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春本雄二郎監督『由宇子の天秤』ベルリン国際映画祭パノラマ部門に選出・9月日本公開も決定

 瀧内公美さんを主演に迎えた春本雄二郎監督の最新作『由宇子の天秤』が第71回ベルリン国際映画祭のパノラマ部⾨に選出。9月にユーロスペースで公開されることも決定しました。

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『由宇子の天秤』より。瀧内公美さんが演じる主人公・由宇子

 『由宇子の天秤』は、2018年に公開され初長編作『かぞくへ』が国内外で高く評価された春本雄二郎監督の長編第2作。女子高生の自殺事件を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子が、自らの父親の行動により価値観を揺さぶられる事態に直面するというストーリーで、春本監督が実際の出来事に着想を得て脚本を執筆した作品となっています。

 主人公の由宇子を演じるのは、ダブル主演をつとめた『火口のふたり』(2019年/荒井晴彦監督)で第93回キネマ旬報ベストテン主演女優賞を受賞するなど話題を集め4月に主演作『裏アカ』(加藤卓哉監督)の公開も控える瀧内公美さん。
 また、由宇子の父親・政志を日本映画界に欠かせないバイプレイヤーの光石研さんが演じるほか、CMなどで活躍し『佐々木、イン、マイマイン』(2020年/内山拓也監督)に出演の河合優実さん、春本監督の前作『かぞくへ』でも重要な役を演じた梅田誠弘さん、近年のインディペンデント系日本映画で強い存在感を放つ松浦祐也さん、和田光沙さん、池田良さん、川瀬陽太さん、木村知貴さん、根矢涼香さん、長いキャリアを持つ丘みつ子さんと、多彩な実力派キャストが揃っています。

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『由宇子の天秤』より

 これまでに釜⼭国際映画祭ニューカレンツ部⾨ニューカレンツアワード(同部門の最高賞)や、東京フィルメックス学⽣審査員賞、平遥国際映画祭審査員賞・観客賞の2冠と、映画祭での受賞が続く2021年の注目作が、カンヌ、ヴェネチアと並ぶ世界三大国際映画祭のひとつ・ベルリン国際映画祭へと至ります。
 今回『由宇子の天秤』が選出されたパノラマ部門は、現代社会に独自の視点を向けた世界各国の優れた作品が上映される部門で、近年の日本映画では『予兆 散歩する侵略者 劇場版』(2017年/黒沢清監督)『リバーズ・エッジ』(2018年/行定勲監督)『37seconds』(2020年/HIKARI監督)などが選出されています。

 そして、待望の日本での劇場公開も、9月に渋谷のユーロスペースほか全国順次ロードショーと決定しました。

 第71回ベルリン国際映画祭選出と9月公開決定にあたり、春本監督は次のようにコメントを発表しています。

春本雄二郎監督コメント

記事写真 『由宇子の天秤』が世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭に選ばれたことに、深い喜びと、それ以上に「大きな意味」を感じています。
本作は「報道」と「教育」をモチーフに「正しさとは何なのか?」について問うています。
生まれた時からそれらを「正しい」ものとして享受し、無関心になりつつある私たち。
自分に最適化された世界で生き、外の世界があることを想像するのを忘れつつある私たち。
今まさに社会を生きる人々に、誰かの「正しさ」「世界」に手を伸ばしてもらいたいと創った映画です。
このメッセージに、ベルリンが光を当ててくれました。
日本でも『由宇子の天秤』は今年9月に公開がスタートします。
本作を世界の、そして日本の、一人でも多くの人々に届けて行きたいと思います。この映画を観た方が隣人の世界に思い馳せることを願って。

 第71回ベルリン国際映画祭は世界的な新型コロナウイルス感染症流行を踏まえ、現地時間の3月1日より5日まで映画関係者を対象にオンライン開催、同6月9日より20日まで一般観客を対象に開催という分散開催となっており、パノラマ部門も含め各賞は3月の開催時に発表されることになっています。

 カメラを構えた由宇子の姿をメインにした海外版ポスターも印象的な『由宇子の天秤』。9月の日本公開に向け、情報化の進んだ社会で人間が抱えることになったものに目を向けた同作が、歴史と伝統ある映画祭でどのように評価されるか期待が持たれます。

『由宇子の天秤』ストーリー

三年前に起きた女子高生いじめ自殺事件の真相を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子は、いま世に問うべき問題に光を当てることに信念を持ち、保守的な製作サイドと衝突することも厭わない。一方で、父の政志が経営する学習塾を手伝い、慎ましくも幸せに二人三脚で生きてきた。ところが、ある日、思いもかけない政志の行動によって、由宇子は信念を揺るがす究極の選択を迫られる...。
『由宇子の天秤』海外版ポスター

由宇子の天秤(英語題「A BLANCE」)

  • 瀧内公美 河合優実 梅田誠弘
    松浦祐也 和田光沙 池田良 木村知貴
    前原滉 永瀬未留 河野宏紀 根矢涼香
    川瀬陽太 丘みつ子 光石研 ほか

  • 脚本・監督・編集:春本雄二郎
  • プロデューサー:春本雄二郎/松島哲也/片渕須直
  • ラインプロデューサー:深澤知
  • キャスティング:藤村駿
  • 撮影:野口健司
  • 照明:根本伸一
  • 録音・整音:小黒健太郎
  • 音響効果:松浦大樹
  • 美術:相馬直樹
  • 装飾:中島明日香
  • 小道具:福田弥生
  • 衣裳:星野和美
  • ヘアメイク:原田ゆかり
  • 医療監修:林恭弘
  • ドキュメンタリー監修:鎌田恭彦/清水哲也
  • メイキング:荒谷穂波
  • 英語字幕:ドン・ブラウン/櫻井智子

  • 製作:映画「由宇子の天秤」製作委員会
  • 製作協力:高崎フィルム・コミッション
  • 特別協力:株式会社 鈍牛倶楽部/日本大学芸術学部 映画学科 放送学科
  • 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
  • 配給:ビターズ・エンド

  • 2020年/カラー/1:2.35/5.1ch/DCP/152分)

2021年9月ユーロスペースほか全国順次ロードショー

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