舞台あいさつをおこなった津田寛治さん、奥田佳弥子さん、中村優一さん、井口昇監督(左より)。キャストは劇中衣裳で登場し、中村さんは劇中のスレイブメンの技「スキャニング・オン!」のポーズ
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奇才・井口昇監督が中村優一さんを主演に迎えて送り出す異色のヒーロー映画『スレイブメン』(3月10日公開)の世界最速上映会が12月19日にシネマート新宿で開催され、井口監督と中村さん、共演の奥田佳弥子さん、津田寛治さんが舞台あいさつをおこないました。
『スレイブメン』は、中村さん演じる気弱な自主映画監督・しまだやすゆきが、カメラで相手を撮ることによって運命を変える力を持ったダークヒーロー・スレイブメンとなって闘う姿を描いた作品。
井口監督は「ヒーローものっていっぱいあって、ある程度やりつくされているなと。だから見たこともないヒーロー映画ってできないかなと思って」ソーシャルネットワーク時代に合わせた「自画撮りをするヒーロー」を思いついたのが『スレイブメン』の発想のきっかけだったと説明し、そこからアイディアを膨らませた結果「先が読めない映画になっておりまして、ひとつだけ言えるのは“ヒーロー版『君の名は。』”。つい数日前に『君の名は。』を観たんです。“あ、(新海)誠、同じこと考えてる!”って思って、これ以上は言えないですけど、予想がつかないところに行く映画であるということだけは言わせていただきます」と、上映前の舞台あいさつのためネタバレに配慮しつつ『スレイブメン』の異色さをアピールしました。
主人公のしまだやすゆきを演じた中村さんは、演じた役について「世界一弱いヒーローだと思います。井口監督から言われたのは、(ドラえもんの)のび太くんでいてくれと」と、やはり“異色のヒーロー”であることを強調しつつ「観ていただいたらわかるんですけど、ほんとに楽しい役なんで、井口さんから演出されたときもすごく楽しくて」と撮影を振り返りました。
また中村さんは過去に「仮面ライダー電王」で仮面ライダーゼロノスに変身する桜井侑斗を演じていますが、共演の津田さんから「中村くんは仮面ライダーもやっていて、まったく真逆じゃないですか、ライダーは強いヒーローだもんね。強いヒーローと弱いヒーローふたつやってみて、どっちが自分にあっていると思った?」と尋ねられると、間髪入れないタイミングで「こっち」と即答。場内を沸かせました。
主人公が恋するヒロイン・小暮彩乃を演じた奥田さんは、初の舞台あいさつに緊張をのぞかせながら「予告編にもあるんですけど、いろいろな(キャラの変わる)役をしているんですね。悪い部分だったり素直な部分を引き出してもらったので、そこはさすがに井口監督だなと思いました」とコメント。
井口監督作品常連で『スレイブメン』では主人公を狙う男・貴龍雄山(きりゅう・ゆうざん)を演じた津田さんは「井口さんの持っている井口ワールドがめちゃくちゃ出ているんだけど隠されているというのかな。ぼくは観終わったあとあまりに感動して、その場で感想文を書いてしまった」と告白し、この発言には井口監督も「ぼく、その感想文まだ読んでない」とビックリ。津田さんは「観終わったときのその気持ちを忘れないでいようと原稿用紙3枚くらい書いたので、(渡すのではなく)見ながら話そうと思います。自分が出演した作品で感想を文字にしたいと思ったのって初めてだったので、そのくらい奥が深いなと思いましたね」と、作品への賛辞を送りました。
中村さんは『スレイブメン』の情報解禁日がアメリカ大統領選挙の日と重なっていたため話題にならないと心配していたところ、インターネットポータルサイトの話題のキーワードで「8位に『スレイブメン』があったんですよ!(※井口監督曰く「最高4位」とのこと)テンション上がりましたね」と笑顔で報告。
井口監督は「今日ご覧になって“なんじゃこりゃ?”という方もいるかもしれません。“いろんな映画のパクリもあるじゃないか”と思う方もいらっしゃるかもしれません。“なんだこの展開は!”という方もいらっしゃるかもしれません。だけど、1回観たあと中毒性がある映画で、二度三度観るとより楽しめる映画だと思いますので、ぜひSNSなどで“変わった映画がある”と広めていただいて、そして何度か観ていだけるとハマるんじゃないかと思います」と語り舞台あいさつを締めくくりました。
異色のダークヒーロー映画でありながら、切なくも優しく美しい予測不能のストーリーが展開され、井口昇監督の映画への愛と決意が全編に漂う『スレイブメン』は、2017年3月10日(金)より全国ロードショーされます。
※記事初出時、公開日の曜日表記に誤りがありました。お詫びして訂正します。(12月20日修正)