恐怖漫画の大家・つのだじろうさんの代表作のひとつを鶴田法男監督が実写映像化し、永く「幻の作品」となっていた1996年のオリジナルビデオ作品『亡霊学級』が、デジタルリマスターされ11月15日より動画配信サービス・U-NEXTでの独占配信がスタートしました。
まだ「Jホラー」という言葉もなかった1996年に、主にレンタル向けのオリジナルビデオとしてリリースされた『亡霊学級』は、原作漫画のエピソードを活かしつつオリジナル要素を加え、劇中に漫画「亡霊学級」が登場し、原作者のつのだじろうさんが「漫画家・つのだじろう」役で出演するという、メタフィクショナルな要素を持つ学園ホラーとして映像化。
のちに「星獣戦隊ギンガマン」(1998年)に出演する宮澤寿梨(みやざわ・じゅり)さんが怪異に遭遇する主人公の高校生・目黒ゆりを演じ、『女優霊』(1996年/中田秀夫監督)などの石橋けいさん、『SCORE』(1995年/室賀厚監督)などの水上竜士さんらが出演しています。
『亡霊学級』デジタルリマスター版場面写真。宮澤寿梨さん演じる主人公・目黒ゆりは、夏休みの学校で漫画「亡霊学級」を見つける……
それまでオリジナルビデオ版『ほんとにあった怖い話』シリーズなどオムニバス形式のホラー作品を送り出してきた鶴田法男監督初の長編ホラーであり、国産ホラーの歴史の上で重要な作品でありながら、VHSでリリースされたのみでその後DVD化や配信の機会もなく、永く鑑賞が難しい幻の作品となっていた『亡霊学級』ですが、作品を観たいというファンの熱い声に応えたいという鶴田監督自身の尽力もあり、制作から28年を経てデジタルリマスターが実現。8月に東京の新文芸坐でおこなわれた一夜限りの劇場上映はチケット完売の盛況となり、その熱狂が今回の配信開始へとつながりました。
U-NEXTでの配信は、11月15日金曜日12時よりスタートしています。
そして、配信開始に合わせて、原作漫画のLINEスタンプが発売され、8月の劇場上映で先行販売され好評だったオリジナルグッズの一般販売もスタートしました。
LINEスタンプは、つのだじろうさんの原作「亡霊学級」からさまざまな場面の絵を使用して、日常の多彩なシチュエーションで使えそうなスタンプ。
オリジナルグッズは、原作「亡霊学級」の一編「ともだち」の扉絵と最終ページを表裏にあしらったA5サイズのクリアファイルと、「亡霊学級」タイトルロゴのキーホルダーで、どちらも「亡霊学級」ファンのみならず漫画ファン・ホラーファンには見逃せないアイテムとなっています。
A5クリアファイルとロゴキーホルダーは、つのだじろうさんが所属するコミックス・ウェーブ・フィルムの公式ストア・コミックス・ウェーブ・フィルム ストア(https://cwf-store.com/)にて販売されます。
また「オカルトを楽しく学ぶ」をコンセプトに運営されているYouTubeチャンネル「オカルトエンタメ大学」では、鶴田法男監督と、『亡霊学級』に特別出演もしている黒沢清監督の対談動画が2回にわけて配信されています。
ともに「Jホラー」ブーム以前から国産ホラー作品を牽引してきたふたりであり、鶴田監督がオリジナルビデオ版「ほんとにあった怖い話 第二夜」(1991年)の一編「夏の体育館」で登場させた「赤い服の女」を黒沢監督が『回路』(1999年)などで用いるなど、互いに影響を与えあいながら恐怖表現を発展させてきた両監督ですが、意外にもふたりでの対談は鶴田監督の『戦慄のリンク』(2020年・中国)日本公開時におこなわれた2023年1月のトークイベント以来2度目。Jホラー全般について語った貴重な対談となっています。
待望の『亡霊学級』配信開始と、黒沢清監督との対談により、鶴田法男監督の世界を深く深く楽しめる11月になりそうです。
なお、弊サイトでは、『亡霊学級』制作時のエピソードやデジタルリマスター化の経緯などを語っていただいた鶴田法男監督インタビューや、新文芸坐でおこなわれた『亡霊学級』復活上映のレポートなどを掲載しています。せひそちらもご覧ください。