モデル・女優として注目を集める吉倉あおいさんと話題作への出演が続く柳楽優弥さんがダブル主演をつとめる『ゆるせない、逢いたい』が11月16日に初日を迎え、ヒューマントラストシネマ渋谷で吉倉さんと柳楽さん、金井純一監督が舞台あいさつをおこないました。
　『ゆるせない、逢いたい』は、気持ちのすれ違いから“被害者と加害者”になっていく恋人同士の姿をとおし、近年社会問題となっているデート・レイプ（親しい関係の相手による性暴力）という題材を描いた作品。
　主人公・はつ実役で初の主演をつとめた吉倉さんは「今日はこんなにたくさんの方に映画を観ていただけて、なんと言うか言葉がないです」とあいさつ。最初にシナリオを読んだときの印象を「主演ということを聞かされずに脚本をいただいて読んでいて、この作品が伝えてくるメッセージとか訴えていることがすごくストレートに自分の心に入ってきて“ぜひこの役を私が演じたい”と思いました」と振り返り「いいことなのか悪いことなのか、この映画をやることにプレッシャーというのがなくて、撮影現場でもすごく金井組のスタッフみなさんの愛を受けて撮影していましたし、ずっと柳楽さんの背中を追いかけてはつ実を演じていたので」と初主演の感想を述べました。
　恋人のはつ実を襲ってしまう青年・隆太郎を演じた柳楽さんは「ほんとに金井監督が女優・吉倉あおいさんが大好きという空気がすごいので、ぼくは“うらやましいなあ”と。ぼくは役も役なので、みんな冷たいというか(笑)」と笑いも交えつつ「吉倉あおいさんを見ている感じじゃなく、はつ実を見ている感覚でいられたので、吉倉さんのこの作品に対しての熱いものが伝わってきて、先輩後輩の関係なく引っ張っていってもらいました」と、吉倉さんを賞賛。また、撮影前の顔合わせで金井監督に話した意見が実際のシナリオに取り入れられていることを明かし「とても優しい監督でした」とコメントしました。
　脚本も手がけた金井監督は「柳楽くんはすごく信頼していたので、吉倉さんをどれだけはつ実にするか」と主演のふたりについて話し「いま、なかなかオリジナル作品の映画が撮れない中で撮らせていただいた貴重な機会なので、ぜひ広めていっていただければと思います」と作品への想いを語りました。

　『ゆるせない、逢いたい』は、現在開催中の香港アジア映画祭コンペティション部門に正式出品されているほか、12月にはマーティン・スコセッシ監督が審査員をつとめるマラケシュ国際映画祭コンペティション部門にも出品、さらに台湾でも公開されるなど海外での展開も決定。吉倉さんは「（マラケシュ国際映画祭は）初めて私の参加する映画祭になるので楽しんで行ってきたいなと思います。たくさんの方に観ていただける機会になると思うので、私もずっと望んでいたことでもあるので、しっかりアピールしてきたいと思います」と映画祭を前にしての心境を語りました。

　そして、吉倉さんのお母さんより吉倉さんへ宛てた手紙が司会者によって読みあげられ、心のこもったメッセージに、楽屋では「“泣かなかったらニュースにならないから泣いてくれ”ってふたりに言われてて“そんなこと言われたらプレッシャーで絶対泣かないです”って」と話していたという吉倉さんの目にも涙が。吉倉さんは「ほんとにママの娘に生まれてよかった！　ありがとう」と壇上から感謝の言葉を贈りました。

　吉倉さんは「いつもならウジウジしてしまう私なんですけど『ゆるせない、逢いたい』は、ほんとに胸を張って自信を持ってみなさんに届けられる作品になりました。金井組のみなさん、柳楽さんをはじめとするみなさんに支えていただきながら、愛情いっぱいの作品になったと思います。ぜひ感想を伝えていただけたらなと思います」と、舞台あいさつを締めくくりました。

　重いテーマを扱いつつも若者の純粋なラブストーリーともなっている『ゆるせない、逢いたい』は、吉倉さん、柳楽さんのほか、新木優子さん、朝加真由美さん、ダンカンさんらが共演。11月16日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国ロードショーされています。