
真夜中に偶然出会った男と制服の女子高生。男は衝動的に女子高生を車に乗せて拉致する。そして、男と女子高生の数日間にわたる旅が始まる――。
女子中学生の恋愛を瑞々しいタッチで描いた劇場デビュー作『はい!もしもし、こちら大塚薬局です』で注目を集めた監督・勝又悠が、女子高生の“制服”にフェティッシュとも思えるような視点を向けて描いた作品、それが『See You』だ。
男と女子高生が一緒に過ごす時間の中で、ふたりの間には不思議な関係が築かれていく。そんなふたりの関係を知る由もない周囲の人々は――。
女子高生を誘拐してしまう男・昌一を演じたのは、主演作『ロックアウト』が海外の映画祭で高い評価を得た園部貴一。本作では、屈折した感情を抱える昌一をステレオタイプな演技にはまることなく演じ、ひとりの人格として見事に成立させている。
誘拐される女子高生・愛には、インディーズ・メジャーを問わず映画に出演する清瀬やえこがオーディションにより起用された。その危うさを覚えるようなバランスが、この映画に流れる空気を決定づけている。
さらに、東京フィルメックス最優秀作品賞受賞作『ふゆの獣』の前川桃子や、桜井淳美、近藤圭子と、勝又作品出演経験のある俳優陣が、昌一と愛を取り巻く人々を演じる。
“旅”の中で、男は自らの欠落を埋めようとする。その旅が終わったとき、少女はなにを知ることになるのか? 『See You』の結末は、ティーンネイジャーに向けてまるで叫びのようなメッセージを放つ。

高速道路を走る1台の車。運転席には、ラフな服装の男。助手席には、制服姿の少女。「ほんと、ゴメンね」。制服の少女に向けて、男は何度も繰り返す――。
小塚愛(清瀬やえこ)は女子高校生。彼氏あり。母親(桜井淳美)と妹(近藤圭子)との3人暮らし。食事のとき、一家の食卓にはポツンと空いた席がある。
アパートでひとり暮らしの男・荒井昌一(園部貴一)。久しぶりの休みを前に、交際中の彼女(前川桃子)と旅行に行く計画を立てている。
ある真夜中、男と少女は偶然に出会った。
男は、衝動に駆られたように制服姿の少女を車に乗せると走り出す。
携帯で電話を掛けることも禁じながら、でも男は決して少女に乱暴しようとはしない。少女の行きたいところへ、男は車を走らせようとする。
「どうして優しくしてくれるんですか?」
「怒る理由がないからな」
少女の彼氏、少女の家族、男の彼女。ふたりの周囲の人々は、ふたりの失踪にそれぞれに想いを巡らす。
そして、男と少女は“旅”を続ける――。