富士山麓に近い町。謹慎中の刑事・今村修平(生津徹)の元に、同じ捜査一課の刑事・田島勉(柳憂怜)が現れた。田島に連れていかれた場所で今村が見たのは、血液が溜まったビニール袋に入れられた全裸の男性の死体だった。
検死の結果、被害者は血液凝固を防ぐ薬品・ワーファリンを注射されており、刺された傷からの出血が止まらず失血死したことが判明する。今村は謹慎を解かれ捜査本部の一員としてこの猟奇殺人事件の捜査にあたることになったが、周囲とトラブルを起こしがちな言動のため捜査本部内で孤立していく。
今村は数少ない理解者である田島とともに被害者の自宅アパートへ向い、被害者男性が別の男性とともによく夜に外出していたという証言を得る。そして被害者の部屋を調べた今村は「谷療養所」と書かれた薬袋に入った睡眠導入剤を見つける。
精神科専門の病院である谷療養所では、精神科医の谷祐介(阿部翔平)が、安藤夕子(真崎かれん)たち6人の入院患者と一緒に生活しながら治療にあたっていた。被害者の男性は、不眠症のためこの病院に通院していたという。
自らも不眠症に悩まされている今村は、ひそかに谷療養所を調べはじめるうちに、入院している夕子と言葉を交わすようになっていく。夕子を通じて、今村は入院しているほかの患者たちについての情報を得ていく。
捜査が大きな進展を見せない中、まったく同じ手口で殺された第2の死体が発見される。そして捜査本部にかかってきた電話の声は「この病院に殺人鬼がいるんです……」と告げる……。
電話の声が意味するものはなんなのか? 療養所で今村が知る真実とは? そして夕子は?
心魔師
監督:今野恭成
出演:生津徹 真崎かれん 小橋めぐみ 柳憂怜 竹中直人 ほか
2018年10月27日(土)より 新宿シネマカリテほか全国順次公開
2018年/中国・日本合作/カラー/DCP/アメリカンヴィスタ/5.1ch/95分
血液凝固を防ぐ薬を用いた殺人事件が発生。事件の捜査線上に浮かび上がったのは、町外れにある精神科の療養所……。
いま、かつてのサイコサスペンス、サイコホラーの名作の遺伝子を受け継ぐ新たな作品が生まれた。不眠症の刑事と入院患者の少女を中心に、精神科医や患者たちが絡む迷宮のようなストーリーが展開される『心魔師』(しんまし)だ。
主人公の刑事・今村を演じるのは、ロンドンで演劇を学び、映画やドラマ、舞台で活躍する生津徹(きづ・とおる)。ヒロインの入院患者・夕子役には、CMなどで注目を集める新人の真崎かれん。ともに劇場長編映画は初主演となるふたりが、実感のある人物として今村と夕子をスクリーンの中に息づかせてみせた。
そして、北野武監督作品やホラーなどで印象を残す柳憂怜、ドラマ「天までとどけ」シリーズなどの小橋めぐみ、映画監督としても知られる竹中直人など、長いキャリアを持つ俳優陣が脇を固めている。
『心魔師』は、日本と中国の合作作品である。監督は、東京藝術大学大学院映像研究科で黒沢清や諏訪敦彦に師事しホラーやコメディなど幅広い作品を手掛ける1989年生まれの新鋭・今野恭成。その大学院時代の同期で在学中にもともに作品づくりに携わった中国の若きプロデューサー・張丹妮がラインプロデューサーと編集で参加。日中の若き映画人が、日本映画を愛する中国の新進プロデューサー・劉雨星の企画を実現させ、ふたつの文化が融合したエンターテイメントを完成させた。
猟奇殺人をめぐりいくつもの疑惑と謎が交錯していく物語。その衝撃の結末を知るとき、きっと観客はもう一度この物語を体験したくなるに違いない。さあ、迷い込め、この出口のない微睡みに。
- 今村修平:生津徹
- 安藤夕子:真崎かれん
- 谷祐介:阿部翔平
- 陳萱伊:陳懿冰(チェン・イビン)
- 金井美代:伊東由美子
- 七海:小橋めぐみ
- 重田:河屋秀俊
- 高川:今里真
- 鳥越:熊谷宜之
- 庄司:花井力
- 田島勉:柳憂怜
- 成島秀樹:竹中直人
- 監督:今野恭成
- 脚本:後閑広/今野恭成/牛牛
- 製作:劉雨星/何博/梁詩雨
- プロデューサー:土本貴生/堀川慎太郎
- ラインプロデューサー:張丹妮
- 撮影監督:小川真司
- 録音:鈴木昭彦
- 美術・装飾:侯捷
- 編集:張丹妮/今野恭成
- 整音:高島知哉
- 助監督:金田健
- 製作担当:吉野圭一
- 音楽:沈佳女
- 製作:索斯光影(北京)影視文化伝媒有限会社/北京隆騰九天文化発展有限会社/ホルゴス索斯斑馬影視文化伝媒有限会社/索斯桜花(北京)影視文化有限会社
- 製作協力・配給:アルタミラピクチャーズ
- 配給協力:トラヴィス