吉川隼人(高橋賢人)は小学6年生。自顕流の剣術を学び、困難なことでも「チェスト!」の気合で乗り越える、生粋の薩摩っ子だ。
隼人の通う清水原小学校では、毎年、錦江湾を横断する遠泳大会がおこなわれていた。大会に向けて同級生たちは盛り上がり、牟田敦美(宮崎香蓮)は、集団の先頭で泳ぐ先導隊を目指している。
しかし、隼人は頭を悩ませていた。実は隼人はカナヅチであることをクラスメイトや担任の奈津子先生(松下奈緒)に内緒にしているのだ。昨年までは仮病を使って逃げていたが、小学校生活最後となる今年は、父親の隆夫(高嶋政宏)になかば強引に参加を約束させられてしまった。病気ですぐお腹がゆるくなってしまう成松雄太(中嶋和也)をはじめ、去年までは参加しなかった生徒も最後の機会となる今年は参加を希望。クラスで参加しないのは東京から転校してきたばかりの矢代智明(御厨響一)だけとなり、いよいよ逃げられない隼人。
それでも隼人は泳げないことをみんなに言い出せず、学校で始まった練習もサボってしまう。あるきっかけから智明が泳ぎが得意だと知った隼人はコーチ役を頼み、隼人と雄太、智明の3人での、ひそかな特訓が始まった。
特訓を通じて3人は次第に打ち解けていくが、それでも智明は隼人たちに心の内を見せようとはしなかった。そんなある日、智明の態度が気に入らない同級生たちが、水泳の授業中にいたずらを仕掛け、智明は溺れかけてしまう。その次の日、智明は姿を消してしまった。そして智明の母・雪子(羽田美智子)に会った隼人は、智明が隠していた心の傷を知ることになる――。
チェスト!
監督:雑賀俊郎
出演:高原賢人 御厨響一 中嶋和也 宮崎香蓮 松下奈緒 ほか
2008年4月19日(土)新宿バルト9 ほか全国ロードショー
ちょっとした見栄から嘘をついてしまったり、素直に自分の心をさらけ出せなかったり、大事なときにいつも勇気が出なかったり……。子供のころ、誰もがそんな経験をしたことがあるだろう。『チェスト!』は、「うそつき」と「弱虫」と「ひねくれ者」の小学生たちのが一歩成長していく姿を描いた映画だ。
舞台は鹿児島県。4.2kmを泳ぎきる“錦江湾横断遠泳大会”に出場する主人公の隼人たち清水原小6年2組のクラスメイト。ときにはぶつかり合い、ときには励まし合う中で、かけがえのない友情が生まれていく――。
それぞれに事情を抱えながら遠泳大会に臨む小学生を演じるのは、高橋賢人、御厨響一、中嶋和也、宮崎香蓮。演技だけでなく、水泳にも果敢に取り組み、子供時代のきらめきをスクリーン上に表現している。
子供たちを優しく見守る若き教師・奈津子先生を演じるのは『未来予想図』『XX(エクスクロス)魔境伝説』と主演作の続く松下奈緒。本作では音楽も担当、さらに川村結花の詞・曲によるエンディングテーマ「流れる雲よりもはやく」も、子供たちとともに優しく歌い上げている。
そして、高嶋政宏、元フジテレビアナウンサーの大坪千夏、榎木孝明、羽田美智子、北村栄基らが、子供たちをとりまく大人たちを個性豊かに演じあげる。
監督は映画『クリスマス・イブ』『ホ・ギ・ラ・ラ』『RANBU』や、多くのテレビドラマを手掛けてきた雑賀俊郎。福岡県出身の雑賀監督が、実際に大正時代から続く鹿児島の伝統的な行事である錦江湾横断遠泳大会に感銘を受け、映画化を決意。優れた映画企画を援助する日本映画エンジェル大賞を受賞し、映画化を実現させた。
本作は、遠泳大会をめぐるさまざまな人間模様を描きつつ、薩摩の地に伝統的に受け継がれる“郷中教育(ごじゅうきょういく)”の精神を伝えていく。この映画の持つメッセージには、主人公と同年代の子供たちだけでなく、大人たちも励まされるに違いない。
- 高橋賢人
- 御厨響一
- 中嶋和也
- 宮崎香蓮
- 松下奈緒
- 高嶋政宏
- 大坪千夏
- 小林肇
- 北村栄基
- 野村五十鈴
- 榎木孝明(特別出演)
- 筒井真理子
- 三遊亭歌之介
- 羽田美智子
- 監督:雑賀俊郎
- 原作・脚本:登坂恵里香(原作「チェスト!」ポプラ社刊)
- 製作統括:三ツ井康/尾越浩文/奥田尚志
- エグゼクティブプロデューサー:迫田真司
- プロデューサー:坂上也寸志/橋本芙美
- 共同プロデューサー:大越敬子/金澤秀一/井口喜一/棚橋裕之/井口洋
- 撮影:遠藤政史
- 照明:左納康弘
- 録音:長島慎介
- 編集:穂垣順之助
- 装飾:鈴村高正
- 助監督:湯浅真/守下敏行
- 制作担当:宇賀神幸男
- 音響効果:柴崎憲治
- 音楽:松下奈緒
- 主題歌:松下奈緒&清水原小6年2組「流れる雲よりもはやく」(EPICレコードジャパン)
- 製作:共同テレビジョン/ポニーキャニオン/ピーズ・インターナショナル/ラテルナ
- 制作プロダクション:ピーズ・インターナショナル
- 製作賛助:角川出版映像事業振興基金信託(日本映画エンジェル大賞受賞作)