舞台あいさつをおこなった金子雅和監督、尾崎愛さん、増田修一朗さん、山田キヌヲさん、松岡龍平さん、東加奈子さん、松蔭浩之さん、細井学さん、松永麻里さん、山口智恵さん(左より)
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山に住む白い鹿とその鹿を狩ろうとする者、護ろうとする者の姿を通して「自然と人間」という題材を描いた『アルビノの木』が7月16日に初日を迎え、主演の松岡龍平さんと共演の東加奈子さん、山田キヌヲさんら出演者と金子雅和監督が舞台あいさつをおこないました。
映画美学校終了作品である初長編『すみれ人形』が2008年に公開され注目を集めた金子監督の長編第2作である『アルビノの木』は、害獣駆除の仕事に携わる青年・ユクが、白鹿の駆除を依頼され入った山で白鹿を神聖な存在と崇める村の人々たちと出会っていく物語。
金子監督は「この作品は、2008年に『すみれ人形』という自分の長編第1作が公開されまして、そこから“次の長編を作りたい”と思って、2008年の夏の段階で『アルビノの木』というタイトルと大きなかたちでの構想は始まっていました。そこからこうしてみなさまの前で上映できるまでなんと8年もかかってしまったのですが、その分、今日はほんとに感無量です」と、公開初日を迎えての心境を語りました。
主人公のユクを演じた松岡龍平さんが「監督は、ちょっとした手の置く位置であったりとか、歩くルートだったりをすごくこだわられて撮るので、あえて撮影現場では(松岡さんは)モニターをチェックせず、できあがった作品を見せていただくようにしていたので、その分、期待以上に美しい映像が撮られていたので感激しました」、村の女性・ナギ役の東加奈子さんが「試写で観せていただいて、ほんとに監督の撮った映像がきれいで感動しました」と話すように、こだわられた映像美が印象的な作品となっている『アルビノの木』。
そのこだわりゆえに松岡さんも東さんも自然の中でのロケ撮影では過酷な面もあったようですが、金子監督は「劇映画の場合だと人間が主人公になるので人間が中心で背景は背景でしかないのが普通だとは思うんですが、自分はひとつの画として背景も含めての均衡というか美しさであったり、観ている人に“画面の中に人間以外のものも存在しているんだ”ということを感じられるようにということは考えております」と、こだわりを生む映像観を明かしました。
主人公・ユクの姉のイズミを演じた山田キヌヲさんは、『すみれ人形』にもヒロイン役で出演しており「こんなに大きな映画館で映画がかかるように金子さんがどんどん大きくなって、その背中を追いかけるので一生懸命です」とコメント。
同じく『すみれ人形』や金子監督の過去作品にも出演している松蔭浩之さんは「ほんとに金子監督についてきてよかったなと思っておりますが、この作品は金子監督にとっても勝負に出た作品だと思います。現代のいろいろな問題が金子流のファンタジーの中にすごくリアルに描かれていて秀逸な脚本だと思ったので、こうしてかかわらせていただいております。みなさまもぜひ、力を貸していただければと思います」と応援を呼びかけました。
現実と幻想の狭間にある現代の民話的な作品となっている『アルビノの木』は、7月16日(土)より29日(金)までテアトル新宿にて2週間限定レイトショー上映中。
公開期間中には、山田キヌヲさん(17日・日)、初日舞台あいさつには登壇されなかったベテラン猟師・火浦役の長谷川初範さん(20日・水)や、金子監督の映画美学校時代の指導教官である瀬々敬久監督(22日・金)、金子監督が小説を映画化するなど縁のある作家の乙一さん(19日・火)ら多彩なゲストを迎えてのトークショーが連日開催されます。