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ロカルノ国際映画祭4冠『愛の予感』凱旋試写会&ティーチイン

 スイスで開催された第60回ロカルノ国際映画祭において、小林政広監督『愛の予感』がグランプリにあたる金豹賞ほかよっつの賞を受賞したことを受け、同作の凱旋試写会が急遽8月15日に映画美学校で開催されました。
 上映終了後には、帰国したばかりの小林監督と主演の渡辺真起子さんがあいさつとティーチインをおこないました。

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小林政広監督のあいさつ

ロカルノ映画祭にかかる(出品する)のが決まったあと、ほかの映画祭の人にも観てもらったりしたんですけど「テンポがのろい」とかいろいろ言われて、断られたりしたんです。ロカルノはダニエル・シュミット(※)の国ですから、こういうのは見慣れているんですけど、アメリカなんかはこういう作品は映画祭であっても難しいんだろうなと思って、「もうちょっと短くしよう」と編集の人に言って、78分くらいに短くしたものも作ったりなんかしていたんです。だから今回の映画はまったく自信がなくて、向こうに行っても、発表までは、もうほとんど死んだような感じでいました(笑)。そんなようなことだったので、まだ喜びというか、驚いているという状態が続いています。そんなような感想です。
 (受賞が決まったあとに)審査員との食事会があって、そのときに審査員長のイレーヌ・ジャコブさんが「フィルム(映画)はたくさんあるけれどフィルムじゃないんだ。久しぶりにフィルムを観た」というようなことを言っていて、すごく嬉しかったです。
(※:スイスの映画監督。『愛の予感』は昨年逝去した同氏を記念した“ダニエル・シュミット賞”も受賞している)

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主演:渡辺真起子さんのあいさつ

映画祭に行ってもあまり長くいることはなくて、映画を観ることもないのですが、今回は滞在期間がわりと長かったので楽しいのかなと思っていたら、長い分だけ神経がずっと張り詰めていまして、楽しいふうにいましたが、受賞の日まで身が細るような思いでいましたね(笑)。ホッとしたというのが一番大きかったです。
 (現地に)着いた時間が遅かったので、映画の評判も聞かずにバタバタと(一般向けの)公式上映になってしまったのですが、上映中に人が立って出ていくという光景をほかの映画祭で何度か見たこともあったので、やっぱり怖かったですね。それで司会をしてくれた青年が、上映が終わったあとに「一般のお客さんたちがとても集中して観ていた。これは面白い」と黙りこくっていたんですね。それはどういうことなんだろうって悩まされましたね(笑)。

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グランプリの賞状を持った小林政広監督(右)と渡辺真起子さん(左)

 『愛の予感』は、中学生の娘を同級生に殺された父親と、加害者の母親のふたりを主人公にした物語。冒頭のシーンを除きほぼ全編セリフがないという手法で作られており、小林監督は俳優として主演もつとめています。小林監督は「役者って良く映りたいんだなとか、いろいろな気持ちは良くわかりました」と俳優初挑戦の感想を話し、渡辺さんは「“撮らなければならない”という監督の言葉で一緒にやらせてもらいたいと思いました。“撮らねばならない”という人と一緒に作品を作るのは楽しいんですよ」と共演の印象を語りました。

 ティーチイン終了後にはフォトセッションがおこなわれましたが、グランプリの記念品として贈られる豹の像は「すごく重い」ため、別に荷物で日本に送られたために残念ながらこの場には間に合わず。その代わりに賞状を持ってのフォトセッションとなりました。

 日本映画では37年ぶりのグランプリ受賞作となった『愛の予感』は、11月下旬より、ポレポレ東中野ほかにて全国順次公開されます。

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