舞台あいさつをおこなった結城亜実さん、瑚々(ここ)さん、竹内詩乃さん、広橋佳苗さん、勝又悠監督(左より)
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ドキュメンタリーとショートムービーの二部構成で女優を目指す5人の少女のリアルな青春を描いた『私たちは、』が8月3日に新宿K's cinemaで初日を迎え、出演者の竹内詩乃さん、瑚々さん、広橋佳苗さん、結城亜実さんと勝又悠監督が舞台あいさつをおこないました。
『私たちは、』は、竹内詩乃さん、瑚々さん、広橋佳苗さん、水原雅さん、結城亜実さんという撮影時の平均年齢15.8歳だった5人が、勝又悠監督のもとで1本の映画に挑むプロセスを追った作品。前半はレッスンやキャスト発表など5人の半年間に密着したドキュメンタリー、後半は5人の女子高生が“大人になりたくないツアー”と名付けた小さな旅に出るストーリーの短編映画『私たちは、』で構成されています。
撮影がおこなわれたのは2年前で、短編映画パートで主人公のあかりを演じた竹内詩乃さんは「この映画は半年間、メチャクチャがんばってきた映画なので、こうしてみなさんに観ていただけることがすごく嬉しいです」とあいさつし、勝又悠監督は「ようやくこの日を迎えることができまして、嬉しい気持ちでいっぱいです」と初日を迎えた心境を語りました。
劇中のドキュメンタリーパートでは5人の先輩である女優たちがレッスンを訪れる様子も映像に収められており、勝又監督の過去作に出演している花影香音(はなかげ・かのん)さんがその場で台本を読んで役を演じる場面も。竹内さんは撮影で印象的だった出来事としてその場面を挙げ「「花影さんが初めて台本を読んで、すぐやった中で、私より遥かにできていて、それがすごく悔しかったのが印象に残っているところです」と振り返りました。
同じく印象的だった出来事として、りりあ役の瑚々さんは「実際、ドキュメンタリーのこととかはあまり覚えていなくて(笑)」と笑いつつ「技術面で褒められたのをよく覚えています。やっぱり嬉しかったので」とコメント。
ゆめを演じた広橋佳苗さんは「いま観ると、(ドキュメンタリーパートの)後半ではカメラ慣れみたいなのをしちゃっていて、なにも意識せずにほんとに素の自分を出してしまったみたいな(笑)」と、カメラを意識していない表情も映しだされていると話し「“ドキュメンタリーだからいいんだよ”みたいなことを言われるんですけど、ちょっとヤバイなっていうところはけっこうあります(笑)」と告白。
さつきを演じた結城亜実さんは、ドキュメンタリーパートで5人がぶつかり合う場面について「丸く収めようと思ったんです。あんなに勃発するとは思ってなくて私の中で(笑)」と当時の心境を語りながら「でも、こうやって映画が完成したので、それもいい思い出かなと思っています」と、2年経っての想いを。さらに結城さんは「勇気出せなくて“ハイ”って言えなかった(=立候補の手を挙げられなかった)んですけど、主役をやってみたかった自分もいて」と、撮影当時に主役を演じたい気持ちがあったことを明かし「でも自信がなかったから。でも、さつきでよかったなって、いまでは全然思っています」と実際に撮影を経験しての感想を述べました。
また、客席で映画を鑑賞していた音楽担当の田中マコトさんも司会者の呼びかけで舞台に上がり「夏休みの映画という感じですごく楽しく観られました」と作品の感想を。勝又監督の作品では何作も音楽を担当している田中さんは、音楽を作る際に監督とは「あまり打ち合わせしてないですね」と話し、勝又監督も「素晴らしいですよ。毎回ほんとに言うことがないんです」と、信頼の深さを感じさせました。
そして、映画のキーワードである「大人になりたくない」という気持ちにちなんで、竹内さん、瑚々さん、広橋さん、結城さんそれぞれの「こんな大人にだけはなりたくない」大人像も発表されました。
「説得力のない大人」と答えた竹内さんは「大人の人は子どもにはダメっていうことを自分で堂々とやるじゃないですか。それが嫌なのと、逆に私は説得力のある大人がすごい好きなんですよ。自分に自信を持って物事を言ってくれる大人が好きなんです」と“好きな大人像”も回答。
「人の家にお邪魔するとき靴を揃えないとか、ご飯屋さんに行って下駄箱があるのにそのまま放置してほかのお客さまに迷惑をかけちゃう」ような「マナーの悪い大人」が苦手だという広橋さんは、駅の雑踏などで人とぶつかってしまった際も「1日を快く過ごすためには、ちょっと会釈してもらえたらなって思います(笑)」と呼びかけました。
結城さんは「自己中」と答え「いまもそうなりたくないなって自分の中で思っていて、周りが見えないような人にはなりたくないなと思って」と理由を説明。
「自立してない体だけが大人な人」と回答した瑚々さんは「この(全員の)意見を全部揃えた意味での自立ですね、マナーも守れて自分の生活もしっかりできている人。私は将来、親には頼らないでこの仕事で食べていけたらなと思っていますので」と、広橋さんが「メチャメチャしっかりしてる」と感心するほどの将来像を披露しました。
それぞれの「こんな大人にだけはなりたくない」を掲げる結城亜実さん、瑚々さん、竹内詩乃さん、広橋佳苗さん(左より)
舞台あいさつの最後に勝又監督は「私事なんですが、このK's cinemaという劇場はですね、8年前にデビュー作(『はい!もしもし、大塚薬局ですが』)をかけていただいた、ほんとに自分の中でもすごく大切な映画館なので、8年の月日を経て、もう一度この作品をこの映画館でできるとは思っていなかったので、もう1回初心に帰れと言われているような気持ちでいっぱいです。これからも映画を作り続けていきますので、どうぞみなさんよろしくお願いします」と、劇場との関わりを紹介してあいさつ。
そして4人の出演者それぞれの言葉で舞台あいさつは締めくくられました。
「映画がよくても悪くても、みなさん広めてください!(笑) お願いします」(結城亜実さん)
「ほんとに、この夏に公開ができて、みなさんが夏に一緒に観てもらってっていう、夏にピッタリの作品だと思っているので、ほんとに今日この日にみなさんと一緒にこの時間を過ごせて、素敵な時間をありがとうございました」(広橋佳苗さん)
「まず、今日こんなにたくさんのお客さんの顔を一斉に見られてとっても嬉しかったです。この時間がとても楽しかったので、映画も思い入れのある作品なので、これから周りの方に広めてもらえたりしたら助かります。よろしくお願いします」(瑚々さん)
「今日はほんとに来てくださりありがとうございました。この映画は、ほんとに私の初めての映画で、ほんとに心に残っている映画なので、みなさんの思い出にも残してくださったらいいなって思っています。ほんとにありがとうございました」(竹内詩乃さん)
ロックバンド・藍坊主(あおぼうず)が歌う主題歌「伝言」に乗せて10代の少女たちの戸惑いや葛藤を焼き付けた『私たちは、』は、ドキュメンタリーパートに相楽樹さん、藤江れいなさん、花影花音さんや、藍坊主のベーシストで「伝言」の作詞・作曲者である藤森真一さんが出演。
新宿K's cinemaで8月3日(土)ほか全国順次公開され、K's cinemaでは上映期間中、ゲストを迎えたトークイベントも予定されています。