舞台で人気の俳優・日向野祥さん、瀬戸啓太さん、中尾拳也さんが出演するハートフルコメディ『縁側ラヴァーズ2』(2020年春公開予定/今野恭成監督)の完成披露上映イベントが12月28日に大崎ブライトコアホールで開催され、出演者3人が舞台あいさつをおこないました。
『縁側ラヴァーズ2』は、駆け出しの映画監督・萩原大輔、他人と距離を取りたがるホテルマンの石橋彰人、空気を読まない言動の多い朝倉忠という3人の若者が主人公。海の近くの田舎町にある縁側のある日本家屋で共同生活を始めた3人が、さまざまな出来事の中でそれぞれの抱える事情と向き合っていく姿を描いた作品。同じく今野恭成(こんの・やすあき)監督がメガホンをとった『縁側ラヴァーズ』の続編で、舞台となる縁側のある家や、大家の父娘、隣人たちが前作に引き続いて登場しています。
日向野祥さんが演じた映画監督の萩原大輔は、自分が作りたい作品とは違う作品を引き受けつつも、共同生活の中で自分の本来の目標に気づいていくという役柄。日向野さんは「ぼくはどちらかというとやりたいことをやらせてもらって、好きなことをやってというほうなんですけど、気づくきっかけとかはぼくにも人生においてあったなあって」と話し、演じた役と日向野さん自身が「リンクする部分は多かったですね」とコメント。そして日向野さんも映画の世界での目標を持っているため、駆け出しの映画監督という役は「映画という意味での共通点はすごく大きかったです」と話しました。
ホテルマンの石橋彰人を演じた瀬戸啓太さんは「撮影前に監督さんとかとお話をさせてもらう機会があって」と、今野恭成監督が出演者ひとりひとりと話をして、本人と近い役を演じられるように脚本を書いたことを紹介。石橋のキャラクターにも瀬戸さん自身の「(家電用品の)リモコンを(きれいに)並べたくなるくらいの神経質ではある」面が膨らませたかたちで反映されていると話し、撮影前に話す時間は数10分とごく短時間だったにもかかわらず「ぼくたちのことを見抜かれて書かれたんだなって」と、監督の観察眼に感心した様子を見せました。
朝倉忠を演じた中尾拳也さんは、朝倉だけは「監督さんがああいう役が欲しいって言って作られた役なんですよ」と、中尾さん本人とは違ったキャラクターになっていると説明。朝倉を演じる上では監督から「感情をなくしてやってみて」と言われて演じた場面があることを明かし「感情を殺すというのは、いつもあんだけ感情を出している俺からするとすごく難しい役柄を演じさせていただいたなと思って、役者冥利につきます」と振り返りました。
また、3人は映画などの映像作品より舞台の経験が多く、中尾さんは舞台と映画の違いについて、今回の撮影はストーリーの進行に沿って撮影する「順撮り」ではなかったため、感情の変化が一貫している舞台とは異なり「自分の役柄がわからなくなっちゃって、さまようことはありましたね」と苦労があったことを告白。日向野さんも映画では撮影している場面のあとの役の心境を「イメージをして動かないといけなかったりとか、そういう意味ではすごい難しい」と語り、瀬戸さんはその中でも撮影の序盤は「わりと順撮りに近かったかなとぼくは感じていて」入りやすかったと感想を述べました。