鮨
さまざまな客で賑わう寿司店・福ずし。店を手伝う娘のともよ(橋本愛)は、店を訪れるさまざまな男たちの姿を眺めている。店をよく訪れる客のひとりに“先生”と呼ばれる和装の男(リリー・フランキー)がいた。先生と呼ばれてはいるが医者ではないという男に、ともよは淡い好意を抱いていた。ある日、買い物に出かけていたともよは、町中で偶然に先生と出会う。ともよのお気に入りの空き地でひとときを過ごす先生とともよ。そして先生は、ともよに鮨にまつわる自分の過去を話して聞かせる……。
握った手
大学生の松夫(山田孝之)は、心理学に傾倒している女子学生の由子(成海璃子)に声をかけた。数日前に由子にしたある行動を詫びようとする松夫は「どうして僕があんなことをしでかしたのか」と、そのわけを話しはじめる……。
松夫が映画を観にいった日の出来事。映画を見ている最中、松夫は勢いで隣に座っていた女性の手を握ってしまったのだが、その女性は松夫の手を握り返し、それがきっかけで松夫は彼女と付きあうことになった。だが、松夫の中にある疑問が芽生える。女性は誰でも手を握ったらその手を握り返すのではないか……。
幸福の彼方
昭和14年。信一(三浦貴大)と絹子(波瑠)は見合いの席で初めて顔をあわせる。ふたりきりになると、絹子は些細なことからおかしそうに笑い出す。後日、絹子は戦争で傷ついた信一の片目が治らないことを承知の上で縁談に応じ、ふたりは夫婦となった。穏やかな性格の信一と、慎ましい絹子。和やかな夫婦の暮らしが続いていたある日、信一は絹子に仲人が隠していたある事実を告げる。信一には子供がいるというのだ。生まれてすぐ母親がいなくなり、信一がひとりで育ててきた子供は、信一が出征する際に里子に出されていた。それを知った絹子は……。