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3月22日公開の金子雅和監督『光る川』第45回ポルト国際映画祭でアジア映画最高の賞受賞

 金子雅和監督の最新作で公開を3月22日に控える『光る川』が、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつ、第45回ポルト国際映画祭でオリエントエクスプレス部門最優秀作品賞を受賞しました。

 自然と人間との関わりを見つめる独特の視点や民俗学的なモチーフ、そして圧倒的な映像美で海外でも高い評価を得る金子雅和監督。
 『アルビノの木』(2016年)『リング・ワンダリング』(2021年)に続く長編第3作となる『光る川』は、高度経済成長期初期の日本を舞台に、山間の村に住む少年・ユウチャの物語と、村に伝わる里の娘の悲恋物語とが、「川」を介して交錯し、自然への畏怖や社会制度をファンタジーとして描いていく作品。
 伝承の中の悲恋の主・お葉を華村あすかさん、お葉の恋の相手・朔を葵揚(あおい・よう)さん、少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎の二役を子役の有山実俊(ありやま・さねとし)さんが、それぞれ演じるほか、前作『リング・ワンダリング』に続く金子監督作品出演となる安田顕さん、金子監督作品常連の山田キヌヲさん、さらに足立智充さん、堀部圭亮さん、根岸季衣さん、渡辺哲さんらが出演しています。

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『光る川』場面写真。華村あすかさん演じるお葉

 このほど『光る川』が受賞したポルト国際映画祭(Festival Internacional de Cinema do Porto)は、ポルトガル第2の都市・ポルトで毎年開催され、今回で45回目を迎える歴史ある映画祭。シッチェス・カタロニア国際映画祭、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭とともに世界三大ファンタスティック映画祭に数えられています。

 『光る川』が受賞したオリエントエクスプレス部門は、同映画祭のメイン部門であるファンタジー映画コンペティション部門と監督週間部門に選出された作品の中から、アジア映画の最高峰を選出する部門。
 ファンタジー映画コンペティション部門に選出されていた『光る川』は、日本から選出された『あのコはだぁれ?』(2024年/清水崇監督)『THE KILER GOLDFISH』(2024年/堤幸彦監督)『ゴーストキラー』(2024年/園村健介監督)『ドールハウス』(2025年/矢口史靖監督)や、台湾、マレーシア、シンガポール、フィリピンから選出された計16作品の中から、最優秀作品賞に選ばれました。
 受賞に際し、金子監督は次のようにコメントを発表しています。

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ポルト国際映画祭上映時の金子雅和監督(提供写真)

金子雅和監督ポルト国際映画祭オリエントエクスプレス部門最優秀作品賞受賞コメント

川を中心とした美しい街・ポルトで、川を舞台にした日本映画『光る川』が上映されたことにまずは大きなご縁を感じましたし、一種の「巡礼の旅」とも言える映画内容が、キリスト教三大聖地のひとつサンティアゴ・デ・コンポステーラへ至る巡礼路にあるポルトの皆さまに、しっかりと受容されている手応えを感じました。結果、本映画祭に選出されたアジア映画の最高賞、ジャンル映画ではないこの作品に最も相応しい賞を授けて頂き、大変光栄です
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ポルト国際映画祭『光る川』上映後に観客と小竜する金子雅和監督(提供写真)

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ポルト国際映画祭ディレクターで全作品の選考を担当したベアトリス・パシェコ・ペレイラさん(右)と、金子雅和監督(提供写真)

 昨年11月にはスペインで開催された第62回ヒホン国際映画祭(Gijon International Film Festival)Retueyosコンペティションに出品され、ユース審査員最優秀長編映画賞を受賞しており、海外映画祭ふたつ目の受賞となった『光る川』。
 海外での高評価を経て、3月22日土曜日より、東京・渋谷のユーロスペースほか全国順次公開されます。

【『光る川』予告編】

『光る川』ストーリー

大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せっていて、老いた祖母と暮らしている。まだ自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう・・・
ポスター

光る川

  • 華村あすか 葵揚
    有山実俊 / 足立智充 山田キヌヲ
    髙橋雄祐 松岡龍平 石川紗世 平沼誠士 星野富一
    堀部圭亮 根岸季衣 渡辺哲
    安田顕

  • 脚本・監督:金子雅和
  • 音楽:高木正勝
  • 共同脚本:吉村元希
  • 美術監督:部谷京子
  • 撮影:山田達也
  • 照明:玉川直人
  • 音響:黄永昌
  • スタイリスト:野口吉仁
  • ヘアメイク:鎌田英子/山下奈巳
  • 助監督:土屋圭
  • カラーグレーディング:星子駿光
  • OPアニメーション:高橋昂也
  • 原作:松田悠八(「長良川 スタンドバイミー一九五〇」より)
  • エグゼクティブ・プロデューサー:中谷克彦/酒井興子
  • 企画・プロデュース:森岡道夫/福原まゆみ
  • プロデューサー:松本光司/片山武志
  • 製作:長良川スタンドバイミーの会
  • 制作プロダクション:プロジェクト ドーン
  • 配給:カルチュア・パブリッシャーズ

  • 2024年/カラー/1.85:1/5.1ch/DCP/108分

2025年3月22日(土) ユーロスペースほか全国公開

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