海外の映画祭でも話題となった坂本サク監督の劇場アニメ『アラーニェの虫籠』『アムリタの饗宴』2作品が1月10日より主要動画配信プラットフォームで配信開始されたことを記念して、坂本監督の新作短編『カラビ・ヤゥの隙間』の制作始動が発表されました。衝撃的なティザーヴィジュアルが解禁されています。
監督・アニメーション制作・原作・脚本・音楽の一人五役をつとめ「たったひとりで制作する長編アニメ映画」として話題となった『アラーニェの虫籠』(2018年)と、そのスピンオフ中編『アムリタの饗宴』(2023年)で、美しく幻想的な独自のホラー表現を示し、国内外で多くの人々を魅了したアニメーション作家・坂本サク監督。
その待望の新作となる短編『カラビ・ヤゥの隙間』の制作が始動しました。もちろん『アラーニェの虫籠』『アムリタの饗宴』の前2作同様、坂本監督が一人五役をつとめ、アフレコと音響効果以外の制作工程すべてをひとりでおこなって制作されます。
タイトルの「カラビ・ヤゥ」とは、数理物理学などで予想されている、人間に認識できない「六次元の世界」カラビ・ヤゥ多様体のこと。提唱したエウジェニオ・カラビと証明したシン=トゥン・ヤゥのふたりの数学者の名前に由来するこの言葉は、前作『アムリタの饗宴』では、主人公・たまひのクラスメイト・由宇のセリフの中で、歪んだ空間の謎を解く鍵として登場しています。
解禁されたティザーヴィジュアルは、学校の教室と思しき室内に、割れた大きな卵とその前に佇み振り返る少女、そして手前には何者かの影――という構図。
前2作とは異なり「学校」が舞台であることを予想させつつも、よく見ると窓の外には前2作の舞台である巨大集合住宅が……。
また、観る者を見つめ返すような少女の眼差しはさまざまな感情を感じさせるようで、新たなヒロイン像を予感させます。
大きな割れた卵は「なにか」が生まれた痕跡なのか、そうだとすれば少女に迫るような影は卵から生まれたなにかなのか、それとも……。
前2作で観客のイマジネーションを刺激した坂本監督の意図が細部にまで仕掛けられたような、見れば見るほどに想像が喚起されるようなヴィジュアルとなっています。
「心霊写真部」『恐怖のお持ち帰り』(2016年)など数々のホラー作品を生み出した脚本家・監督・作家で前2作に続いてプロデューサーをつとめるゼリコ・フィルム代表の福谷修さんによると、今回発表になったタイトルとティザーヴィジュアル、短編アニメーションであること以外の情報は「まだ秘密」とのことで、キャストも未定。
福谷プロデューサーは「坂本監督に納得いくまで、こだわって作ってもらうため、あえて公開時期や上映時間は決めていません。興味を持っていただいている皆様には大変申し訳ありませんが、完成まで今しばらくお待ちください。最新情報は随時発表いたします」とコメントを発表しており、今後の展開が楽しみです。