東京で生きる6人の少女の姿を6人の若手女優と6人の気鋭の監督が描くオムニバス『TOKYO CITY GIRL』が9月5日に角川シネマ新宿で初日を迎え、武田梨奈さんはじめ主演の女優陣と6人の監督が舞台あいさつをおこないました。
『TOKYO CITY GIRL』は「なんの意味もない」「キッスで殺して」「HOPE」「17歳、夏」「EAST END」「KOENJI 夢の寿命」の6エピソード構成。1作ごとに異なるタッチで、ちょっとビターな6人の少女の生き方を描いています。
エピソード6「KOENJI 夢の寿命」で女優の夢を諦めた女性・咲を演じた武田梨奈さんは「監督のみなさんが自分の監督作ではないときに(ほかのエピソードの)助監督をされていて、ほんとに贅沢な現場でした。愛情たっぷりで、みんな愛が溢れすぎて監督同士でちょっとケンカしていたくらい(笑)。それくらい愛の詰まった作品たちなので、ぜひ楽しんでください」とあいさつ。
エピソード4「17歳、夏」の監督に加え作品全体のプロデューサーもつとめた藤井道人監督は「ぼくたちは5年くらい前から小さい劇場で短編映画を上映する企画を続けてまいりました。20回以上やっていく中でいろんな成長をしたいなという気持ちがあって、今回は“東京に生きる人々”をどういうふうに観てもらえるかということを6人の監督とプロデューサーとも相談してスタートしました。武田さんもおっしゃいましたが、予算も時間もないので、誰かが監督をやるときは誰かが助監督をやり、誰かがロケハンに行ってと、6人全員がスタッフもやっています。いままであんまり見たことないやり方ですけど、やってみたらなんか変わるんじゃないかという気持ちのままにスタートした企画でございます」と、作品が生まれた経緯を話しました。
注目の若手女優集結のオムニバスは「愛が溢れすぎ」 『TOKYO CITY GIRL』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった主演女優5人と監督6人。前列左より、遠谷比芽子さん、比嘉梨乃さん、田中美晴さん、三浦萌さん、武田梨奈さん。後列左より、原廣利監督、山口健人監督、山田智和監督、藤井道人監督、志真健太郎監督、山田能龍監督
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「映画のことをつぶやいてくれたら嬉しいです。私の悪口でも全然けっこうで、いいこと悪いこと含めて全部見たいので」と武田梨奈さん
「ほんとにみなさんの愛が詰まった、カラフルな、すごく熱い作品だと思います。ぜひ楽しんでいただければと思います」と三浦萌さん
「久々の舞台あいさつで緊張しているんですけども、これだけ舞台に人がいると安心してできるので、心強い気持ちです」と田中美晴さん
「チーム一丸とならざるを得ないようなこのチーム編成で我々は1年前やってきました。本日は最後まで楽しんでください」と山田能龍監督
「撮影は1年くらい前に終えたんですけど、その熱量を持ってここまで走ってきて、この晴れ舞台を迎えられ嬉しいです」と志真健太郎監督
「なにからなにまで6人の監督とキャストさん、スタッフのみなさまで作り上げました。楽しんでいただければと思います」と藤井道人監督
主演女優陣はひとりずつ、撮影で印象に残った出来事を紹介しました。
エピソード2「キッスで殺して」で女殺し屋の芽衣子を演じた遠谷比芽子さんは「私の役はモノローグだけで本編でセリフがまったくなくて、やっぱり撮影中に芽衣子として言葉を発してしまいそうになることが何回かありました」。
エピソード3「HOPE」で大学生のゆりを演じた比嘉梨乃さんは「台風が来てすごい大雨で撮影が中断しちゃって、1ヶ月後くらいに追撮をしたんですけど、そのシーンが使われていないっていう(笑)。悲しい感じだったんですけどいい作品だと感じました」。
エピソード4「17歳、夏」で女子高生を演じた田中美晴さんは「藤井監督のオーディションを受けたことは何度かありまして、今回やらせていただけたのが嬉しくて。男女の初体験に挑む姿をコミカルに描いた作品で、内容を聞いたときはビックリして“できるかな?”と思いながらやったんですけど、結果すごく楽しく、深い深い作品になったので楽しんでいただけたらと思います」。
エピソード5「EAST END」で家庭環境に悩むミワを演じた三浦萌さんは「人生で初めて髪の毛を染めました。暗い役だったので気持ちが落ちてしまうときがあったんですけど、現場で弟役の子だったり彼氏役の子だったりがすごく癒して助けてくれて、やりやすくしてもらいましたね」。
武田さんは「実は私は別のエピソードのオーディションを受けさせていただいていて、残念ながらそれは落ちてしまい、この作品に関わりたかったなと思っていたところ山田(能龍)監督がなぜか呼んでくださって、監督が呼んでくださらなかったら参加できなかったのでここに立てて幸せです」。
また、エピソード1「なんの意味もない」奈々を演じた青山美郷さんは舞台公演中のため舞台あいさつは欠席でしたが、手紙で「原監督をはじめ、ユーモアあふれるスタッフのみなさまや共演者のみなさまとエネルギーをぶつけあったので、お客さんに私たちの泥臭いパワーがが伝わっていると嬉しいです」とメッセージを寄せました。
「東京にいる6人の女の子のさまざまなストーリーで、どれも違ったお話であっという間の100分じゃないかなと思います」と比嘉梨乃さん
「ひとつひとつの物語、ひとりひとりの少女たちが一生懸命に生きています。そこを観ていただけたらすごく嬉しいです」と遠谷比芽子さん
笑顔で撮影中の出来事を振り返る武田梨奈さん(左)と、武田さんの出演エピソードを手がけた山田能龍監督
「比嘉さんという素敵な女優さんと自慢のスタッフで一生懸命丁寧に作った作品ですので、どうぞよろしくお願いします」と山田智和監督
「6人の監督がそれぞれ自信を持って作った作品なので、ぜひぜひ楽しんで観ていってください。よろしくお願いします」と山口健人監督
「こんなにもたくさんのお客さまが来てくださってありがとうございます。こうして初日を迎えられほんとに幸せに思います」と原廣利監督
そして6人の監督はそれぞれ映画の見どころをアピール。
エピソード1の原廣利監督は「タイトルの『なんの意味もない』は芸人の小島よしおさんのギャグなんです。実際に小島よしおさんが小島よしおさん役で出てくるんですけど、青山美郷さんとの掛け合いがエネルギッシュなことになっているのでそこをぜひ観てほしいです」。
エピソード2の山口健人監督は「6作品中で唯一モノクロの映画になっていまして“東京で生きる少女”というよりも“東京に生きているかもしれない女性”を描いたので、モノクロで想像力を働かせて“もしかしたらこんな人がいるのかな”みたいな感じで観ていただけたらと思います」。
エピソード3の山田智和監督は「日常のふとした瞬間に日常の景色が変わって見えちゃうことって誰でもあって、そういう中でも必死に生きていこうとする主人公を見て、なにかを感じてもらえたら嬉しいです。映画の最後の最後の1コマ、終わる瞬間まで観てほしい作品です」。
エピソード4の藤井監督は「バカバカしいものをどれだけ美しく撮るかということに個人的に挑戦しました。脚本はほかの5本が出揃ったあとに書いたので、どうやったら6本がよりよく見えるかということも考えて作りました。田中美晴さんがバカバカしいものをきれいに演じてくれたなと思います」。
エピソード5の志真健太郎監督は「三浦萌さんの芝居をぜひ多くの人に観てもらいたいなと思います。重い役をきちんと生きているので、その生き様をぜひ観ていただきたいなと思います」。
エピソード6の山田能龍監督は「高円寺を題材にした映画で、ぼくは高円寺に6年くらい住んでいるんですね。6年間、観察せずとも入ってきた人物像たち、ほんとに生きている人たちがマンマ映り込んでいるような感じになっていますので“高円寺にこんな奴いるんやな”というのを観ていただけたらなと思っております」。
映画は各エピソードに個性豊かな俳優陣が共演しているのに加えお笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅さんがすべてのエピソードに出演しており、三浦萌さんは「私のおじがドランクドラゴンの鈴木拓なので(コンビの相方の)塚地さんと共演できて楽しかったんですけど“じゃあこれから飲みに行きましょう”みたいな会話をして、(行かないまま)1年が経ちました、はい(笑)」と裏話を披露。
武田梨奈さんは登壇者を代表し、舞台あいさつの締めくくりとして「この作品は私たちが演じる女子6人の目線を描いた映画ではあるんですけど、実は私たちが関わっている彼氏だったり家族だったり、いろいろな人たちの目線でも観られる作品であって、たぶんみなさん必ずひとつは共感できる部分があると思います。なので、なにかひとつ背中が押せたらいいなと思います」と想いを述べました。
『TOKYO CITY GIRL』は9月5日(土)より角川シネマ新宿にて公開中。
また『TOKYO CITY GIRL』は全12エピソードが製作予定となっており、今回の「夏バージョン」に続く次回作も進行中。次回作ではヒロインを一般より公募しており、専用サイト[http://tcg-audition.com/]で詳しい情報が掲載されています。