて、そのまま大阪弁で過ごしていました」と撮影の思い出を語りました。
平田満さんノンストップの撮影も「充実感があった」 『ソウル・フラワー・トレイン』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった西尾孔志監督、大和田健介さん、平田満さん、咲世子さん、真凛さん(左より)
田舎から出てきた設定でセリフもすべて方言ですが「(撮影中に)だんだん特定してどこの言葉かというのがわからなくなりまして、とっても正体不明の方言を使っています。その辺はご了承ください(笑)」と、天本役の平田満さん
「(撮影がおこなわれた)1年半前は私は顔がかなりポッチャリしていまして、これから観ていただく私は顔が丸いと思います(笑)」とあかね役の真凛さん。「みなさんが心の中で思う前に自分で言っておこうと思いました(笑)」
「ほんとに初めての大きな作品で 平田さんにたくさん助けていただいて親子を演じさせていただいたので、食事のシーンとか、一緒にお芝居しているところを観ていただけたらいいなと思います」と、ユキ役の咲世子さん
「監督の実家でも撮影をして、そこで食べた監督のお母さん手作りのサンドイッチがおいしくて、それが頭に残ってます」と吾郎役の大和田健介さん。監督の印象を尋ねられると「ほんとに映画が好きで、いい感じで変態な方」
大和田さんの言葉を受け「変態な人間でもまっとうな映画が撮れるんだなという見本(笑)」と笑いを誘った西尾孔志監督。「もっと緊張するかと思ってたんですけど、わりと平常心で初日を迎えられてよかったと思ってます」
西尾監督は、原作者のロビン西さん描き下ろしのイラストがプリントされた『ソウル・フラワー・トレイン』Tシャツを着て登壇。劇場で販売もされているTシャツをしっかりとアピールしていました
西尾監督は、新人監督の助成をおこなうCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)映画祭ディレクターを3年前までつとめており「こういう場ではいつも監督に質問する立場で喋っていたのですけども、今日はぼくがこうやって喋るというのがなんだか不思議な気持ちです」と初日を迎えた感想を語り「ぼくはいままで、カット割りにこだわりを持ったり、お客さんに見せるというよりは、自分の“映画を作る”ことの欲望に走りがちな人間だったんですけど、今回はチャレンジとして自分の親くらいの人に観てもらいたいと考えて作りました。あんまり“親に観てもらいたくて作った”なんて言う奴はいないと思うんですけど(笑)、あえてそれを言ってみたいなと思うくらい“こういう作品ができたのか!”と、自分で驚いています」と作品について語り「みなさんにもそれをぜひ楽しんでいただけたらなと思っております」と舞台あいさつを締めくくりました。
大阪の町を舞台に、個性的なキャラクターが登場する“父と娘”の物語『ソウル・フラワー・トレイン』は、8月31日(土)より連日20:30より上映。上映期間中にはゲストを迎えてのトークイベントも予定されています。