難病治療のためにおこなわれる「骨髄移植」を題材にしたヒューマンドラマ『迷宮カフェ』が3月7日に初日を迎え、角川シネマ新宿で主演の関めぐみさんらキャストと帆根川廣監督が舞台あいさつをおこないました。
山中の小さなカフェを舞台にした『迷宮カフェ』は、カフェにまつわる噂を調べにやって来た雑誌記者が、自殺志願者を救おうとするカフェオーナーの行動を知っていくという物語。ミステリータッチのストーリーの中に骨髄移植に関する知識が盛り込まれた異色のエンターテイメント作品となっています。
主人公のカフェのオーナー・マリコを演じた関さんは、自身が演じたマリコについて「女性としての強さと、柔らかさも持ち合わせている人」とイメージを語り「終わって初めて客観的に(役を)見ることができたので、女性として憧れるとところがあります」と振り返りました。
『迷宮カフェ』では登場人物がいずれも個性豊かなキャタクターとなっており、脚本も担当した帆根川監督は「“命の尊さ”という作品のテーマとか“骨髄移植”という題材としても重い感じのものだったので、リアルなキャラクターで描いていくと観るのがキツい作品になってしまうと思って、まず“極端”というキーワードで行ってみようと」と説明し「極端なキャラクターなので“こういう人いるなあ”という共感ではないんですけど、ご覧になる方の心のなかに少しずつ“こういうところはある”と引っかかってもらえる要素はあるので、それを手がかりに共感してくれたら」と、狙いを明かしました。
関めぐみさん「“誰かを想う”ことを考えるきっかけに」 『迷宮カフェ』初日舞台あいさつ
舞台あいさつをおこなった、帆根川廣監督、角田信朗さん、藤原薫さん、関めぐみさん、市川由衣さん、荒川ちかさん、大迫一平さん(左より)
主人公のカフェオーナー・マリコを演じた関めぐみさんは「これから沢山の人に観ていただけると嬉しいなと思っているので、今日ご覧になった作品のことを、ご家族や友人にお話していただければ嬉しいです」とあいさつ
カフェの常連客・アスカを演じ「ズバズバものを言う子なんですけど演じていてとても繊細な子だとも思って、登場人物みんなの中で作り上げていったものが大きくて、ほんとにみなさんに助けられました」と市川由衣さん
「どの作品でも、その役がどういう感情を持っているかや、ほかの役との関係性を意識しながら役作りしているんですけど、そこを考えるのが難しかったなと思います」とカフェに現れる青年・スグルを演じた藤原薫さん
カフェの常連客のひとり・松浦を演じた角田信朗さんは“骨髄移植”と“自殺志願“というこの映画のふたつのテーマに触れ「ぼくがK−1という格闘技のリングで一緒に闘ってきたアンディ・フグとマイク・ベルナルドというふたりの偉大なファイターが、アンディは白血病(※)で亡くなりました。そしてマイク・ベルナルドは自ら命を断ってしまったという。だからぼくは、このふたりの戦友に導かれるようにしてこの映画に辿り着いたような気がしています」と話し、映画のテーマを示すあるシーンについて「彼らにこの映画を捧げたいなという想いであのシーンは臨みました」と、想いを語りました。(※骨髄移植は白血病の治療法のひとつ)
常連客で特異なキャラクターの松浦を演じ「今回の松浦というキャラクターは、ぼくの中に潜んでいて表に出てこない、そういう自分自身をいかに引っ張りだすかという作業という意味での役作りに励みました」と角田信朗さん
カフェの秘密に迫る記者・榎木田を演じ「ハードボイルドにカッコよくやりたいなと思ったんですが、監督とお話をさせていただいたら“コミカルに”ということで、楽しく演じさせていただきました」という大迫一平さん
少女・ソラとトワを一人二役で演じ「役が混ざらないようにするのが大変で、観てくださる方にちゃんと区別がわかるようにやっていきたいと思ったので大変だったんですけど、楽しくて勉強になりました」と荒川ちかさん
「人生の迷宮をさまよっている愛すべきキャラクターを人生の迷宮をさまよっている監督が撮るという変な作品かなと自分では思っていたのですが、受け入れていただいているようでホッとしています(笑)」と帆根川廣監督
フォトセッションで笑顔を見せる女性キャスト3人。左より、主演の関めぐみさん、市川由衣さん、荒川ちかさん
舞台あいさつの最後には、関さんは「人と人がつながるということは、自分も変わっていき相手も変わっていくことだとこの作品を通じて思いました。この作品をきっかけに骨髄移植というものを知ってもらえたら嬉しいですし、この作品を通して“誰かを想う”ということを考えるきっかけになればいいなと思っています」とメッセージを。
そして帆根川監督は、タイトルの「迷宮」にかけて「“迷う”ということの中で見つけることとか気づいたことというのは、自分の中で残るし、大事にしていくべきことなのかなと思っています。周りに“迷宮に入っちゃってるなあ”と思うような人がいらっしゃると思うので、こういう映画があると教えていただいて、広めていただければと思います」と話して舞台あいさつを締めくくりました。
舞台あいさつ登壇者のほか、名バイプレイヤーの螢雪次朗さん、注目の若手女優・柴田杏花さん、ベテランの津川雅彦さんらが出演し、魅力的なキャラクターと謎が散りばめられたストーリーで観客を引き込んでいく『迷宮カフェ』は、3月7日(土)より角川シネマ新宿にて好評上映中、ほか全国順次公開されます。