舞台あいさつをおこなった洸美-hiromi-(ひろみ)さん、利重剛さん、椎名鯛造さん、モトーラ世理奈さん、大島葉子(おおしま・はこ)さん、真宮葉月さん、今関あきよし監督(左より)
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今関あきよし監督がモトーラ世理奈さんを主演に迎え台湾を舞台に描いた『恋恋豆花』(れんれんどうふぁ)が2月22日に新宿K's cinemaで初日を迎え、モトーラさん、大島葉子さん、椎名鯛造さんら出演者と今関監督が舞台あいさつをおこないました。
台湾の代表的なスイーツ・豆花(どうふぁ)をタイトルにした『恋恋豆花』は、大学生の奈央が主人公。父親の3度目の結婚相手である綾とふたりだけの台湾旅行をすることになった奈央が、台湾の旅の中で綾との関係や自分自身を見つめていく姿が、台湾各所の風景や台湾の料理などとともに描かれていきます。
上映後に舞台に登壇した奈央役のモトーラ世理奈さんは、満席となった客席に「どうでしたか?」と尋ね、大きな拍手に「ありがとうございます」と笑顔。
綾を演じた大島葉子さんは「初日をこんなふうに迎えられてとても嬉しく思っています」と心境を述べ、今関あきよし監督は「ほんとに映画館に来てくれてありがとうございます。いまはネットでも映画を観られる時代ですが、やはり大きなスクリーンで観てほしいという気持ちがずっとあります」と、映画館への想いものぞかせながらあいさつしました。
映画は大部分が台湾ロケで撮影されており、台湾で印象に残ったことを質問されると、モトーラさんは「ほんとにいろんなところに行っていろんな食べ物を食べて、実際に劇中で食べているものが私たち撮影メンバーのご飯だったので」と、料理がたくさん登場する作品だけにそれが印象に残っていると話し、中でも映画本編には登場しない“天天饅頭”というお饅頭を「台中にあるんですけど、ほんっとにそれがおいしかった」とおすすめしました。
奈央が台湾で出会う日本人バックパッカー・清太郎を演じた椎名鯛造さんは、撮影で食べた棒餃子が気に入ったそうで、撮影で食べたあとにも夕食に食べようと思いホテルの近くの店で注文したところ「紙に書いて(注文して)、書き方が難しくてよくわからなかったんですけど、5人家族分くらいの餃子が来ちゃって(笑)」と外国ならではの失敗談を披露。
大島葉子さんは、劇中で綾が飲んでいる台湾のコーラを舞台上で紹介。実際に飲んでみせて「(映画の中では)めっちゃおいしそうに飲んでいますが、湿布の味しかしないというものなので(笑)」と、日本にはあまりない味であることを伝えて客席を沸かせました。
モトーラ世理奈さんも舞台上で台湾のコーラを飲み、そのあとの表情に椎名鯛造さんはひとこと「こんな味です」
綾の実の娘を演じた真宮葉月さんは、台湾に住みマッサージ店で働いているという設定の役のため、撮影の前には現地の雰囲気を知るために何軒かマッサージ店を訪れたそう。真宮さんが「現地の人っぽさが出ていたらよかったと思うんですけど」と話すと、大島さんが「撮影に現れたときに、彼女はスリッパみたいなのを履いて、コンビニの袋に自分の荷物を入れて来たんですよ。現地の人そのものだった。大成功(笑)」と、見事に台湾に馴染んでいたと太鼓判を推しました。
奈央の父親・博一役の利重剛さんは、今関監督作品に出演するのは初めてですが監督とは自主映画時代からの約40年の付き合いで「現場は変わらないなと思いました。むかしむかしの8ミリフィルムで作っていたときと全然変わらないまま作ってるんだこの人という印象でした」と現場での今関監督について話しました。
そして、今関監督が映画序盤の食事シーンでの利重さんについて「カニ食べるシーンでチュウチュウチュウチュウ(吸う音が)うるさくて」と話すと、利重さんが「食えって言ったじゃん!(笑)」とすかさず反論して親しさを感じさせ、今関監督は「(利重さんも)監督なんで、狙いがわかっているからより一層オーバーに」と、監督でもある利重さんの演技を評価すると、利重さんは「ぼく台湾行ってないんで、あそこでカニ食べないと意味がないなあっていう(笑)」と話して客席の笑いを誘いました。
本人役で出演し、映画と同じタイトルの挿入歌「恋恋豆花」も歌っているシンガーソングライターの洸美-hiromi-さんは、挿入歌は「撮影のときにキーとなるように仕上げてほしい」という今関監督の依頼を受けて脚本を読んだ上で作ったと話し、歌詞の「花が咲く」というフレーズは洸美-hiromi-さん自身が豆花を食べてこころが幸せになるときの感覚を表現したもので「主演のおふたりが台湾を通して仲良くなってこころにたくさん花が咲いて、それを観たみなさんのこころに花が咲いてくれたらなと思って作った1曲です」と、曲に込めた想いを述べました。
今関監督は、久しぶりに訪れた台湾に魅力を感じ、豆花を知ったことで「スイッチが入って」映画作りを思い立ったと振り返り、当初はまったく別のストーリーの劇映画を考えていたものが「台湾のご飯とか出会った人々が楽しくて」方向転換ををして、完成した映画は「ぼくと脚本のいしかわ(彰)が出会った人々をそのまま(もトーラさんと大島さんの)ふたりに出会わせたいという、半分ドキュメンタリー」だと説明。
その今関監督の言葉に利重さんは「これほど純粋なロードムービーはないっていう映画ですもんね」と独特な内容を評し、今関監督は予定外のお店に飛び込んで撮影したシーンや、モトーラさんや大島さんに撮っていると知らせずにカメラを回したシーンもあると明かしました。
舞台あいさつの最後にモトーラ世理奈さんは「みなさんとこうして初日を迎えられて、とても嬉しいです。私はこの映画を観て、普通の映画とはちょっと違ったような体験をする、映画館がテーマパークになったみたいな感覚になってメリーゴーラウンドに乗っているみたいな気持ちになるなって思って観ていました。みなさんに、この映画のおいしいものを食べたあとのあったかい気持ちを持って帰っていただけたら嬉しいなって思います。ぜひ、あったかい気持ちを持って帰ってください。ほんとに今日はありがとうございました」とあいさつ。
今関あきよし監督はSNSなどでの映画の感想の拡散を呼びかけると「映画も台湾も愛してくれたら嬉しいと思います。あとね、モトちゃん(モトーラさん)は、ぼくの映画以外にも『風の電話』(諏訪敦彦監督)もいま公開中ですので、いろんな魅力を楽しんでくれたらと思います。今日はほんとにありがとうございました」と、モトーラさんのほかの作品もPRして舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、石知田(シー・チーティエン)さんや潘之敏(ヴィッキー・パン・ズーミン)さんという台湾で活躍するキャストも出演する『恋恋豆花』は、2月22日(土)より新宿K's cinemaで公開中のほか、全国順次公開されます。