神藤一郎、二郎、三郎。地方都市で生まれた彼ら3兄弟の父親は、地元の有力者だが父親としては横暴な人物。まだ幼いながらも父に反発する長男の一郎は、ある出来事をきっかけに二郎と三郎を残しひとり町を出て行った。
それから30年。次男の二郎(鈴木浩介)は市会議員となっていた。町では大型商業施設誘致計画が進んでおり、その予定地には3兄弟の父・神藤武雄(菅田俊)の所有する土地が含まれている。武雄は亡くなったばかりで、二郎がその土地を相続すれば二郎の議員としての将来は約束されたも同然となる。二郎は、相続の相談のため三男の三郎(桐谷健太)に連絡を取る。
デリバリーヘルス店の店長をしており父親の葬儀や納骨にも顔を出さなかった三郎は、土地の相続権を二郎に渡すことをあっさりと承諾。ことは順調に運ぶと思われたが、思わぬ人物が二郎と三郎の前に現れる。30年間行方知れずだった長男の一郎(大森南朋)が、サオリ(間宮夕貴)という若い女を連れて町に戻ってきたのだ。父親の名前の入った公正証書を持つ一郎は、土地や遺産は自分のものだと告げる。
二郎の妻・美希(篠田麻里子)は、突然現れた一郎が土地や遺産を相続することが納得できず苛立つが、弁護士は一郎の主張は法的に正当なものだという。一郎に土地の相続を放棄させなければ、議会内での二郎の立場も危うくなる。
一郎は、三郎の店のデリヘル嬢・亜矢(岡村いずみ)を呼びつけて暴行するなど、傍若無人な行動をとりはじめる。二郎や三郎が一郎の扱いに苦慮する一方で、土地の権利をめぐり大物議員と裏社会の人間も動き出していた。
やがて、町の自警団と中国人コミュニティの対立も絡み、町と3兄弟は混迷の中へと進んでいく――。
ビジランテ
監督:入江悠
出演:大森南朋 鈴木浩介 桐谷健太 ほか
2017年12月9日(土)より テアトル新宿ほか全国ロードショー
2017年/カラー/シネマスコープ/5.1ch/125分
幼いころに町を出た長男が、30年ぶりに戻ってきた。次男は市議会議員、三男は風俗店店長、それぞれの道を歩んでいた3兄弟の運命は、兄弟の父が遺した土地を巡る人々の思惑が交錯する中で、絡まり合い堕ちていく……。
『22年目の告白−私が殺人犯です−』などヒット作を手掛ける監督・入江悠が、大森南朋、鈴木浩介、桐谷健太の3人をトリプル主演に迎え、久々のオリジナル企画による作品を送り出す。そのタイトルは『ビジランテ』。
入江悠の名を広めた『SR サイタマノラッパー』と同様に埼玉県の架空の市を舞台とする『ビジランテ』は、大型商業施設建設に絡む市議会議員たちの動きや、外国人コミュニティと地元住民の対立など、地方都市の姿を『SR サイタマノラッパー』とは別の視点から描き、その陰の部分を浮き上がらせていく。
現在の日本映画界に欠かせない存在となった大森南朋はその佇まいで長男・一郎の背負う過去を感じさせ、テレビドラマを中心に幅広い役をこなす鈴木浩介は次男・二郎の家族や地位を持つゆえの苦悩を表現、映画出演が続く桐谷健太は三男・三郎の屈折しつつもまっすぐな感情を体現する。そして、二郎の妻・美希役に篠田麻里子、一郎の恋人・サオリ役に間宮夕貴と、兄弟を取り巻く女性を演じるのは注目の女優陣。さらに、吉村界人や岡村いずみらの若手から嶋田久作、菅田俊らベテランまで強力な俳優陣が脇を固めるのに加え、ヒップホップMCの般若も俳優として参加している。
映画のタイトルである「ビジランテ(vigilante)」とは、自警団=法に頼らず自分の大切なものを守る者たちのことである。一見平穏に見える地方都市に蠢く欲望と暴力の中で、人々はなにを守ろうとするのか?
- 大森南朋
- 鈴木浩介
- 桐谷健太
- 篠田麻里子
- 嶋田久作
- 間宮夕貴
- 吉村界人
- 般若
- 坂田聡
- 岡村いずみ
- 浅田結梨
- 八神さおり
- 宇田あんり
- 市山京香
- たかお鷹
- 日野陽仁
- 菅田俊
- 脚本・監督:入江悠
- 製作:間宮登良松/江守徹/太田和宏/平体雄二
- エグゼクティブプロデューサー:加藤和夫/江守徹
- プロデューサー:佐藤現/平体雄二
- 撮影:大塚亮
- 照明:新井和成
- 録音:田中博信
- 美術:松塚隆史
- 編集:佐藤崇
- スタイリスト:荒木里江
- 衣装:越智雅之
- ヘアメイク:金森恵
- 音響効果:松浦大樹
- 助監督:松本壇
- 製作担当:松村隆司
- キャスティングディレクター:杉野剛
- 企画協力:國實瑞恵
- 音楽:海田庄吾
- 音楽プロデューサー:津島玄一
- 製作プロダクション:スタジオブルー
- 配給:東京テアトル
- 製作:「ビジランテ」製作委員会(東映ビデオ/巖本金属/東京テアトル/スタジオブルー)