韓国のダンス&ボーカルグループ・超新星のリーダー・ユナクさんが初の単独主演をつとめる『無花果の森』が6月14日に初日を迎え、シネマート新宿でユナクさんと共演の原田夏希さん、古厩智之監督らが舞台あいさつをおこないました。
芸術選奨文部科学大臣賞受賞作である小池真理子さんの同名小説を映画化した『無花果の森』は、日本で週刊誌記者として働く青年・ヨンホを主人公に、著名な指揮者である夫の暴力に苦しむヒロイン・泉とヨンホの切ない関係が描かれていきます。
「昔から日本の映画がすごく好きだったので、今回『無花果の森』の台本が来たときすごく嬉しかった」というユナクさんですが、全編日本語のセリフや実年齢より年上の雑誌記者という役柄に不安もあったそう。泉を演じる原田さんとのラブシーンも不安のひとつだったそうで「アイドルとしてどうだろう? 歳はアイドルじゃないけど(笑)」と客席の笑いも誘いつつ「どうすればいいか悩んだり、会社といろいろ相談したりしたんですけど、監督さんが“いい作品になるから信じてください”って言ってくれたので、信じてやりました」と振り返りました。
共演の原田さんは「日本人でも使わない言葉があったり、感情とは関係のない、自分の状況だったり生い立ちだったりを説明するセリフはすごく難しくて大変なんですけど、(ユナクさんが)自分の国の言葉ではない言葉で話をするお芝居をするというのはすごいことだと思いますし、違う言葉を話して演技ができるというのは役者としてうらやましいと思いました」と共演のユナクさんを評し、主題歌を歌い出演もしているminoさんが「撮影中はユナクさんが演技の指導をしてくださったんですね。やっぱりオッパ(韓国語で“お兄さん”のような意味)は優しいなと思いました」と撮影中の様子を紹介すると客席からは歓声が起こり、ユナクさんは「指導までは……ハッハッハ」と照れたような笑いを見せました。
映画初主演の超新星・ユナクさんに監督も「ドキドキ」? 『無花果の森』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった原田夏希さん、ユナクさん、MiNoさん、古厩智之監督(左より)
「韓国の映画とかドラマってそんなに長回しがないんですよね。でも日本はけっこう長回しが多いですよね。今回も原田さんのセリフを聞いてそこに反応するような長回しが多かったので、すごく勉強になったし、ほんとに“日本の映画を撮ったな”という気持ちになりました」というキム・ヨンホ役のユナクさん
「この映画の登場人物たちはみんななにか傷を抱えていて、そういう人たちがいろいろなことをきっかけに自分の足で立って前に踏みだそうとしていく物語だと思います。新たに一歩踏みだそうと思う気持ちは共感してもらえると思うので、そこを楽しんでいただけたらと思います」と、新谷泉役の原田夏希さん
栗田千春役で出演し主題歌も歌うMiNoさんは「主題歌を私MiNoが歌わせていただき、ほんとに光栄な気持ちで胸がいっぱいです」とあいさつ。「みなさまユナクさんのことが大好きだと思います。主題歌『ジュエリーボックス』には“大好き”という歌詞があるので、ユナクさんを想いながら聴いていただけたら」
メガホンをとった古厩監督は、撮影中のエピソードを聞かれると「すごいいい匂いなんですよ、ユナク。最初会ったときに“ああ、なんていい匂いなんだ”って(笑)」と予想外のエピソードを紹介。「匂いってちょっとドキドキするんですよね。2回目会ったときにやっぱいい匂いで、ドキドキしました」という監督の話に客席からは大きな拍手が贈られました。
「ユナクのいいところを(役に)もらっちゃおうとか、ここは原田さんに任せちゃおうとか、MiNoさんの歌で覆ってもらおうとか、すごくお任せすることができた映画だなと思っています。みんなの力で作った映画なので、多くの方に観ていただけたら嬉しいと思っています」と古厩智之監督
ユナクさんの「いい匂い」エピソードを紹介し「なんか不思議な気持ちになってきました(笑)」という古厩智之監督。その監督の話に原田夏希さんとMiNoさんとともに大笑いするユナクさんですが、笑いつつも若干リアクションに困ったような様子も?
古厩監督は「俺、ユナクに会って“こいつならできる!”って安心して、バンバンセリフ増やしちゃったり(役の)経歴もユナクと同じにしたり、いい奴だったから、いい奴なところが伝わるといいなと思って。でも、ユナクのいいところはみなさんのほうがよく知っていると思うので、それに近づけていたらいいなあと思っています」とユナクさんへの信頼を感じさせるコメントを。
ユナクさんは「今回、日本の素晴らしいスタッフと監督さんと女優さんといろいろな俳優さんたちと、こういう素晴らしい映画を撮れてすごく嬉しいし、これからもまた機会があればやりたいなと思っているし、ぼくはすごく勉強になった作品です」と今後の映画出演にも意欲をのぞかせ「ここにいらっしゃるみなさんにすごく感謝しています。もっともっと頑張って“いい奴”になりたいと思います。みなさん今日はほんとにありがとうございました」と、監督の言葉を受けたコメントで舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、小木茂光さん、三浦誠己さん、江波杏子さんら実力派キャストが揃い、小さな町を舞台にした切ない大人のラブストーリー『無花果の森』は、6月14日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショーされます。