舞台あいさつをおこなった梅沢壮一監督、杉本桃花さん、武田杏香さん、藤田恵名さん、牧原ゆゆさん、黒沢あすかさん(左より)
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特殊メイクアーティストとして活躍してきた梅沢壮一監督が初の長編映画のメガホンをとり、ミスiD2017グランプリの武田杏香さんが主演をつとめるホラー『血を吸う粘土』が8月19日にキネカ大森で初日を迎え、武田さんらミスiD受賞者のキャストと梅沢監督らが舞台あいさつをおこないました。
キネカ大森で8月19日より開催されている「夏のホラー秘宝まつり2017」内でお披露目された『血を吸う粘土』は、地方の美術専門学校を舞台に、呪いのこもった粘土が次々と人を襲っていくというストーリー。主演の武田杏香さんはじめ、杉本桃花さん、藤田恵名さん、牧原ゆゆさんと、ミスiD受賞者をメインキャストに迎えています。
これまで数多くの作品に特殊メイクや特殊造型で参加してきた梅沢監督は「粘土でなにかを作るということをずっとやっているので、粘土ってちょっと動かすと形が変わるというところから、これが意志を持って動き出したらどうなるか」というずっと抱えていた発想と、美大受験で失敗し「鬱屈したものがそこにはなにか残っているんですよ(笑)」という監督自身の経験から、美術予備校を舞台に粘土が人を襲うというストーリーを作り上げたと経緯を明かしました。
主演をつとめた武田さんは「撮影していると、ある体(てい)でやってみようとか、実際にはそれがないけどそれを見て(いるという設定で)演技をしなくてはいけなかったりとかしたので、想像力がすごい必要だったなと振り返って思います」と話し、初の映画主演について「お話をいただいたときは主役だ、がんばらなきゃって思ったんですけど、撮影していると(共演者やスタッフと)同じところにずっといたので、主役というよりみんなと一緒に頑張って作り上げていきたいなという想いのほうがすごく強かったですね」と振り返りました。
演技初挑戦だった杉本桃花さんは、役と杉本さん自身が近い存在なのでそのまま役になってくればいいと監督に言われ「すごくやりやすかったので、すごく助けたもらえたところ」と撮影前のエピソードを語るとともに、演じた役が「どんどん正義感とか失ったものを抱えて、重荷を抱えながら立ち向かっていく姿というのが、演じながら私も熱い想いがこみ上げてきていたので、初めての映画が『血を吸う粘土』をやって、すごく面白かったなというところはありますね」と初映画の感想を。
そして杉本さんは、撮影中にお経を読み上げる声を聞き、近くにいたスタッフに「お祓いの人が来ているんですか?」と尋ねたところ「そうだね、○○さんという人が来てて」と言われたけれど、実際は誰もお経を読んでおらず、杉本さん自身もそのとき尋ねたスタッフが誰だったか「思い出せないんですよ(笑)」という恐怖体験を告白。
武田さんは「いま聞いてビックリしています」と驚きを見せ、梅沢監督は「(同日公開の心霊ドキュメンタリー『怪談新耳袋Gメン 復活編の)佐藤周監督をそのとき呼んだほうがよかったですね(笑)」と客席の笑いを誘いました。。
昨年の「夏のホラー秘宝まつり」グランプリ受賞作「EVIL IDOL SONG」で主演をつとめ2年続けての「ホラー秘宝まつり」参加となった藤田恵名さんは「もともと演技の畑の人間でもないですし『新耳袋』の主題歌を2年間やらせてもらったのがきっかけで去年映画に出演することになり、今年の流れなんですけども、ホラー映画大っ嫌いなんですけど、ここまで来たら切っても切り離せない感じもあるなと(笑)」と笑いつつ「出ているときっていつも出せないような奇声を出せるというか」と「開放できるような想いで叫んでいました」と、出演者としてのホラーの魅力を語りました。
また、藤田さんは、藤田さんがミスiDに参加中に書いた曲を映画用に歌詞を書き下ろしたという映画主題歌「私だけがいない世界」も担当しており「撮影のあとに(歌詞を)書かせていただいたので、映画のシーンとか自分が見たものとかを交えながら書きました」と、ミスiDと映画双方の体験が詰まった曲についてコメント。同曲のミュージックビデオは梅沢監督がメガホンをとっており、藤田さんは「自分でもこういうミュージックビデオが出せてよかったなという気持ちでいっぱいです」と感想を述べました。
牧原ゆゆさんは「叫び声のところで苦戦して、叫び声の中にも恐れとか絶望とかいろいろな感情があると思うんですけど、いろいろな感情の変化とか、そういうところも考えながらやるのが難しかったです」とホラー出演についてコメント。
ミスiDの4人が通う学校の教師を演じた黒沢あすかさんは「ミスiDに選ばれた四方なので、語るだけでもうそのキャラクターになるというか、才能をお持ちなんだなあということを現場をご一緒したときに感じました」と印象を述べ「自分がどうやって生きてきたかということが、発する声や佇まいに出るんだなということは、ご一緒させていただいて勉強になりました」と、4人について語りました。
梅沢監督は「来月カナダで開かれるトロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネスという部門のクロージング作品に選出されました。それを受けて海外からいろいろオファーが来ているみたいなので、今後いろいろ広がっていってもらったら嬉しいなと思うんですけど、今日から始まるホラー秘宝まつりがまず大事なので、面白いとおもったらぜひ一票を入れていただくと嬉しいです」、武田さんは「普通のホラー映画とはまたひと味もふた味も違う映画になっていると思います。私も含めて経験が浅いメンバーが多かったんですけど、ほんとに一生懸命、力を合わせて映画を撮影して、海外から評価していただいたりとか、すごく嬉しいです。もっとたくさんの人にこの映画を観ていただきたいと思うので、もしよかったなと思ったら投票していただけたら嬉しいです」と、観客の投票でグランプリ作品を選ぶ「ホラー秘宝まつり」恒例の企画「ホラー総選挙」への応援も呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。
劇場ロビーには実際に撮影に使われた梅沢監督製作の造形物を展示。撮影も可となっています
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劇場ロビーに展示された造形物は多岐にわたっています
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舞台あいさつ登壇者のほか津田寛治さんらが共演する『血を吸う粘土』は、監督のコメントにもあったとおり『Vampire Clay』のタイトルで9月にカナダで開催されるトロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門クロージング作品にも選出。日本では8月19日(土)より2週間キネカ大森で開催されている「夏のホラー秘宝まつり2017」で上映されます。(※上映スケジュールは公式サイトなどでご確認ください)