大阪の下町で暮らす久保家は両親と3人兄弟の5人家族。いつものように慌しいある朝、お母ちゃんの房子(松坂慶子)に言われて長男の政司(久野雅弘)がお父ちゃん(間寛平)を起こしにいくと、お父ちゃんは帰らぬ人となっていた。葬式の日、集まった人々が賑やかに故人を偲ぶ中、ひとりの男が棺に「兄ちゃん」と呼びかけ泣きじゃくっていた……。
中一でヤンチャな次男・行雄(森田直幸)は、担任の先生から「久保くんはハムレットやなあ」と言われる。その意味がわからない行雄は、図書室でシェイクスピアの「ハムレット」を借り、難しい言葉に難儀しながら辞書を片手に読みはじめた。そして行雄が家に帰ると、見慣れぬオッチャンの姿が。葬式で泣いていたあの叔父さん(岸部一徳)だった。戸惑いつつも、行雄はなんとなく叔父さんのいる生活を受け入れていく。
小4の三男・宏基(大塚智哉)は、学校で将来の夢を聞かれ「ぼく、女の子になりたい」と答える。クラスメイトが笑い出しても本人はいたって真剣だ。房子の妹でいまは入院中のあき(本上まなみ)は、よき理解者として宏基を励ましてくれる。
中三には見えない老けた見た目の政司は、ある日、道に迷っていた美人の大学生の由加を助けた。由加にも大学生と間違えられてしまったが本当のことを言い出せない。それから政司は、大学生のふりをしたまま何度も由加と会うことに……。
それぞれに悩みを抱えた3人の兄弟。そして房子の身にもある出来事が。兄弟と母親とオッチャン、5人の“家族”の行く先は?
大阪ハムレット
監督:光石富士朗
出演:松坂慶子 岸部一徳 森田直幸 久野雅弘 大塚智哉 ほか
2009年1月17日(土)より、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル梅田ほか、全国ロードショー
2008年/カラー/35mm/アメリカンビスタ/DTSステレオ/107分
大阪の下町で暮らす久保一家。お父ちゃんが死んで、お母ちゃんと3人の息子と、なぜかお父ちゃんの弟と名乗るオッチャンが一緒に暮らしはじめた……。
「少年アシベ」などのヒット作で知られる森下裕美の同名コミックを原作にした『大阪ハムレット』は、パワフルな一家の、笑いあり、涙ありの、エネルギッシュな人間ドラマだ。
その一家の大黒柱である母親・房子を演じるのは、日本を代表する女優の松坂慶子。本作ではコミカルな魅力全開で見事に大阪のおばちゃんになりきってみせた。いつの間にか一家と一緒に暮らす叔父さんにはベテランの岸部一徳。とらえどころのない不思議な存在感が、映画にほのぼのとした空気をもたらしている。
そして、一家の3兄弟を演じる3人にも注目だ。歳より老けて見られる長男の政司には『ごめん』『かぞくのひけつ』などの久野雅弘。辞書を片手に「ハムレット」を読みふけるヤンキーの次男・行雄には『酒井家のしあわせ』『転校生 さよならあなた』の森田直幸。女の子になりたい小学生の三男・宏基には映画初出演の大塚智哉。それぞれに悩みを抱える兄弟を個性たっぷりに演じている。さらに、本上まなみ、加藤夏希、間寛平、白川和子という豪華キャストが脇を固める。
監督は『おぎゃあ。』が高い評価を受けた光石富士朗。一家の織りなすドラマをいきいきと描写し、新たな傑作を生み出した。
エンディングテーマは日本だけでなくアジア全域で人気の歌姫・倉木麻衣の「会いたくて…」。澄んだ歌声が、映画の余韻をさわやかに彩る。
- 久保房子:松坂慶子
- 叔父さん:岸部一徳
- 久保行雄:森田直幸
- 久保政司:久野雅弘
- 久保宏基:大塚智哉
- 明石由加:加藤夏希
- ヤエ:白川和子
- 亜紀:本上まなみ
- 久保ヒサノリ:間寛平
- 監督:光石富士朗
- 原作:森田裕美「大阪ハムレット」(双葉社「漫画アクション」掲載作品)
- 脚本:伊藤秀裕/江良至
- 製作:松下順一
- エグゼクティブプロデューサー:堀田学/小田成輝/越智やすし/諸角裕
- プロデューサー:伊藤秀裕/旭正嗣
- アソシエイトプロデューサー:喜多隆/長谷川誠/嶋浦屋宏/中野正史
- 撮影:猪本雅三
- 照明:松隈信一
- 録音:福田伸
- 美術:大庭勇人
- VE:谷川克巳
- 編集:菊池純一
- 音響効果:渋谷圭介
- 助監督:水内宏征
- 音楽:遠藤浩二
- 主題歌:倉木麻衣「会いたくて...」(NORTHERN MUSIC)
- 制作協力:円谷エンターテイメント/エクセレントフィルム
- 製作:「大阪ハムレット」製作委員会(アートポート/関西テレビ放送/BLDオリエンタル/双葉社)
- 支援:文化庁
- 配給:アートポート
- 宣伝:グアパ・グアポ