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『Life on the Longboard』
大多月乃さん、麻宮美果さんインタビュー

 種子島を舞台に、サーフィンに挑戦する中年男の姿を描き、主演の大杉漣さんが実際にサーフィンに挑戦していることでも話題となっている映画『Life on the Longboard』。
 この映画で、大杉さん演じる主人公・米倉一雄の娘・優を演じた大多月乃さんと、島で一雄が出会う地元のサーファー・愛子を演じた麻宮美果さん。瑞々しい魅力で映画に華を添えたおふたりにお話をうかがいました。



―― 大多さんと麻宮さんは喜多一郎監督の前作『星砂の島、私の島 〜アイランド・ドリーミン〜』(2003年)に続いてのご出演ですね。今回の『Life on the Longboard』のお話を聞いたときはどんな印象を持たれましたか。

大多:『星砂の島、私の島』は体操がメインになっている映画だったんです。「今回はサーフィンだよ」と言われまして、私はスポーツ全般が好きなので、今度はサーフィンができるのかってすごく楽しみにしていたんです。だけど、実際に台本を読んでみたら、私はサーフィンをやるシーンはなかったので「ええっ!」と思いましたね(笑)。だから残念ではあったんですけど、大杉漣さんの娘役という重要なポジションだったので、米倉優という役柄の心境になったつもりで、自分自身が表現できる範囲で優の気持ちをストレートに演じたいなと思っていました。

麻宮:喜多監督の作品は南の島がテーマで、私自身も南の島が大好きなので、前回に続いて島の地元の役ができることがすごく嬉しかったです。監督は私を南の島の人間だと思っているんですよね(笑)。だから、今回の役も台本は南の島の言葉で書いてありましたし、南の島の作品に出られるのはすごく嬉しかったですね。

麻宮さんはご出身は横浜なんですよね。喜多監督はなんでいつも地元の役にキャスティングするんだと思います?(笑)

大多:見るからのこの雰囲気でしょうね(笑)。

麻宮:みたいですね(笑)。前回は沖縄が舞台で、今回は鹿児島が舞台なんですけど、いつも地元の方に「ほんとに地元の子だと思ってた」って言われるんです。横浜出身だとわかるとビックリするらしくて、南の島の顔立ちに生まれたことと、そのおかげで南の島の女の子を演じられるというのはすごく嬉しいですね。

―― 映画の題材になっているサーフィンにはどんなイメージを持っていましたか。

大多;私は「海! 波!」って感じでしたね(笑)。ボディボードをやったことはあったので、楽しそうだなっていう印象はすごく感じたんです。もちろん、危険もあるスポーツだと思うんですけど、撮影が終わったら絶対にやりたいって思っていて、実際に撮影のあとでやらせてもらいました。実は嬉しいことに、1回でボードに立てたんです。

麻宮:さすがに体操をやっていただけあって(笑)。

―― じゃあ、もし大多さんが主演だったらすごく短い映画になってましたね(笑)。

大多:(笑)。でも、それは私が素質があるとかではなくて、島の人たちがとても優しく指導してくださったのと、撮影でみんながやるのをずっと間近で見ていたのが体に染み付いていて1回で乗れたんだと思います。島の人たちや映画のおかげだったと思います。

―― 麻宮さんはサーフィンの練習は?

麻宮:私は映画の中でも乗るシーンがあったので、撮影前に何回か千葉の海で練習したのと、種子島で撮影の合間に練習したんです。千葉ではコーチの方にマンツーマンで教えていただいて、安心感もあったので、1回では無理でしたけど1日でボードの上に立てました。正直、映画をやるまではサーフィンは一切興味はなかったんです。足が付かない深さの海は大っ嫌いなんですよ(笑)。でも、チャレンジしたらすごく楽しくて、「キャプテン翼」の翼くんの「ボールは友達」みたいに「波は友達」状態ですね(笑)。こんなに楽しいからみんなハマるんだなって思いました。

―― 実際にやる前とやったあとでサーフィンのイメージは変わりましたか。

大多:変わりましたね。見ていると意外と簡単そうかなあって思っていたんですけど、波って1回1回違うので、その違う波には違う形で乗らなきゃならないんです。だからほんとに1回1回が勝負なので、実はすごく難しいんだなと感じましたし、やっぱり波、海っていうのはすごく危険なものなので、そういう面でも大変なスポーツなんだなって感じました。

麻宮:波と友達となれるんだなっていうのは実際にやってみて気付きましたね。波と友達にならないとできないってことは、やってみないとわからないことですね。

―― 映画のあともサーフィンは続けられているんですか。

大多:はい、もうふたりともサーファーガールになろうという準備はあるんです(笑)。毎回毎回乗れるわけではないので、ほんとに難しいけど面白いという、不思議なスポーツですよね。


大杉さんはほんとに素敵な方

―― おふたりとも主演の大杉漣さんとは初共演ですが、共演してみていかがでしたか。

大多:大杉さんはベテランの方ですから、最初は緊張感を感じていた部分もあったんです。でも、初めてお会いしたときに「両手を出して」って言われて、手を出したら、ガッチリ握手をしてくださって「親子ね」って言ってくださったんです。それは全然想像もつかなかったことだったので、素晴しい人だなあって思いました。とっても優しい方で、私にもすごく良く気を遣ってくださったし、米倉一雄役が大杉さんじゃなかったらこの映画は全然違ったんじゃないかなと思いましたね。

麻宮:映画の中では私が一雄さんを助ける役なんですけど、実際はほんとに大杉さんに助けていただいたんです。撮影したときは、私は映画はまだ2作目だったので、緊張でガチガチだったんです。だけど、待ち時間とかに大杉さんが子供をあやすようにジョークを言ったり、歌を歌ってくれて、それで緊張が取れて撮影に臨めたので、ほんとに感謝しています。それから大杉さんはサーフィンも自分で挑戦されていて、その「役者魂」って言ったらいいのかな、私も演じる身として、男女の違いはありますけど、これから大杉さんをお手本として頑張りたいなと思いました。

―― おふたりから見ると大杉さんはかなり年上ですけど、50代の男性として大杉さんを見るとどんな印象ですか(笑)。

大多:大杉さんは気持ちも外見もとても若いなあって思いました。私は年の割に老けているよねって言われることがあるんですよ(笑)。なので、気持ちの上で若いところはほんとに見習いたいなと感じました。

麻宮:ダンディだし、ほんとに素敵な方ですよね。この映画で大杉さんとご一緒してから、普段、50代の方を見ると気になるんですよね。なんか元気がなくて寂しそうだなあって感じることが多いんです(笑)。だから、世間の方がみなさん大杉さんみたいだったら世の中もっと素敵なんだろうなって(笑)。それくらい大杉さんは素敵ですね。

―― 大多さんは、優という役をどう演じようと考えていましたか。

大多:優は就職の問題で悩んでいるんですけども、すごく真っ直ぐな生き方を持っている女の子なんだなって感じたんです。それが父親だったり自分自身に対してうまく表現ができなくて、それでつまずいているんじゃないかって思ったんです。たぶんそういう気持ちは男女問わず、これくらいの年代だとあると思うんです。私も同じ年代だし、もし自分自身が同じ状況だったらと考えて演じました。

―― 舞台あいさつでは「父親との距離感」を大事に演じたとお話になっていましたが。

大多:私自身も20歳くらいのときは父親とあまり話す機会もなかったり、自分からも父親と距離を置いていた部分ってあったんですね。やっぱり父親と娘ってなんとなくわだかまりがあるというか、思春期の頃くらいから、あんまり父親には知られたくない部分があったり、逆に父親の知りたくない部分があったりして、一歩距離を置いているところってあると思うんです。そういう距離感はすごく大事だと思っていました。そして、島に行って、島の人たちと触れ合うことや、父親が第二の人生としてサーフィンに頑張っている姿を見て、そのわだかまりの気持ちが変わっていったり、父親の新たな一面が見えたことで自分自身も変わらなくちゃいけないって思うという部分を大事に演じたいなと思って臨みました。

―― 優と一雄は親子という役柄で割とわかりやすいと思うんですけど、愛子と一雄の関係は、麻宮さんはどういう風に考えていましたか。

麻宮:たぶん、監督が考えていたのは、一雄さんが一番大切なのはもちろん奥さんなんだけど、ちょっと若い女の子にほんのり恋心を思い出すみたいな感じなんですよね。自分で言うのもなんですけど、まさにマドンナ的な役柄なんです(笑)。だから、あんまり一雄さんとの距離感っていうのは考えなかったですね。島の娘として、来た人を迎え入れたという感じですね。愛子は単純に人を受け入れて助けたいっていう気持ちなんですね。それは愛子だけじゃなくて、小栗旬さんが演じた憲太もそうだし、勝野洋さんの銀二も、小倉久寛さんが演じた愛子のお父さんも、島の人たちは全員そうなんです。


島は第二のふるさと

―― 島での撮影は3週間、合宿のような形でおこなわれたそうですが、どういう雰囲気でしたか。

大多:カメラが回っていないところでも、すごくみんな和気藹々としていて楽しかったです。「いい作品を作ろうね」っていう情熱がいっぱいある中でのチームワークがありましたね。

麻宮:なんか、撮影以外でも役の延長みたいな感じでした。大杉さんとツッキー(大多さん)はほんとの親子みたいにしているし(笑)。

大多:私から見ても美果ちゃんは島の子みたいだったし(笑)。

麻宮:もう、そのまんまですね。カメラが回ってなくてもそのまんまで、全部がドキュメンタリーみたいな感じでしたね。普通だったらキャストの方はみなさん忙しいので入れ替わっていくんですよね。みんながずっと島にいるのはなかなかできないことだし、だからいい映画になったんだと思います。

―― 種子島の印象はいかがでしたか。

大多:種子島には行ったことはなかったんですけど、鹿児島県ですから暖かい島なんだろうなとは思っていたんです。実際に足を踏み入れたら、ほんとに空気がすべて暖かいんですね。こんな風に落ち着くところがあったんだというのは自分の中での新しい発見でした。それから島のみなさんが私たちを温かく迎え入れてくれて、触れ合う機会が多かったんですね。島の人たちの温かさとか気遣いとか、すべてが自分の中で感じたことのないところにポッと来たので、そういうところがすごく印象的でしたね。

麻宮:種子島は気持ち良かったですね。それは自然も人も含め全部なんですけど、やはりサーフィンのメッカの島なので、海から入ってくる風がすごい気持ちいいんです。あと、島の方がほんとに温かいんです。ただ優しいだけじゃなくて、間違っていることははっきり言ってくれるんですよ。「それは良くないよ美果ちゃん」とかはっきり言ってくれるので、優しさの中に厳しさもあって、ほんとに気持ち良かったですね。

―― 『星砂の島、私の島』の舞台だった竹富島と今回の種子島と、それぞれの違いは感じられましたか。

大多:竹富島はちょっと幻想的な島だと思うんですよね。沖縄の独特の雰囲気を大事にしていますし、ちょっと異空間というか、幻想的な感じを覚えるんです。種子島は、やっぱり少し東京寄りなイメージが強いんですね。なので、自分に近い島かなって思いました。さっき美果ちゃんも言ってましたけど、島の人がいろんなことをストレートに言ってくれるんですよ。ふるさとって結構そういうところってあるじゃないですか。だから、私にとって第二のふるさとみたいなところだと思います。もちろん竹富島と種子島、どっちもなんですけど、また行きたいと思います。

麻宮:違いは言えないですね。ほんとに私たちにとっては、竹富も種子島も、両方とも第二のふるさとみたいな感じなんですね。ほんとに大切な島なんで、違いと言ったら「沖縄と鹿児島」って違いくらいしか思い浮かばないです(笑)。

―― 優も愛子も、その後どうなったのか映画でははっきりとは描かれていませんが、おふたりはどう考えていますか。

大多:優の場合は、東京で就職に悩んでいたのが、島に行って、自分自身や父親が考えていることがなんとなくわかり始めてきたんだと思います。だからこそ、また東京に戻ってもう一度頑張ってみようというふうに終わっているんで、今までのようにモヤモヤと悩むこともなしに、とりあえず一歩前に進んでみれば、自分が想像もしなかったような明るい未来だったり、素晴しいことが待ち受けているんじゃないかというポジティブ精神で自分の人生を楽しんでいくんじゃないかなって思いました。

麻宮:愛子の場合は、これからもきっと何も変わらないんですよ。セリフにもあるんですけど、種子島は受け入れる島なんです。島の人間はいつでもそういう姿勢なので、愛子も、ほかの人たちも、変わらないでいると思います。

―― 最後に、映画をご覧になる方へのメッセージをお願いします。

大多:大杉漣さんが主演で、大杉さんくらいの年代の方が主な対象になってはいますけど、私自身、優という役を演じることでいろんなことを学びましたし、いろんなことを感じました。だから、私くらいの年代の人にもぜひこの映画を観ていただきたいですし、観ていただいたみなさんの人生において、この映画がなにかのきっかけになったらいいなと思います。

麻宮:愛子という役を通して私自身が感じたことなんですけど、人を受け入れることの大切をこの映画から少しでも感じていただけたら嬉しいです。そうしたら世の中いろいろ変わっていくんじゃないかという期待を込めて、ぜひみなさんに観ていただきたいと思います。

(2005年9月10日収録)



大多月乃さんプロフィール
1981年生まれ。音楽番組「Mの黙示録」(2001年〜2004年)に女神役でレギュラー出演して注目を集める。『Life on the Longboard』を含む“南の島三部作”第1作にあたる『星砂の島、私の島 〜アイランド・ドリーミン〜』(2003年/喜多一郎監督)の主演で映画デビュー。出演作に映画『恋愛白書』(主演:2004年/山本和夫・白川士監督)など。
公式サイト:http://www.tsukino-o.com/

麻宮美果さんプロフィール
1979年生まれ。“南の島三部作”第1作『星砂の島、私の島 〜アイランド・ドリーミン〜』(2003年/喜多一郎監督)でデビュー。2005年公開の映画『誰が心にも龍は眠る』(堀江慶監督)では主演をつとめた。初の写真集「MIKA ASAMIYA in ISLAND 〜inside&outside〜」が8月に発売(お問い合わせ:オフィスキタ 03-3407-8677)。
公式サイト:http://www.asamiyamika.com/


Life on the Longboard
9月10日より渋谷・シアターイメージフォーラムほかで全国順次ロードショー
原作・監督:喜多一郎 音楽:佐橋佳幸
出演:大杉漣、大多月乃、小栗旬、麻宮美果、小倉久寛 ほか


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