劇場支配人、番組編成、プロデューサー、脚本家と映画界でキャリアを重ねてきた榎本憲男監督が初めてメガホンをとった『見えないほどの遠くの空を』が6月11日にヒューマントラストシネマ渋谷で初日を迎え、主演の森岡龍さん、ヒロインを演じた岡本奈月さん、榎本監督らが舞台あいさつをおこないました。
『見えないほどの遠くの空を』は、大学の映画研究会を舞台に、主演女優の突然の死によって未完成に終わった映画を完成させようとする青年を主人公にした物語。
主人公の青年・賢を演じた森岡さんは「ほんとにセリフが多い映画なんですよ。それで“一字一句間違えるな”と(監督から)言われて、ものすごく“仕事をしたな”って(笑)」。ヒロイン・莉沙を演じた岡本さんも「動きもセリフと一緒で間違えちゃいけないみたいな。動きも決まっていたので」と、撮影には苦心もあった様子。
榎本監督は「(自分は)セリフをきちんと発語することを役者に求めるタイプなので、役者なりにこなすよりは、ぼくのイメージどおりに体と声を持っていってほしいと要求したので、大変だったと思います。どうもありがとうございます」と森岡さん、岡本さんの労をねぎらい、共演の中村無何有(なかむら・むかう)さんも「森岡くんと岡本さんが、現場で見ていて泣きそうになるくらいのいい演技をしているので、それはぜひ観ていただきたいと思います」とコメントしました。
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「ものすごく“仕事をした”」映画:『見えないほどの遠くの空を』初日舞台あいさつ
劇場ロビーにて。後列左より、榎本憲男監督、岡本奈月さん、森岡龍さん。前列左から中村無何有さん、前野朋哉さん
学生映画の監督をつとめる主人公・高橋賢役の森岡龍さん
ヒロイン・杉崎莉沙と洋子の二役を演じた岡本奈月さん
ポスターをはさんで並ぶ森岡さんと岡本さん
この作品が監督デビュー作となる榎本憲男監督
賢と莉沙の映研の後輩・森本役の前野朋哉さん
同じく映研の後輩・山下役の中村無何有さん
榎本監督は「今日が初日の映画はみんな“震災から3ヶ月”というあいさつが飛んでると思うんですけど、当然、映画ができる前には震災のことはまったく想像しないで作っていました。その後、日本がいろいろなかたちで揺れている中で、今後出てくる映画というのは、その映画の強度が試されることになる思うので、そういったことに耐えられるかどうか、みなさんが観ての感想を知りたいです」と語り「公開を迎えたら映画は観客のみなさんと作っていくものだと思うので、映画を観て感じることがあったら、ぼくに教えていただきたいし周りの人たちにぜひ伝えてください」と舞台あいさつを締めくくりました。
『見えないほどの遠くの空を』は6月11日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー。ヒューマントラストシネマ渋谷では6月13日(月)から17日(金)まで、榎本監督とゲストによるトークショーが連日開催されます。