俳優の弓削智久と須賀貴匡のふたりは、スタッフとともにアメリカのサンフランシスコにやってきた。弓削が脚本を書き監督をつとめるショートフィルム『FREE』の撮影のためである。
スタッフとともに1台のワゴン車に乗り込み、15日間で4000kmを移動しながら撮影をするというスケジュールだ。だが、撮影がスタート当初から映画のテーマが揺らいでいた。弓削が日本で考えていたアメリカのイメージと、実際に目の前に広がるアメリカにはギャップがあり、“アメリカ”を見直す必要があったのだ。これからの15日間、撮影をしながらテーマを探していかなくてはならない。
撮影の4日目。前日に弓削が失くしたと思っていたハンディカムが見つかる。置き忘れていたのを運転手のピーターが保管してくれていたのだ。カメラには、ピーターが勝手に撮った映像が記録されていた。弓削と須賀はその映像にヒントを得て、旅の間に出会った人々にインタビューをして、それをショートフィルムに組み込んでいくことを思いつく。
英語の不得意な弓削と須賀は、段ボールで英語で質問の書かれたプレートを作り、それを出会った人々に見せてインタビューをしていく。映画の撮影をして合間にはインタビュー。そして移動。そんな毎日が過ぎていく。
撮影終了まであと3日と迫った日、ロケ場所を探す弓削と須賀は道に迷い、スタッフと連絡も取れなくなる。やむなくふたりは旅の最終地点であるラスベガスまでヒッチハイクで行くことを決意する。そして思わぬ出会いがふたりを待っていた――。
バカは2回海を渡る
監督:渡邊貴文
出演:弓削智久 須賀貴匡 ほか
2009年11月28日(土)よりユーロスペースにてレイトショー
2009年/HD/ビスタサイズ/75分
ショートフィルム撮影のためにスタッフとともにアメリカを訪れたふたりの俳優。長距離の移動を続けながらの撮影中にスタッフとはぐれてしまったふたりは、ヒッチハイクで最終目的地のラスベガスを目指す。その旅の中で、ふたりは思いもがけない体験をすることになる――。
『バカは2回海を渡る』は、2009年6月に開催された“Short Shorts Movie Festival”で上映され好評を博したショートフィルム『FREE』の撮影に密着したロードムービーだ。また、ショートフィルム『FREE』も作品中に含まれている。
広大なアメリカを旅するふたりの俳優は、『サクゴエ』で脚本家デビューを果たし、『FREE』では脚本と監督をつとめる弓削智久と、大河ドラマ「天地人」への出演でも注目を集めた須賀貴匡。映画はドキュメントというかたちをとりながら、フィクションと現実の間を行き来するふたりの姿を捉えていく。
ふたりの旅を映画としてまとめたのは、本作が監督デビューとなる渡邊貴文。そしてRIZEのドラマーで俳優でもある金子ノブアキが初めて映画音楽を担当している。
サンフランシスコを出発し、モントレー、ロサンゼルス、アイディルワイルド、グランドキャニオン、モアブなどを経てラスベガスまで。移動距離4000km、移動時間360時間におよぶ旅。その中でのさまざまな出会いとハプニングは、どこまでが“リアル”なのか、なにが“リアル”なのかという、奇妙な感覚を観る者に与えてくれる。『バカは2回海を渡る』が味あわせてくれるのは、ほかでは得ることのできない不思議な映像体験だ。
- 弓削智久
- 須賀貴匡
- 監督:渡邊貴文
- 製作:伊藤久美子
- プロデューサー:高柳利恵子
- アソシエイトプロデューサー:平体雄二
- ロケーションディレクター:松本庵路
- 撮影:百束尚浩
- VE:佐藤亨
- 音楽:金子ノブアキ
- 協力:世界旅行博/社団法人日本旅行業協会/カリフォルニア州観光局
- 制作プロダクション:スタジオブルー
- 製作:イトーカンパニー
- 配給・宣伝:アルゴ・ピクチャーズ
FREE
- 脚本・監督:弓削智久
- 音楽:金子ノブアキ