俳優・円井わんさんが企画・出演し初長編『向こうの家』が高く評価された西川達郎監督がメガホンをとる完全リモート制作のモキュメンタリー連続ドラマ『コウキの雨鳴き-About Kouki-』が５月１日よりYouTubeで配信されています。

　『コウキの雨鳴き-About Kouki-』は、大学院生・駒井が障害を持つ高校生の教育環境調査のためビデオ通話で先天盲の男子・コウキや周囲の人々の取材を進める中、コウキが行方不明になるというストーリー。
　西川監督の『向こうの家』で望月歩さん演じる主人公の姉を演じた円井さんが自ら企画して西川監督や俳優陣らに声をかけ、集まった10人のスタッフとキャストにより「なにか私たちにできることがあるはずだ、その一歩をまず踏み出してみ よう」という想いで制作されました。
　撮影はスタッフ・キャスト同士の接触を避けた完全リモート体制で４月中におこなわれ、劇中の設定も外出自粛により登場人物たちがビデオ通話で会話するという２０２０年春の状況が反映されたものになっています。

　作品はYouTubeに開設されたチャンネルで１話ずつ順次配信され、無料で視聴可能。クリエイターを支援する“投げ銭サービス”「OFUSE」を利用して支援もできるようになっています。

　配信開始に際し、円井さんと西川監督は次のようにコメントを発表しています。

企画・出演（駒井さえ役）：円井わんさんコメント

深くを知ると好きになっていく経験、逆も然り。十人十色、理解しあえるなんて思ってない。でも、少しでも寄り添い合 えたのなら何か変わるかもしれない。正義にならなくて良いのだから、隣にいる人を大事にしたい。そんな願いを込 めて、この作品が貴方にとって「心の中で何かを抱くもの」となりますように。

監督・脚本：西川達郎監督コメント

このような状況の中で、日々をどのように生きていくか多くの人が模索しています。その中で強い前向きなメッセージ を発信する人々に勇気づけられ尊敬の念を抱くと同時に、思わぬ形で露呈する世の中や人の弱さに戸惑う事があり ます。もちろん自分自身もその範疇にあります。
「コウキの雨鳴き」は、そんな戸惑いに寄り添う作品です。様々な登場人物が語る複雑な本心が、一筋縄ではいかな い人間のありようを写すと共に、巡り巡って明日を生きてくための心の下支えになると思っています。

本作は信頼している俳優、円井わんちゃんから企画をお声がけ頂きスタートしました。
完全リモート撮影はもちろんの事、シナリオ制作から演出に至るまで、初めての試みの中で制作した作品になりまし た。今、何か出来る事を模索する中で、まず一つやってみようと、こうしてお声がけ頂いた事に感謝しています。
そしてなによりも、各登場人物を演じた俳優達の心掴まれる演技を目撃して頂けたらなと願っています。

　東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻の修了制作として制作した『向こうの家』が「ええじゃないかとよはし映画祭2019」グランプリを受賞するなど高評価を得て２０１９年より順次劇場公開中の西川達郎監督と、主演作『KONTORA-コントラ』がエストニアで２０１９年に開催された第23回タリンブラックナイト映画祭（Black Nights Film Festival）で日本映画初となるグランプリと最優秀音楽賞を受賞した１９９８年生まれの円井わんさん。
　ふたりの若き才能が集まった『コウキの雨鳴き-About Kouki-』には、モデルとしてキャリアを持つ佐藤寛将さんが作品タイトルになっている登場人物・菅谷コウキを演じるのをはじめ、平山りのさん、山本篤士さん、牛嶋裕太さん、原野拓巳さん、大山真絵子さん、『KONTORA-コントラ-』のアンシュル・チョウハン監督の前作『東京不穏詩』に出演の川口高志さんが出演し、登場人物たちの感情が交錯する物語を築いていきます。

　「不安定な世界の中で、明日を生きていく人々の”本音”に耳をすます」作品だという『コウキの雨鳴き-About Kouki-』の展開に注目しましょう。